糖尿病の原因・症状は?治療や食事はどうすればいいの?

テレビなどでも頻繁に登場するワード「糖尿病」。かくいう筆者の家族も糖尿病になっているため、結構身近な病気として認識している人も多いと思います。

今回は、そんな糖尿病に関する情報を紹介します。糖尿病になる原因やその症状、糖尿病になるとどんなことになるのか、という点を改めて知っておきましょう。

糖尿病ってそもそもなんだろう?糖尿病の原因は?

糖尿病と一口にいうと、病気だということはわかりますが、実際にどんなことが体に起こっているのか分からない人も多いと思います。

実際に、筆者の父親は糖尿病診断をされた際、足を切断する一歩手前ということを言われたそうで、それを聞いた私はぞっとしてしまった経験があります。

糖尿病とは、一口にいうと、体内の血液中の血糖値が高い状態にある、という症状を指します。

そもそも体は生命を維持するため、でんぷんなどの糖質(炭水化物)を消化し、ブドウ糖に変化させ、血液にのって全身の細胞に運んでいくという仕組みがあります。

その際、血液中に混じったブドウ糖を「血糖」と呼び、血糖値と言われるのは、血液中にどのくらいブドウ糖があるのかを示した数値、ということになります。

主に糖質を摂取するタイミングは食事なので、炭水化物を食事で摂取すると血糖値は上がり、反対に運動などエネルギーを消費することで、血糖値は低くなります。

また、体の中にはインスリンと呼ばれる血糖値を低くするホルモン、そして逆に高めるホルモンのバランスによって、健康な人の体では一定の範囲内に血糖値がおさまるよう自動的にコントロールがきいているのです。

そんな血糖に関わる体の仕組みに異常があり、血糖値を下げるインスリンの分泌が少なくなる、もしくは、遺伝的に血糖値に異常が出てしまうということが原因で糖尿病となってしまうのです。

そして、糖尿病を発症してしまう原因としていわれているのは、

  • 遺伝的な体質が原因
  • 高脂肪食などの過食が原因
  • 運動不足が原因
  • 肥満が原因
  • ストレスや加齢が原因

など、様々な要因から糖尿病は発症することがわかっています。また、日本人は遺伝的にインスリンの分泌が少ない人も多く、そのため体質と生活習慣によって糖尿病にかかりやすくなってしまうのです。

糖尿病の種類は?

このような原因で糖尿病は発祥していきますが、糖尿病には種類も様々あります。ここで紹介しておきましょう。

1型糖尿病

インスリンを生成する膵臓(すいぞう)の機能が何らかの原因で低下することで、インスリン分泌がなくなるため起こる場合。子供や若年者に多いと言われる糖尿病の種類。

2型糖尿病

日本人の9割が2型糖尿病といわれるほどメジャーな種類。先にあげた糖尿病の原因である、過食や運動不足、肥満やストレスなどから発症するため”生活習慣病”とも呼ばれています。また、一見肥満でなくとも、内臓脂肪が多くなる、メタボリックシンドローム(通称:メタボ)の人も発症しやすいと言われています。

妊娠糖尿病

妊娠時に発見・発症した、糖尿病には至らない糖代謝異常のことを指します。妊娠中は糖質がわずかに高くても胎児に影響を与えてしまうため、糖尿病出ない場合でも、「妊娠糖尿病」という言い方をします。

特定原因による糖尿病

遺伝子的な異常やある薬剤に起因して発症する糖尿病のことを指します。

糖尿病の症状は?

糖尿病の症状は、血糖値が慢性的に高くなることを原因としているため、次のようなことが主に言われています。

  • 尿の量が多くなる = 糖は尿に出るとき、水分を含むため多尿になる
  • 水をたくさん飲む = 多尿のため、水分補給を頻繁にするようになる
  • 体重が減少する = 糖が尿から出てしまい、タンパク質や脂肪をエネルギー源とするため、体重が減る
  • 疲れやすくなる = 糖が尿から出てしまうため、エネルギー不足となり疲れやすくなる

この症状を見て分かる通り、糖尿病はその名の通り、『糖』が『尿』からたくさん出てしまうことで起こる『病』と言い換えることが出来るかもしれません。

血糖が高くなると、結果的に血管が細くなる?

では、血糖が高くなると血管内でどんなことが起こってしまうのでしょうか?

血液中のブドウ糖は正常範囲内であれば、細胞はエネルギーとしてすべて利用していきます。しかし、ブドウ糖が増えすぎてしまうと、ソルビトールと呼ばれる物質が大量に生成されるようになります。

このソルビトールは、大量にたまると細胞を傷つけてしまいます。これが血管中で起こった場合、傷ついた血管の細胞を修復する機能が働きます。

すると、血管内の壁は以前よりも厚みを増していき、結果的に血液の通り道を細くしてしまうのです。これが動脈硬化の一因となってしまい、血液がうまく血管を巡らなくなり、大きな病気の原因となってしまうことが、糖尿病の最大のリスクといえるでしょう。

糖尿病が危険な理由は、”合併症を誘発する”こと

糖尿病の自覚症状は、一見するとあまり気にしなくてもいいかなと思えるものばかりでした。しかし、糖尿病がコワい理由は症状そのものではありません。それは、糖尿病を起因とする合併症の誘発なのです。

また、先ほどの自覚症状は、軽症や場合によっては本人でさえ気づかないこともあるので、気づいたときには重度の糖尿病になっているという場合もあるので要注意です。

では、合併症とはどのような病気になってしまうのでしょうか?実際に見ていきましょう。

糖尿病網膜症

網膜の血管に障害が起き、目が霞む、視力が低下するなどといった症状が現れてきます。症状が進んでしまった場合、最悪失明の可能性もあるものです。

糖尿病腎症

糖尿病で腎臓の機能が低下していくと、血圧が上昇する・尿中にたんぱくがでるなどの症状が現れてきます。さらに進行すると血液中に老廃物がたまっていき、腎不全なども引き起こすことがあります。また、腎不全になってしまった場合、人工透析を受ける必要ができてしまいます。

糖尿病神経障害

糖尿病により神経が阻害されると、脳から発せされる信号がうまく体に行き届かなくなってしまいます。そうなると、手足がしびれたり、痛みなどが症状として現れてきます。また、足の感覚が麻痺し、足の傷などを放置してしまうと重篤な状態になってしまう可能性があります。

ここまであげた合併症は、”糖尿病の3大合併症”とも呼ばれているため注意が必要です。また、脳梗塞や心筋梗塞といった、動脈硬化が原因として起こる危険な病気も合併症のなかに含まれています。

糖尿病の検査項目は?

糖尿病の検査項目としては、血液検査による検査が一般的です。空腹時血糖やHbA1c(ヘモグロビンA1c)の数値によって、糖尿病であるかどうかのチェックを行います。

また、尿糖による検査でも発見は可能ですが、糖尿病が進行しないと尿糖は出てこないため、早期発見のためには血液検査が重要になります。

糖尿病の基準値は?

糖尿病の診断の際の基準値は以下のとおりです。

血糖

  • 空腹時血糖値が 126mg/dL 以上である(基準値:70-109mg/dL)
  • ブドウ糖負荷試験 2時間値 200mg以上である
  • 随時血糖値が 200mg以上である

 

ヘモグロビン

  • HbA1cが 6.5% 以上である(基準値:4.6%-6.2%)

 

上記の血糖とヘモグロビンのいずれかが該当する場合、「糖尿病型」であると診断され、再検査し同様の結果の場合、糖尿病と診断されます。

糖尿病を予防するための食事とは?

糖尿病を予防するためには、やはり食生活の改善は1番大きなポイントになります。

ここまで見てきたとおり、糖尿病とは、血中のブドウ糖が多くなる(=血糖値が高い)ことが慢性化することが原因となります。基本的なことにはなりますが、

  • 朝、昼、晩、の3食をバランス良く食べること
  • カロリー摂取のバランスを考え、食事のレシピを工夫すること
  • 炭水化物の取りすぎ、脂質の取りすぎに注意すること
  • 適度な運動を習慣化すること

上記の対策を継続して行うことが最も大切です。

処理できないほど大量の糖質を摂取しないことと、摂取した糖質をしっかりとエネルギーとして消費することができれば、体の糖質のバランスを保つことが出来る、という仕組みを理解することが大切です。

まとめ

生活習慣が最も影響する「糖尿病」という病気。一見するとピンとこない病名なので知ったかぶりしてしまいますが、糖が血液中に多く存在し、処理しきれない糖が尿から排出されてしまう。やがて血管中の細胞を壊し、それにより起こる動脈硬化によって、様々な合併症を引き起こす、といった流れを覚えておきましょう。