血液検査で知ることのできる「ALP」。肝機能検査のひとつとして行われる大切な検査ですが、やっぱり英語なのでよくわかりませんね。
今回はそんなALPについて、血液検査で何が分かるのか、ALPとはなにか?基準値や高い原因、低い原因について、ALPと関連する病気、高齢者の場合ALPの何に気をつけるべきかについて詳しく解説していきます。
目次
血液検査のALPとは?
血液検査のALP(アルカリフォスファターゼ)は、体内のさまざまな組織に存在する酵素の一種です。
ALPは主に肝臓、胆管、骨、腸、腎臓、そして胎盤に見られ、体内での化学反応を助ける役割を果たします。
この酵素は、体内の特定の化学反応を促進することで、健康維持に重要な役割を果たしています。
ALPのレベルは、これらの組織の状態を反映するため、さまざまな疾患や異常の指標として用いられます。
また、ALPは肝臓、胆管系、骨、甲状腺、胎盤、小腸、腎臓などに存在する酵素です。
ALPの値はさまざまな要因で変動し、特定の臓器に応じて6種類のタイプ(ALP1、2は肝臓、3は骨、4は胎盤、5は小腸、6は免疫グロブリン結合型)があります。
これらを「アイソザイム」と呼び、どのタイプのALPが増加しているかを調べることで、どの臓器に障害があるのかを特定できます。
血液検査のALPの基準値を知りたい
ALPの正常値は年齢、性別、そして個々の医療施設の基準によって異なりますが、一般的には以下の範囲内とされています。
- 38~113U/L
これらの基準値は、検査機関によって多少の差異があるため、具体的な値は担当医や検査機関に確認することが重要です。
血液検査のALPが高い原因は?
ALPが高い原因はいくつかあります。主な原因は以下の通りです:
肝臓の疾患
肝臓の異常はALPの上昇を引き起こすことが多いです。
例えば、肝炎、肝硬変、肝癌などが原因となることがあります。また、胆管閉塞や胆汁うっ滞もALPの上昇を引き起こします。
骨の疾患
骨の異常もALPのレベルに影響を与えます。
骨形成が活発になる状態、例えば、骨折の治癒過程や成長期の子供、パジェット病、骨癌などが原因となります。
その他の原因
- 妊娠:特に第三期にはALPが上昇します。
- 甲状腺機能亢進症
- 慢性腎不全
- 感染症
血液検査のALPが低い原因は?
一方、ALPが低い原因もいくつか考えられます。主な原因は以下の通りです:
栄養の不足
特に、亜鉛やマグネシウムの欠乏が原因となることがあります。これらの栄養素はALPの生成に必要です。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能が低下すると、ALPのレベルも低下します。
遺伝性疾患
特定の遺伝性疾患がALPの低下を引き起こすことがあります。例えば、低ホスファターゼ症などが該当します。
高齢者で血液検査のALPが高かったときは?
高齢者でALPが高い場合、その原因は多岐にわたります。主な原因としては以下の通りです:
骨粗鬆症
高齢者では骨の代謝が活発になることがあります。
これは骨粗鬆症の治療や骨折の治癒過程などに関連しています。
肝機能の低下
肝臓の機能が低下することでALPが上昇することがあります。
高齢者では肝機能が低下しやすく、これが原因となることがあります。
薬剤の影響
特定の薬剤(例えば抗てんかん薬やステロイド)がALPの上昇を引き起こすことがあります。
高齢者は多くの薬を服用することが多いため、薬剤の影響も考慮する必要があります。
ALPと病気の関連性について詳しく知りたい
ALPのレベルはさまざまな病気や健康状態と関連しています。以下に、ALPの異常値と関連する主な病気をいくつか紹介します。
肝臓の疾患
- 肝炎:ウイルス性肝炎(A型、B型、C型など)は肝臓の炎症を引き起こし、ALPのレベルを上昇させることがあります。
- 肝硬変:肝臓の長期的なダメージにより、肝細胞が破壊され、ALPが上昇します。
- 胆管閉塞:胆汁の流れが妨げられると、ALPが顕著に上昇します。
骨疾患
- 骨粗鬆症:骨密度が低下する病気で、骨の代謝が活発になるためALPが上昇します。
- パジェット病:骨の代謝異常により、骨が異常に大きくなり、ALPのレベルが上昇します。
- 骨転移:癌が骨に転移すると、骨の破壊と再形成が活発になり、ALPが上昇します。
その他の関連疾患
- 甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモンの過剰分泌により、ALPが上昇します。
- 慢性腎不全:腎機能が低下すると、骨代謝に影響を与え、ALPが上昇します。
- 感染症:特定の感染症が肝臓や骨に影響を与えることで、ALPが上昇することがあります。
ALPの低下と関連する病気
- 低ホスファターゼ症:遺伝性の疾患で、ALPの生成が低下します。
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの不足により、ALPが低下します。
- 栄養不足:特に亜鉛やマグネシウムの欠乏が原因となります。
まとめ
血液検査のALPは、肝臓や骨の健康状態を反映する重要な指標です。
ALPのレベルが正常範囲を逸脱すると、さまざまな病気や健康状態の兆候である可能性があります。
ALPの異常値が見られた場合は、担当医と相談し、必要な検査や治療を受けることが重要です。特に高齢者では、ALPの上昇は骨や肝臓の健康状態に関連することが多いため、注意が必要です。