男性に多い肺がんの初期症状とは?咳・血痰・胸痛に要注意

肺がんは日本人男性のがん死因の上位を占める疾患であり、早期発見が治療成績を大きく左右します。しかし、初期には目立った症状が出にくく、咳や痰、軽い胸の違和感など「見逃しやすいサイン」が多く含まれます。

本記事では、男性に多く見られる肺がんの初期症状について、信頼性の高い医療情報をもとに症状別の特徴や注意点を詳しく解説します。症状を正しく知ることで、早期受診につなげ、重症化を防ぐきっかけにしていただけます。

肺がんとは?男性に多いがんの特徴

肺がんは、肺の細胞が異常に増殖してできる悪性腫瘍で、大きく「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」に分類されます。男性に多いのは主に非小細胞肺がんで、喫煙歴の有無が発症に大きく関係していることが多くの研究で明らかになっています。

喫煙と肺がんの関連

喫煙者は非喫煙者に比べておよそ20倍以上肺がんのリスクが高いとされており、特に1日20本以上、10年以上の喫煙歴がある人は高リスク群に該当します。たばこの煙に含まれるベンゾピレンなどの発がん物質が、肺の粘膜を慢性的に傷つけることでがん化が進行します。

加齢と遺伝的要因

肺がんの発症リスクは年齢とともに増加し、特に60代後半〜70代の男性に多く見られます。また、家族に肺がんの既往歴がある場合も注意が必要です。最近の研究では、遺伝的変異や生活習慣の複合的要因が発症に関与していると考えられています。

肺がんの初期症状とは?見逃されやすい兆候を確認

肺がんの初期症状は、風邪や喉の不調と似ていることが多いため、軽視されがちです。以下のような症状が長期間続く場合は、早めに専門医の診察を受けることが推奨されます。

咳(せき)が続く

初期の肺がんでは、慢性的な乾いた咳(空咳)や痰を伴う咳が見られます。特に2週間以上持続する咳は単なる風邪ではない可能性があります。がんが気道を刺激し続けることで、咳反射が常に起こるためです。

痰が増える・変色する

痰が透明から黄色、緑色などに変化したり、量が増えたりする場合は注意が必要です。炎症やがん細胞の影響で分泌物が増加し、細菌感染の合併が起こっている可能性もあります。

血痰(けったん)が出る

血が混じった痰は肺がんの非常に特徴的な症状であり、無視してはいけません。微量でも繰り返し見られる場合は、速やかにCT検査など精密検査を受けましょう。

胸痛(胸の違和感)

咳や深呼吸の際に胸に鋭い痛みを感じる場合、がんが胸膜や肋骨周辺に浸潤している可能性があります。胸部に限らず背中に響くような痛みも要注意です。

息切れ・呼吸困難

初期段階でも、がんの影響で肺機能が低下し、わずかな運動でも息切れを感じることがあります。特に階段の昇降や坂道での動作に変化を感じた場合は注意が必要です。

声のかすれ(嗄声)

声帯周辺の神経(反回神経)ががんによって圧迫されると、声がかすれたり、話しにくくなったりする症状が現れます。風邪が治っても声の調子が戻らない場合は、耳鼻咽喉科ではなく呼吸器内科の受診を検討しましょう。

受診を検討すべきタイミングとは?

次のような症状が見られる場合は、自己判断せず早急に医療機関での精密検査が必要です。

  • 咳が2週間以上続いている
  • 血痰が1回でも出たことがある
  • 胸の痛みが運動や咳で悪化する
  • 軽い運動でも息切れを感じるようになった
  • 声の調子が1週間以上続けておかしい

特に複数の症状が重なっている場合は、がんの進行が始まっている可能性もあるため、放置は厳禁です。

肺がんを疑った場合の診断・検査の流れ

肺がんは早期に発見できれば完治の可能性もあるがんです。診断には複数の検査が組み合わされて行われます。

胸部レントゲン・CT検査

まず行われるのは画像検査で、肺に影や結節があるかを確認します。CT検査はレントゲンに比べて解像度が高く、数ミリの異常も発見できるため、初期診断において非常に重要です。

喀痰検査・気管支鏡検査

痰の中にがん細胞が含まれていないかを確認する「喀痰細胞診」や、気管支の内部をカメラで直接確認し生検を行う「気管支鏡検査」が次のステップとなります。必要に応じてPET-CTや組織検査も追加されます。

治療の第一歩は早期発見から

肺がんは進行が早く、ステージIII・IVまで進行してからの発見が多いという現実があります。しかし、初期段階での発見ならば、手術や放射線治療のみで完治が目指せるケースも多くあります。

特に最近では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など、患者一人ひとりに合わせた治療法(個別化医療)が登場しており、治療の幅が広がっています。そのためにも、日々の体調の変化を軽視せず、早めに行動することが鍵となります。

まとめ

肺がん(男性)の初期症状は咳・痰・血痰・胸痛・息切れ・声のかすれなど、日常でも起こりうる症状と似ているため、見逃されがちです。しかし、これらのサインが2週間以上続いた場合、または複数の症状が併発している場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。

特に喫煙歴がある方、60歳以上の男性、家族にがん患者がいる方はリスクが高いため、少しの異変も放置せず、定期的な健康診断と症状への注意を心がけることが大切です。この記事を参考に、自分や家族の健康管理に役立てていただければ幸いです。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。