小細胞肺がんとは?非小細胞肺がんとの違い、診断のための腫瘍マーカー、最新治療法、予後を左右する要因を徹底解説

肺がんは、世界中で最も多くの人々に影響を及ぼしているがんの一つであり、特に小細胞肺がん(SCLC:Small Cell Lung Cancer)は進行が速く、早期発見が難しいことで知られています。

本記事では、小細胞肺がんの特徴、非小細胞肺がん(NSCLC)との違い、診断に使用される腫瘍マーカー、最新の治療法、そして予後を左右する要因について詳しく解説します。

小細胞肺がんは、喫煙との関連性が強く、早期に転移しやすいため、診断後の治療方針が重要です。適切な検査を受け、最新の治療法を知ることで、治療の選択肢を増やすことが可能になります。本記事を参考に、小細胞肺がんについての理解を深めましょう。

小細胞肺がんとは?非小細胞肺がんとの違いを徹底解説

肺がんは大きく小細胞肺がん(SCLC)と非小細胞肺がん(NSCLC)の2つに分類されます。それぞれの違いを理解することは、治療方針を決定する上で重要です。

小細胞肺がんの特徴

  • 進行が非常に速い(増殖スピードが速く、早期に転移しやすい)
  • 喫煙との関連が強い(患者の大多数が喫煙者)
  • 治療の第一選択は化学療法と放射線治療
  • 診断時にはすでに進行しているケースが多い
  • 脳や骨、肝臓への転移が起こりやすい

非小細胞肺がん(NSCLC)の特徴

  • 肺がんの約80%を占める(SCLCよりも頻度が高い)
  • 進行が比較的遅く、早期発見が可能なケースも多い
  • 外科手術が可能な場合が多い
  • 免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボなど)の治療適応がある
  • 非喫煙者でも発症することがある

小細胞肺がんと非小細胞肺がんの違いのまとめ

項目 小細胞肺がん(SCLC) 非小細胞肺がん(NSCLC)
発症頻度 約15~20% 約80~85%
進行スピード 非常に速い 比較的ゆっくり
転移のしやすさ 早期から転移しやすい 比較的転移しにくい
主な治療法 化学療法+放射線治療 手術、化学療法、免疫療法
予後 予後不良 早期発見であれば比較的良好

小細胞肺がんの診断に役立つ腫瘍マーカーとは?

小細胞肺がんの診断や治療効果の評価において、血液検査で測定する腫瘍マーカーが重要な役割を果たします。

小細胞肺がんの主な腫瘍マーカー

腫瘍マーカー 役割
ProGRP 小細胞肺がんに特異的なマーカー
NSE(神経特異エノラーゼ) 小細胞肺がんの進行度評価に使用
CYFRA 21-1 小細胞肺がんと非小細胞肺がんの鑑別に役立つ
CEA(癌胎児性抗原) 進行度や治療効果のモニタリング
SLX 進行肺がんのマーカーとして使用

小細胞肺がんは、ProGRPNSEの値が上昇しやすいため、診断の際にはこれらのマーカーが測定されることが一般的です。

小細胞肺がんの最新治療法:レジメンの選び方

小細胞肺がんの治療法は、病期(進行度)に応じて異なります。標準治療として、以下の治療が行われます。

1. 限局型小細胞肺がん(Limited Stage, LS-SCLC)

化学療法+放射線治療が主流。手術はほとんど行われません。

  • シスプラチン+エトポシド(EP療法)
  • カルボプラチン+エトポシド(CE療法)

2. 進展型小細胞肺がん(Extensive Stage, ES-SCLC)

全身化学療法が基本。免疫療法の併用が近年注目されています。

  • アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド(IMpower133)
  • デュルバルマブ+カルボプラチン+エトポシド(CASPIAN試験)

3. 免疫チェックポイント阻害薬の活用

近年では、アテゾリズマブ(テセントリク)やデュルバルマブ(イミフィンジ)といった免疫療法が化学療法と併用されるようになり、予後の改善が期待されています。

小細胞肺がんの予後を左右する要因と改善策

小細胞肺がんの予後は、診断時の病期や治療に対する反応によって大きく異なります。

予後を左右する要因

  1. 病期(限局型or進展型)
  2. 化学療法への反応
  3. 免疫療法の併用
  4. 患者の全身状態(PS:パフォーマンスステータス)
  5. 脳転移や骨転移の有無

予後を改善するためのポイント

  • 早期診断を受ける(禁煙や定期的な検査)
  • 最新の治療法を選択する
  • 免疫療法の活用を検討する
  • 生活習慣の改善(禁煙、食生活の見直し)

まとめ

小細胞肺がんは、進行が速く転移しやすいという特徴を持つため、早期発見と適切な治療が重要です。本記事で紹介したように、診断には腫瘍マーカー(ProGRPやNSE)が有用であり、治療では化学療法+放射線療法が標準となります。

また、最新の免疫療法を活用することで、これまでよりも治療成績の向上が期待されるため、医師と相談しながら適切な治療法を選択することが大切です。

定期的な検診を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。