骨粗鬆症は骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患です。特に閉経後の女性や高齢者に多く見られます。
骨密度検査にはいくつかの方法がありますが、健康診断や薬局などで手軽に受けられる「超音波法(かかと測定)」をご存知でしょうか。
本記事では、超音波を使った骨密度検査の仕組みや特徴、DXA法との違い、結果の見方について詳しく解説します。
超音波法による骨密度検査とは
超音波法(QUS:Quantitative Ultrasound)は、超音波を使って骨の状態を評価するスクリーニング検査です。
主に踵骨(かかとの骨)に超音波を当て、骨を通過する超音波の速度や減衰の程度を測定します。骨密度が高いほど超音波は速く伝わり、減衰も少なくなります。
放射線を使用しないため、妊娠中の方でも安全に受けられます。また、装置がコンパクトで、健康診断会場や薬局、ドラッグストアなどでも実施されています。
超音波法でわかること
骨の質の評価
超音波法では、骨密度だけでなく「骨の質」も反映した評価ができるとされています。
超音波の伝播速度(SOS)と減衰率(BUA)を測定し、これらを組み合わせた「スティフネス指数」や「骨強度指数」が算出されます。
骨粗鬆症のスクリーニング
超音波法は骨粗鬆症のスクリーニング(ふるい分け)検査として有用です。結果が低い場合は、より精密なDXA法による検査を受けることが推奨されます。
ただし、超音波法のみで骨粗鬆症を確定診断することはできません。
超音波法とDXA法の違い
| 項目 | 超音波法(QUS) | DXA法 |
|---|---|---|
| 測定部位 | 踵骨(かかと) | 腰椎・大腿骨頸部 |
| 放射線 | なし | 微量あり |
| 検査時間 | 数分 | 10〜15分 |
| 精度 | スクリーニング向け | 診断・治療効果判定に使用 |
| 費用 | 無料〜数千円 | 保険適用で1,000〜2,000円程度 |
DXA法は骨粗鬆症の診断基準に用いられる「ゴールドスタンダード」であり、治療効果の判定にも使用されます。超音波法で低値が出た場合は、DXA法で精密検査を受けることが重要です。
超音波法の結果の見方
超音波法の結果は、以下のような指標で示されることがあります。
「若年成人平均値(YAM)との比較」では、20〜44歳の健康な成人の平均値を100%として、自分の値が何%かを示します。
YAM比が80%以上であれば正常、70〜80%は骨量減少、70%未満は骨粗鬆症の疑いとされます。ただし、これはあくまでスクリーニングの目安であり、確定診断にはDXA法が必要です。
超音波法のメリットと限界
メリット
放射線被曝がなく、短時間で手軽に受けられるのが最大のメリットです。
装置がコンパクトなため、健康フェアや薬局などでも実施でき、骨粗鬆症への関心を高めるきっかけになります。費用も比較的安価です。
限界
測定部位がかかとに限られるため、腰椎や大腿骨の骨密度を直接評価することはできません。
また、骨粗鬆症の診断基準はDXA法に基づいているため、超音波法のみでは確定診断ができません。治療効果の判定にも適していません。
超音波法を受けるべき人
以下に該当する方は、超音波法による骨密度検査を検討してみてください。
閉経後の女性、65歳以上の方は骨粗鬆症のリスクが高いため、定期的なチェックが推奨されます。
家族に骨粗鬆症や骨折の既往がある方、やせ型の方、運動不足の方、喫煙・過度の飲酒習慣がある方も対象となります。
まずは超音波法でスクリーニングを受け、結果に応じてDXA法による精密検査を検討しましょう。
まとめ
超音波法による骨密度検査は、かかとに超音波を当てて骨の状態を評価するスクリーニング検査です。
放射線を使用せず、短時間で手軽に受けられるのがメリットですが、確定診断にはDXA法が必要です。
閉経後の女性や高齢者は骨粗鬆症のリスクが高いため、超音波法をきっかけに骨の健康に関心を持ち、必要に応じて精密検査を受けましょう。










