「食後に胃もたれや痛みを感じるけれど、検査をしても異常が見つからない」という経験はありませんか?このような症状が続く場合、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)の可能性があります。
機能性ディスペプシアは、胃の機能異常によって消化不良や胃もたれ、腹部不快感などを引き起こす病気ですが、内視鏡検査などでは明確な異常が見つからないのが特徴です。ストレスや食生活、胃の運動機能の低下が関係していると考えられています。
本記事では、機能性ディスペプシアの原因・症状・診断基準・治療方法・薬の選択肢について詳しく解説します。
目次
機能性ディスペプシアとは?原因から症状まで詳しく解説
機能性ディスペプシアとは?
機能性ディスペプシア(FD)とは、胃や十二指腸に明らかな異常が見られないにもかかわらず、胃の不快感や痛みが持続する状態を指します。
主に以下の2つのタイプに分類されます。
- 食後愁訴症候群(PDS)
- 食後の胃もたれ
- 早期膨満感(少量の食事でもすぐ満腹になる)
- 心窩部痛症候群(EPS)
- みぞおちの痛み
- 胃の焼けるような不快感
機能性ディスペプシアの主な原因:ストレスや食生活の影響
機能性ディスペプシアの明確な原因は不明ですが、以下の要因が関与していると考えられています。
1. 胃の運動機能の低下
- 胃の蠕動運動(消化のための動き)が低下し、食べ物が胃内に長く留まることで不快感が生じる。
- 食べ物がスムーズに小腸へ移動しないため、胃もたれや膨満感が発生する。
2. 胃酸の過剰分泌
- 胃酸が過剰に分泌されることで、胃の粘膜が刺激され、痛みや不快感を引き起こすことがある。
3. 自律神経の乱れ(ストレスの影響)
- ストレスや精神的な緊張が胃の働きを乱すことで、消化機能が低下。
- 自律神経のバランスが崩れると、胃の動きが鈍くなり、胃もたれや痛みを感じやすくなる。
4. 食生活の影響
- 脂っこい食事・刺激物・アルコール・カフェインの過剰摂取が症状を悪化させることがある。
- 食事の時間が不規則だったり、暴飲暴食を繰り返すと胃に負担がかかる。
機能性ディスペプシアの症状と診断基準を理解する
主な症状
- 食後の胃もたれ
- 少量で満腹になる(早期膨満感)
- みぞおちの痛みや不快感
- 胃の焼けるような感じ
- 吐き気・ゲップ
診断基準
「ローマⅣ基準」という国際的な診断基準では、以下の条件を満たすと機能性ディスペプシアと診断されます。
✅ 過去3か月の間に、以下の症状のうち1つ以上が週3回以上続く
✅ 胃カメラなどの検査で明らかな異常が見つからない
✅ 症状の原因として他の病気が考えられない
機能性ディスペプシアの治療方法:生活改善から薬の選択肢まで
1. 生活習慣の改善
- 脂っこい食事や刺激物(辛いもの・カフェイン・アルコール)を避ける
- 腹八分目を意識し、少量をゆっくり食べる
- 食後すぐに横にならず、消化を促進する
- ストレスを軽減し、自律神経を整える(リラックス時間を確保)
2. 運動習慣を取り入れる
- 軽いウォーキングやストレッチで胃腸の働きを活発にする
- 適度な運動はストレスの軽減にも効果的
3. 禁煙
- タバコは胃の血流を悪化させ、胃酸の分泌を増やすため、症状を悪化させる
機能性ディスペプシアに効果的な薬とその使用方法
機能性ディスペプシアの治療には、症状に応じた薬が処方されます。
1. 胃の運動を改善する薬(消化を促進)
- モサプリド(ガスモチン):胃の蠕動運動を促進し、胃もたれや食後の不快感を軽減。
2. 胃酸の分泌を抑える薬(酸過多による痛みを緩和)
- プロトンポンプ阻害薬(PPI)(オメプラゾール、ランソプラゾール)
- H2ブロッカー(ファモチジンなど)
3. 自律神経を整える薬
- 抗不安薬(SSRI・SNRI):ストレスが関与している場合に有効。
- 漢方薬(六君子湯・半夏瀉心湯):胃腸の働きをサポート。
まとめ
機能性ディスペプシアは、明らかな異常が見られないにもかかわらず、胃の不快感や痛みが持続する病気です。主な原因は、胃の運動機能の低下・胃酸過多・ストレス・食生活の影響とされています。
症状を改善するためには、生活習慣の見直しが重要です。脂っこい食事を控え、規則正しい食生活を心がけることが大切です。薬物療法も有効で、症状に応じて胃の運動を促進する薬や胃酸の分泌を抑える薬が処方されます。
症状が続く場合は、医師に相談し、適切な治療を受けましょう。