大腸がんは日本人男性において、罹患数・死亡数ともに上位に挙げられる疾患です。早期に発見すれば治療によって完治を目指せる一方で、初期段階では自覚症状が乏しいため、気づかずに進行してしまうケースも少なくありません。
本記事では、男性に多い大腸がんに注目し、初期症状、代表的なサイン、原因、見逃されやすい体調の変化についてわかりやすく解説します。普段の便の状態やお腹の違和感が、もしかしたら重大なサインかもしれません。ぜひご自身の体調管理にお役立てください。
目次
大腸がんとは?男性に多い理由と基本知識
大腸がんとは、大腸(結腸や直腸)の粘膜から発生する悪性腫瘍で、40代以降の男性に多く発症します。とくに生活習慣の乱れや肥満、飲酒・喫煙といったリスク要因が男性に多いため、女性よりも高い罹患率が見られます。
初期の大腸がんは症状が出にくく、発見が遅れることが多いため、症状の早期察知と定期的な検診が重要です。
大腸がんの初期症状と気づきにくい体調の変化
大腸がんの初期症状は、軽度で慢性的なものが多く、日常の変化と見過ごされやすいのが特徴です。
血便や下血に注意
便に混じる血液(血便)や、肛門からの出血(下血)は大腸がんのサインの一つです。痔と誤認しやすいため注意が必要です。便の表面に赤い血が付着していたり、黒っぽい便(タール便)が続く場合には早期の検査が推奨されます。
便秘・下痢の繰り返し
腸内にがんがあると、便の通り道が狭まり便秘や下痢が交互に繰り返されることがあります。特に急に便通のリズムが変わった場合は、注意が必要です。
便が細くなる
がんの進行により腸の内腔が狭くなると、鉛筆のように細い便が出ることがあります。これもがんの可能性を示唆する兆候のひとつです。
腹痛・腹部膨満感
腫瘍が腸を圧迫することで、鈍い腹痛や張り感(膨満感)を感じることがあります。慢性的な腹部不快感が続くようであれば、検査が必要です。
貧血・体重減少
大腸がんによる慢性的な出血が貧血を引き起こすことがあります。また、がんの進行に伴い体重が急激に減少するのも大きなサインです。
大腸がんの原因:生活習慣と体質が影響
大腸がんの発症には、複数の因子が関与しています。とくに以下の点がリスクとして知られています。
食生活の偏り
動物性脂肪や赤身肉の摂取が多い食事は、大腸がんのリスクを高めるとされています。野菜や食物繊維が不足している食生活にも注意が必要です。
運動不足と肥満
運動不足により腸の蠕動運動が低下し、便秘がちになると、腸内に有害物質がとどまりやすくなります。また、内臓脂肪型肥満もがんのリスクを高めます。
飲酒と喫煙
大量の飲酒や長期的な喫煙も、大腸がんのリスクを増加させる要因です。これらは生活習慣の改善によって予防可能です。
遺伝的要素
家族に大腸がんの患者がいる場合、遺伝的な体質も関係することがあります。そうした場合は若年でも定期的な検診が推奨されます。
早期発見のカギは「いつもと違う便」に気づくこと
大腸がんは早期であればあるほど、治療の選択肢が広がり、予後も良好です。そのためには、日常的な体調の変化、とくに便の状態を見逃さないことが極めて重要です。
血便、便秘や下痢の変化、便の細さ、腹部の違和感などが見られたら、恥ずかしがらずに消化器内科など専門医を受診しましょう。また、40歳を過ぎたら年に一度は便潜血検査や大腸内視鏡検査を受けることもおすすめです。
ご自身やご家族の健康を守るためにも、「便からのサイン」に日頃から敏感になり、大腸がんの早期発見・予防につなげていきましょう。