胃がんの初期症状とピロリ菌の関係|検査・治療・予防を徹底解説

胃がんはかつて日本人の死亡原因第1位でしたが、ピロリ菌除菌や内視鏡検診の普及によって死亡率は年々低下しています。それでも年間約13万人が新たに診断される身近ながんであることに変わりなく、早期発見・早期治療が何より重要です。

本記事では、胃がんの初期症状・原因・検査方法、スキルス胃がんの特徴、ステージ別の生存率から予防法まで詳しく解説します。

胃がんの初期症状とは

胃がんの最大の問題は、早期では自覚症状がほとんどないことです。ごく一部の例外を除き、胃がんは進行するまで痛みや不快感を生じません。

症状が現れる頃には、すでにある程度進行していることも多いです。以下のような症状が続く場合は消化器内科を受診しましょう。

初期から中期に現れる可能性がある症状

胃もたれ・胸やけ・食欲不振・食後の膨満感・軽い胃の不快感などです。これらは逆流性食道炎や胃炎とも似ているため、3週間以上続く場合や市販薬で改善しない場合は胃カメラ検査を受けることを強くお勧めします

進行がんで現れる症状

吐き気・嘔吐・黒色便(タール便)・体重減少・貧血・みぞおちの痛み・背中の痛みなどが現れます。黒色便は胃や食道からの出血を示すことが多く、緊急受診が必要なサインです。

スキルス胃がんとは

スキルス胃がん(びまん浸潤型胃がん)は、がん細胞が胃壁の深い部分に広がるタイプで、通常の内視鏡検査では発見しにくく、見つかったときにはすでに進行していることが多い特殊型です。

比較的若い世代(30〜50代)の女性にも見られ、急速に進行することがあります。胃が硬くなって小さくなる(革袋状胃)という特徴があります。定期的な胃カメラ検査と生検(組織採取)の組み合わせが早期発見に有効です。

胃がんの主な原因とリスク因子

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)との関係

日本人の胃がんの約98%にピロリ菌感染が関与しているとされています。ピロリ菌は胃の粘膜に感染して炎症を引き起こし、慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃がんという流れで発がんリスクを高めます。

ピロリ菌の感染は幼少期に経口感染することが多く、日本では40代以上の感染率が高い傾向があります。ピロリ菌の除菌治療を行うことで、胃がんの発症リスクを約3分の1に下げることができます

食習慣・生活習慣

塩分の多い食事(塩蔵食品・漬物・加工肉)・喫煙・過度の飲酒が胃がんリスクを高めます。野菜・果物の摂取はリスクを低下させるとされています。

遺伝的要因

家族(特に親・兄弟)に胃がんの既往歴がある場合は遺伝的リスクが高まります。また、悪性貧血・萎縮性胃炎を持つ方もリスクが高いため、定期的な内視鏡検査が推奨されます。

胃がんの検査方法

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)

胃がん発見において最も重要な検査が胃カメラです。粘膜を直接観察し、疑わしい部分があればその場で組織を採取して病理検査(生検)が行えます。早期胃がんの発見精度はバリウム検査より大幅に高く、近年はAIを活用した画像診断も実用化されています。

鎮静剤を使用すれば、ほぼ眠った状態で受けることができます。費用は保険適用で約3,000〜8,000円程度です。

バリウム検査

バリウムを飲んでX線撮影を行う検査です。スクリーニングとして自治体検診で実施されますが、小さな病変の発見精度は胃カメラより低いです。異常が見つかれば精密検査(胃カメラ)が必要です。

ピロリ菌検査

尿素呼気試験・便中抗原検査・血中抗体検査・胃カメラ時の迅速ウレアーゼ試験など複数の方法があります。ピロリ菌感染が確認されたら除菌治療を受けることで、胃がんリスクを大幅に低下させることができます

ステージと5年生存率

早期に発見するほど生存率は大幅に改善します。

ステージ 状態 5年生存率
粘膜・粘膜下層にとどまる 約90〜95%
固有筋層を超えて浸潤 約70〜80%
リンパ節転移あり 約40〜60%
遠隔転移あり 約10%前後

治療方法

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

粘膜内にとどまる早期胃がんは、胃カメラを用いた内視鏡手術(ESD・EMR)で切除できます。身体への負担が少なく、胃を残せるのが最大のメリットです。

外科的手術

進行胃がんは腹腔鏡手術または開腹手術で胃の一部または全切除が行われます。胃を全摘した場合は消化・吸収に影響が出るため、食事の工夫が必要になります。

薬物療法・放射線療法

術後補助化学療法(S-1など)が標準的に行われます。進行・再発がんでは分子標的薬(トラスツズマブ)・免疫チェックポイント阻害剤も使用されます。

予防のための生活習慣とピロリ菌除菌

胃がん予防の最も効果的な対策はピロリ菌の除菌です。感染が確認されたら積極的に除菌治療を受けましょう。また、塩分控えめの食事・禁煙・節酒・野菜・果物を中心とした食生活も重要です。

40歳以上は2〜3年に1度の胃カメラ検査を受けることをお勧めします。過去に胃炎や萎縮性胃炎を指摘された方、ピロリ菌感染歴がある方は、より積極的な定期検査が必要です。

まとめ

胃がんは早期発見できれば非常に治癒率が高いがんです。ピロリ菌の除菌と定期的な胃カメラ検査が最善の予防・早期発見策です。症状がなくても40歳以降は定期受診を習慣にしましょう。

食欲不振・胃もたれ・黒色便・体重減少が3週間以上続く場合は、早めに消化器内科を受診することをおすすめします。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。