脂質異常症とは?コレステロール・中性脂肪の基準値と改善・食事法を徹底解説

健康診断で「コレステロールが高い」「中性脂肪が高い」と指摘され、不安を感じたことはありませんか?これらの数値異常が続くと、将来的に動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中といった重大な疾患につながる可能性があります。

脂質異常症は、自覚症状が乏しい一方で、生活習慣に深く関わる病態です。現代では20代〜30代の若年層にも増えており、放置せず、早期に改善へ向けた対策を取ることが重要です。本記事では、脂質異常症に関する基準値、各種コレステロールや中性脂肪の役割、そして効果的な改善・食事療法について解説します。

脂質異常症とは?基本的な知識と診断基準

脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が基準値を超えている、あるいは不足している状態を指します。特に以下の項目が重要な指標とされ、これらのバランスが崩れることで動脈硬化のリスクが高まります。

定期的な血液検査によって脂質の状態を把握し、リスクに応じた生活指導や治療を受けることが大切です。早期発見により、深刻な心血管疾患を防ぐ第一歩になります。

脂質の診断基準(空腹時採血)

項目 基準値
LDLコレステロール(悪玉) 140 mg/dL以上
HDLコレステロール(善玉) 40 mg/dL未満
中性脂肪(トリグリセリド) 150 mg/dL以上
総コレステロール 220 mg/dL以上(参考値)
non-HDLコレステロール 170 mg/dL以上(LDL+その他の悪玉)

各脂質の役割と異常の意味

LDLコレステロール(悪玉)

肝臓から全身へコレステロールを運ぶ役割を持ちますが、血中濃度が高くなると血管内皮に沈着して「プラーク」となり、血管を狭く硬くする原因となります。LDL値が高いまま放置すれば、動脈硬化から心筋梗塞・脳梗塞など重篤な疾患につながる恐れがあるため、定期的なモニタリングが重要です。

HDLコレステロール(善玉)

余分なコレステロールを血管から回収し、肝臓に運んで分解・排出させる働きを持つため、血管を健康に保つ“掃除屋”のような存在です。HDL値が高い人は心血管病のリスクが低いとされており、生活習慣の改善や禁煙によって増やすことができます。

中性脂肪(トリグリセリド)

エネルギー源として使われる脂質で、食事やアルコール摂取後に増えやすいのが特徴です。高値が続くと肝機能障害や脂肪肝、インスリン抵抗性の進行などを招き、メタボリックシンドロームの一因になります。

総コレステロール・non-HDLコレステロール

総コレステロールは、血中に含まれる全コレステロール量の目安で、non-HDLはLDLに加えて動脈硬化に関与するその他の脂質も含めた値です。non-HDLコレステロールは最近注目されており、LDLが正常でもnon-HDLが高ければリスクとされる場合もあります。

脂質異常症の主な原因とリスク要因

脂質異常症の発症には複数の要素が関与しており、特に生活習慣と体質の影響が大きくなります。

過剰なカロリー摂取や脂質に偏った食事、甘い飲み物の摂りすぎが直接的な要因になる一方で、運動不足による代謝低下、ストレスや睡眠不足がホルモンバランスに影響し、間接的に脂質代謝を悪化させることもあります。

また、加齢により代謝が落ちたり、閉経後の女性は女性ホルモンの減少により脂質が上がりやすくなる傾向があるため、年代や性別も要因として考慮すべきです。

特定の基礎疾患(糖尿病、甲状腺機能低下症、慢性腎疾患など)や遺伝性疾患(家族性高コレステロール血症)によっても、若くして脂質異常症を発症するケースがあります。

脂質異常症を改善するための生活習慣と食事療法

脂質異常症の管理には、まず生活習慣を整えることが基本です。食事の改善、運動の習慣化、禁煙や適正な飲酒管理によって、多くの人が数値の改善を実現しています。

食事療法の基本ポイント

飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取を減らすことは、LDL値を下げるための最も効果的な方法です。一方で、DHA・EPAを多く含む青魚や、オリーブオイル・アボカドなどの一価不飽和脂肪酸を積極的に摂ることで、善玉のHDLを増やす助けにもなります。

また、食物繊維を多く含む食品(野菜・豆類・海藻・きのこ)を取り入れることで、コレステロールの吸収を抑える効果も期待されます。間食を控え、糖質やアルコールの摂取量にも気をつけましょう。

運動習慣

有酸素運動(例:ウォーキング、サイクリング、水泳)は、体脂肪の燃焼と中性脂肪の減少、HDLの上昇に効果があります。加えて、週2回程度の筋トレを取り入れることで、基礎代謝が上がり、内臓脂肪の減少にもつながります。

運動は継続することが重要であり、最初は短時間でも構いません。日常生活でエレベーターより階段を使う、歩く時間を増やすといった工夫も取り入れてみましょう。

その他の対策

喫煙はHDLを下げ、酸化LDLを増やすため、脂質異常症に対して明確な悪影響があります。禁煙は非常に重要な対策のひとつです。また、十分な睡眠とストレス管理も、ホルモンバランスを整えるうえで欠かせません。

医師の指導のもと、サプリメント(オメガ3脂肪酸、食物繊維など)や、必要に応じてスタチンなどの薬物療法を併用する場合もあります。

まとめ|脂質異常症は早期対応と継続的な習慣改善がカギ

脂質異常症は、放置すれば動脈硬化を進行させ、命に関わる病気を引き起こす可能性があります。しかし、早い段階で気づき、正しい知識に基づいた改善策を続ければ、十分にコントロールが可能です。

特に重要なのは、生活習慣の継続的な見直しと、定期的な血液検査の実施です。数値が改善したからといって油断せず、リバウンドを防ぐためにも習慣を維持することが長期的な健康を守るカギとなります。

数値に不安がある方は、まずは日々の食事と運動を見直すことから始めてみましょう。そして、必要に応じて医師や管理栄養士の専門的なサポートを受けながら、健康的な血液環境を目指しましょう。