夜中に何度もトイレに起きてしまう「夜間頻尿」は、多くの中高年男性が抱える排尿の悩みのひとつです。加齢による変化や前立腺肥大などが原因と考えられがちですが、実は前立腺がんの初期症状である可能性もあります。
この記事では、夜間頻尿と前立腺がんの関連性に注目しながら、男性が注意すべき排尿のサインや初期症状、早期発見の重要性について解説します。単なる老化現象と見過ごされがちな症状の背後に潜むリスクを知り、自分の健康を守るための一歩を踏み出しましょう。
目次
前立腺がんとは?基本情報とリスク
前立腺がんは、男性にのみ存在する前立腺という臓器に発生する悪性腫瘍で、日本でも年々患者数が増加しています。特に50歳以上の男性に多く見られ、高齢になるほど発症リスクが上がるとされています。
初期にはほとんど自覚症状がないことが多く、健康診断やPSA検査で偶然発見されることも少なくありません。しかし、病気が進行するにつれて排尿に関連する症状が現れるようになります。
夜間頻尿と前立腺がんの関係性
夜間頻尿とは、就寝中に2回以上トイレに起きる状態を指します。前立腺がんの初期症状のひとつとして知られており、前立腺周辺の腫瘍が尿道を圧迫することで、排尿回数が増えるといった変化が起こることがあります。
加齢や生活習慣による一時的な夜間頻尿と異なり、急激に頻度が増えた、日中より夜間の頻尿が目立つといった場合には、前立腺の異常を疑う必要があります。特に以下のような症状が複数当てはまる場合は、専門医の受診を検討するべきです。
前立腺がんに関連する排尿障害の特徴
排尿の勢いが弱くなる
前立腺が尿道を圧迫することで、尿の勢いが弱くなったり途中で途切れるといった変化が見られます。
尿意が突然強くなる
我慢がきかず急にトイレへ行きたくなる症状(尿意切迫感)も、前立腺周囲の神経刺激によって起こることがあります。
残尿感や排尿後の不快感
トイレに行ったあとも尿が出きっていないような感覚が残る場合、排尿機能に問題がある可能性があります。
尿に血が混じる
稀ではありますが、前立腺がんの進行によって血尿が出ることもあります。これは明確な受診のサインとなります。
前立腺がんと前立腺肥大の違いに注意
前立腺のトラブルには「前立腺肥大症」もあります。こちらは良性であり、命にかかわるものではありませんが、排尿障害の症状が前立腺がんと非常に似ているため、自己判断が難しい場合があります。
検査を通して前立腺の状態を正確に評価し、がんであるかどうかを明確に診断することが非常に重要です。特にPSA(前立腺特異抗原)値の検査が、前立腺がんのスクリーニングにおいて有効とされています。
夜間頻尿は体からの重要なサイン
夜間頻尿は年齢に伴う自然な変化と思われがちですが、前立腺がんという重大な疾患のサインである可能性も否定できません。単なる排尿の不調として放置せず、他の症状と合わせて変化を注意深く観察することが大切です。
気になる症状がある場合は、泌尿器科などの専門医を早めに受診し、検査を受けることで病気の早期発見・早期治療に繋げることができます。自分の体の声に耳を傾け、日々の健康管理を意識して過ごしましょう。