乳がんは日本人女性が最もかかりやすいがんで、生涯で9人に1人が罹患するといわれています。40〜50代に多いですが、30代でも決して珍しくありません。早期発見できれば5年生存率は90%以上と予後良好なため、定期的な検診とセルフチェックの習慣が命を救います。
本記事では乳がんの初期症状・原因・検診方法の違い、セルフチェックのやり方と治療の概要まで詳しく解説します。
目次
乳がんの初期症状
しこり(腫瘤)
乳がんで最も多い自覚症状は乳房内のしこりです。初期は1〜2cm程度の小さなしこりで、硬い・形が不規則・表面が凸凹している・押しても動かないのが乳がんのしこりの特徴です。
良性の乳腺線維腺腫のしこりは「ツルッと動く」感触が多く、乳がんとは異なりますが、自己判断は危険なため、しこりを感じたら必ず受診してください。
乳房の変形・皮膚の変化
乳がんが進行すると、乳房の形の変化・乳頭の陥没(引き込み)・乳房の皮膚がオレンジの皮のようにボコボコとする「皮膚のえくぼ(ディンプリング)」が現れることがあります。乳首から血性(赤い)または透明な分泌液が出る場合も要注意です。
リンパ節の腫れ
わきの下(腋窩)のリンパ節が腫れる場合は、乳がんがリンパ節に転移している可能性があります。わきの下にしこりを感じたら乳腺科・外科を受診してください。
乳がんの原因とリスク因子
乳がんの根本的な原因は複数の要因が絡み合っています。女性ホルモン(エストロゲン)への長期曝露が大きなリスク因子で、以下の場合にリスクが高まります。
主なリスク因子
初潮が早い・閉経が遅い・出産未経験・授乳経験がない・肥満(特に閉経後)は女性ホルモン曝露期間が長くなるためリスクが高まります。また、BRCA1・BRCA2遺伝子変異(家族性乳がん)、アルコール摂取、喫煙、高脂肪食もリスク因子です。
一方で、授乳・定期的な運動・標準体重の維持はリスクを下げる保護因子として知られています。
乳がん検診:マンモグラフィとエコーの違い
| 項目 | マンモグラフィ | 超音波(エコー) |
|---|---|---|
| 対象 | 40歳以上(特に閉経後) | 30〜40代(高濃度乳腺) |
| 得意な病変 | 石灰化・1cm以下の腫瘤 | しこり・嚢胞の形態観察 |
| 放射線 | あり(少量) | なし |
| 高濃度乳腺 | 見えにくい場合がある | 向いている |
自治体の乳がん検診は40歳以上に2年に1回のマンモグラフィが基本ですが、乳腺が発達した高濃度乳腺の方は超音波との併用が推奨されます。35〜39歳の方も人間ドックでの検診が可能です。
セルフチェックの方法
月に1回のセルフチェックで早期発見の確率が高まります。月経終了後3〜7日(閉経後は毎月1日など決まった日)に行いましょう。
チェック手順
視診:鏡の前で腕を上げ下げしながら、乳房の形・くぼみ・引きつれ・乳首の変化を確認します。
触診:入浴中や仰向けに寝て、3〜4本の指の腹を使い、乳房全体・わきの下・鎖骨周辺を円を描くように触れます。しこり・硬い部分・押したときの痛みに注意してください。
セルフチェックで異常を感じた場合は、乳腺外科・乳腺科を受診してください。
乳がんの診断方法
画像検査(マンモグラフィ・超音波)で異常が見つかった場合、細胞診・針生検(組織診)で確定診断が行われます。がんと確認されたら、ホルモン受容体(ER・PgR)・HER2・Ki67などの検査でがんのタイプを分類し、最適な治療法を選択します。
乳がんの治療
手術
早期乳がんでは乳房温存手術(がん部分だけを切除)が可能なことが多く、術後に放射線療法を追加します。がんの広がりによっては全摘手術が必要な場合もありますが、現在は再建手術も充実しています。
薬物療法
乳がんの約70%はホルモン感受性型(ルミナル型)で、ホルモン療法(タモキシフェン・アロマターゼ阻害薬)が有効です。HER2陽性型には分子標的薬(トラスツズマブ)、トリプルネガティブ型には抗がん剤が使われます。
近年は免疫チェックポイント阻害薬やCDK4/6阻害薬など新しい治療薬も登場し、治療の選択肢が広がっています。
まとめ
乳がんは早期発見で高い確率で治癒できる「早期発見が最大の武器」のがんです。40歳以上は2年に1回のマンモグラフィ検診を必ず受け、月に1回のセルフチェックを習慣化しましょう。
しこりや乳首の変化・分泌液・わきの下の腫れに気づいたら、放置せずすぐに乳腺外科を受診してください。早期乳がんなら90%以上が治る時代です。










