大腸がんは日本人のがん罹患数で第1位(男女合計)を占める身近ながんです。早期に発見できれば、ほぼ完治が見込めるにもかかわらず、初期はほとんど自覚症状がないため発見が遅れがちです。
健康診断の便潜血検査で「陽性」と言われたら、放置せず精密検査を受けることが重要です。本記事では、大腸がんの初期症状・原因・検査方法、ステージ別生存率から予防法まで詳しく解説します。
目次
大腸がんの初期症状と進行に伴う変化
大腸がんは、早期(ステージⅠ〜Ⅱ)では自覚症状がほとんどありません。がんが進行するにつれて以下のような症状が現れてきます。
血便・下血
便に血が混じる「血便」や、肛門から出血する「下血」は大腸がんの代表的なサインです。ただし、痔との見分けがつきにくいため、「痔だから大丈夫」と自己判断して受診が遅れるケースが多いです。血便が続く場合は必ず消化器内科を受診してください。
排便の変化
便が細くなった・排便の回数が増えた・便秘と下痢を繰り返すといった変化は、腸内にがんができて腸の通過が妨げられているサインのひとつです。2〜3週間以上このような変化が続く場合は要注意です。
腹痛・腹部の張り感
がんが大きくなって腸管が狭くなると、腹痛や腹部の張り感(腸閉塞)が起こることがあります。進行した大腸がんでは貧血・体重減少・倦怠感も見られます。
大腸がんの主な原因とリスク因子
食習慣によるリスク
赤肉(牛肉・豚肉・羊肉)や加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコン)の過剰摂取は大腸がんリスクを高めることが国際機関(WHO/IARC)によって確認されています。一方、食物繊維・カルシウム・魚・野菜の摂取はリスクを低下させるとされています。
生活習慣・体質によるリスク
肥満・飲酒・喫煙・運動不足が大腸がんのリスクを高めます。また、家族に大腸がん・ポリープの既往がある場合は遺伝的リスクが高く、早めの検診が推奨されます。炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)がある方も注意が必要です。
年齢と発症率
大腸がんは50代以降から急増します。国立がん研究センターのデータによると、40代から罹患率が上昇し始め、60〜70代にピークを迎えます。40歳以上からの定期的な便潜血検査が強く推奨されています。
大腸がんの検査方法
便潜血検査(スクリーニング)
健康診断で広く実施される便潜血検査(2日法)は、便に血液が混じっていないかを調べます。陽性になっても大腸がんとは限りません(痔などでも陽性になります)が、陽性と判定されたら必ず大腸内視鏡検査(精密検査)を受けることが重要です。陽性のまま放置すると早期発見の機会を失います。
大腸内視鏡検査(確定診断)
大腸内視鏡は肛門からカメラを挿入し、大腸全体を直接観察する検査です。ポリープが見つかれば同時に切除でき、組織を採取して病理検査で確定診断が行われます。前日から食事制限を行い、当日は下剤で腸を空にする前処置が必要です。鎮静剤(静脈麻酔)を使用することで、ほぼ眠った状態で検査を受けることができます。費用は保険適用で約3,000〜15,000円程度です。
ステージと5年生存率
大腸がんの予後は発見の早さによって大きく異なります。
| ステージ | 状態 | 5年生存率 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 粘膜・粘膜下層にとどまる | 約95%以上 |
| Ⅱ | 腸管壁を超えて浸潤 | 約80〜90% |
| Ⅲ | リンパ節転移あり | 約60〜80% |
| Ⅳ | 他臓器への遠隔転移あり | 約20%前後 |
ステージⅠで発見されれば95%以上が5年生存可能であり、早期発見の重要性がわかります。
治療方法
内視鏡的切除・手術
早期がんは内視鏡による切除(EMR・ESD)が可能です。進行がんでは腹腔鏡手術または開腹手術でがんとリンパ節を切除します。直腸がんでは一時的または永久的な人工肛門(ストーマ)が必要なケースもあります。
薬物療法・放射線療法
術後補助化学療法(抗がん剤)はステージⅢで標準的に行われます。直腸がんでは術前放射線化学療法が実施されることもあります。近年では分子標的薬・免疫チェックポイント阻害剤も進行がんに使われています。
予防のための生活習慣
食物繊維を豊富に含む食事(野菜・豆類・全粒穀物)を心がけ、赤肉・加工肉の摂取を控えましょう。適度な運動(週150分以上の有酸素運動)・禁煙・節酒・適正体重の維持も大腸がんの予防に効果的です。
40歳以上は毎年の便潜血検査を受け、陽性が続く場合や気になる症状がある場合は積極的に大腸内視鏡検査を受けましょう。
まとめ
大腸がんは早期発見できれば治癒率が非常に高いがんです。自覚症状が出てから受診するのでは遅い場合があります。健康診断の便潜血検査を毎年受け、陽性の場合は必ず内視鏡精密検査を受けることが大切です。
血便・排便の変化・腹痛が続く場合も、「様子見」をせず消化器内科または大腸肛門外科を受診してください。40歳以上の方は今すぐ、大腸がん検診の予約を検討しましょう。










