膀胱脱とは?原因・症状・治療・手術まで徹底解説

膀胱脱(ぼうこうだつ)は、骨盤の筋肉や靭帯の緩みが原因で膀胱が下がり、膣の中に突出してしまう状態を指します。特に出産経験のある女性や閉経後の女性に多く見られる症状ですが、加齢や肥満、慢性的な便秘などもリスク要因となります。

膀胱脱が進行すると、排尿障害や違和感、尿もれなどの不快な症状が現れることがあります。本記事では、膀胱脱の原因・症状・予防法・受診すべき診療科・手術治療の流れについて詳しく解説します。

膀胱脱とは?原因から症状まで徹底解説

膀胱脱とは何か?

膀胱脱は、骨盤底筋(骨盤を支える筋肉群)が弱まり、膀胱が正常な位置を保てなくなることで発生します。膣の中に膀胱が垂れ下がり、進行すると膣口から外に出てしまうこともあります。

この状態は「骨盤臓器脱(POP: Pelvic Organ Prolapse)」の一種で、膀胱以外にも子宮や直腸が下がるケースもあります。

膀胱脱の原因を知ろう:予防と対策のために

膀胱脱は、骨盤底筋の弱化が主な原因ですが、それを引き起こす要因には以下のものがあります。

1. 出産と妊娠

  • 出産時の骨盤底筋の損傷
  • 帝王切開より経腟分娩の方がリスクが高い
  • 巨大児の出産や吸引分娩の影響

2. 加齢と閉経

  • 女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、筋肉や靭帯が弱くなる
  • 加齢による筋力低下

3. 慢性的な腹圧の増加

  • 慢性的な便秘(いきむ習慣)
  • 慢性の咳(喘息・喫煙者)
  • 重いものを持つ習慣(介護職や重量物運搬など)

4. 肥満

  • 体重増加により骨盤底への負担が増す

5. 骨盤底筋の損傷

  • 手術歴(子宮摘出手術など)
  • 過去の骨盤の外傷

予防策

  • 骨盤底筋を鍛える(ケーゲル体操)
  • 便秘を防ぐために食物繊維を摂取する
  • 適正体重を維持し、肥満を防ぐ
  • 重いものを持ち上げるときは姿勢に注意する

膀胱脱の主な症状とは?早期発見のポイント

膀胱脱の症状は、軽度の違和感から生活に支障をきたすものまで幅広いです。

1. 初期症状(軽度)

  • 膣の中に何かが入っているような違和感
  • 立ち仕事が続くと骨盤に圧迫感を感じる
  • トイレの後に尿がすっきり出ない感じがある

2. 進行した症状(中等度)

  • 尿もれ(腹圧性尿失禁)
  • 排尿時に力を入れないと出にくい
  • 膣の中に丸い膨らみを感じる

3. 重症化(高度)

  • 膣口から膀胱が外に出てくる
  • 歩行時の違和感や痛み
  • 頻尿や尿路感染症が頻繁に起こる

早期発見のポイント

  • 違和感や尿のトラブルを感じたら早めに医師に相談する
  • ケーゲル体操を取り入れ、症状の悪化を防ぐ

膀胱脱を診てもらうには何科を受診すべきか?

膀胱脱の症状を感じた場合、適切な診療科を受診することが重要です。

受診すべき診療科

  • 婦人科(産婦人科):女性専門の診療で診察を受けやすい
  • 泌尿器科:尿のトラブルがある場合に対応
  • 骨盤臓器脱専門外来:高度な治療を受けられる施設もある

受診のタイミング

  • 違和感を感じた時点で早めに受診する
  • 症状が進行する前に、軽度の段階で相談するのが望ましい

膀胱脱の手術について知っておくべきこと

膀胱脱の治療には保存療法(手術なし)と手術療法の2種類があります。

1. 保存療法(軽度~中等度)

  • 骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)
  • ペッサリー装着(膣内にリングを挿入して膀胱を支える)

2. 手術療法(進行が進んだ場合)

手術が必要になるのは、症状が日常生活に影響を及ぼす場合です。

手術の種類

  • 経膣メッシュ手術(TVM手術):膀胱をメッシュで補強し、再発を防ぐ
  • 膣壁形成術:自分の組織を用いて膀胱を支える手術
  • 腹腔鏡手術:傷口が小さく回復が早い

手術後の注意点

  • 約1週間の入院が必要なことが多い
  • 術後数か月間は重いものを持つのを避ける
  • 再発予防のために骨盤底筋を鍛えることが大切

まとめ

膀胱脱は、骨盤底の筋力低下により膀胱が下がる病気で、特に出産経験のある女性や閉経後の女性に多い疾患です。

膀胱脱の初期症状は、膣の違和感や尿もれ
予防にはケーゲル体操・便秘改善・体重管理が効果的
症状が進行した場合は、婦人科や泌尿器科を受診する
軽度ならペッサリー、重症なら手術が必要になる場合もある

症状が気になる場合は、早めの受診と適切な治療が重要です。