すい臓がんの初期症状と早期発見|CA19-9検査・難治性の理由と治療法を解説

すい臓がんは「見えにくいがん」とも呼ばれ、がんの中でも特に予後が厳しい疾患として知られています。

早期発見が非常に難しく、症状が現れたときにはすでに進行していることが多いのが現状です。しかし、リスク因子を知り、適切な検査を受けることで早期発見の可能性は高まります。この記事では、すい臓がんの初期症状・CA19-9検査・難治性の理由・治療法について詳しく解説します。

すい臓がんとはどんな病気か

すい臓(膵臓)は胃の後ろに位置する約15cmの臓器で、消化酵素を分泌する「外分泌機能」と、インスリンなどのホルモンを分泌する「内分泌機能」を持っています。

すい臓がんのほとんどは、膵管の細胞から発生する膵管腺がんです。膵臓は体の深部に位置するため画像で確認しにくく、早期発見が特に困難ながんの一つです。

すい臓がんの初期症状

すい臓がんの最大の問題は、初期段階ではほぼ無症状であることです。がんが進行してから以下のような症状が現れてきます。

  • 腹痛・腹部不快感(みぞおち周辺の鈍い痛み)
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
  • 体重減少・食欲不振
  • 背中・腰の痛み
  • 血糖値の急激な悪化(新たに糖尿病を発症、または急に悪化)
  • 倦怠感・消化不良

特に黄疸は膵頭部(すい臓の頭側)にがんができた際に胆管が圧迫されて現れる症状で、比較的早い時期に気づかれやすいサインです。黄疸が現れた場合は早急に消化器内科または外科を受診してください。

背中の痛みとすい臓がんの関係

「背中が痛い=すい臓がんかも」と心配する方もいますが、背中の痛みがすい臓がんに特有の症状というわけではありません。しかし、すい臓体部・尾部に発生したがんが後腹膜(腹腔の後ろの組織)へ浸潤すると、背中から腰にかけての鈍痛や持続的な痛みが現れることがあります。

他の原因(腰痛・筋肉痛など)と区別がつきにくいですが、食欲不振や体重減少を伴う場合は要注意です。

CA19-9検査とは何か

CA19-9は膵臓がんや胆道がん・大腸がんなどで高くなる腫瘍マーカーです。血液検査で測定でき、すい臓がんの補助的な診断・治療効果の確認・再発監視に使われています。

しかし、CA19-9はすい臓がんの早期発見に単独では適していません。初期段階では値が正常範囲内であることが多く、また膵炎・胆道炎・糖尿病でも高値になることがあるため(偽陽性)、CA19-9だけでがんを診断することはできません。

CA19-9の限界を補う検査

CA19-9高値が出た場合は、腹部超音波検査・腹部CT検査・MRI検査・EUS(超音波内視鏡)など画像検査で精密に確認することが重要です。EUSは胃や十二指腸から内視鏡を挿入し、すい臓を直接近くから観察できる検査で、早期のすい臓がんの発見に有用です。

さらに、MRCP(磁気共鳴膵胆管造影)で膵管の形状異常を確認することも診断に役立ちます。

すい臓がんが難治性とされる理由

すい臓がんの5年相対生存率は約12〜13%とされており、主要ながんの中で最も低い水準です。難治性の主な理由は以下の通りです。

  • 早期発見が難しい:体の深部に位置し、初期症状がない
  • 進行が速い:発見時にはすでに周囲臓器・血管・リンパ節へ浸潤していることが多い
  • 転移しやすい:肝臓・肺・腹膜への転移が早期から起こりやすい
  • 化学療法が効きにくい:すい臓がんは間質組織が豊富で、抗がん剤が届きにくい特性がある

すい臓がんを早期(ステージⅠ)で発見できれば5年生存率は約70〜80%とされており、早期発見が予後を劇的に改善します。

すい臓がんのリスク因子

すい臓がんのリスクを高める因子には以下のものがあります。

  • 喫煙(最大のリスク因子のひとつ)
  • 慢性膵炎・膵嚢胞(IPMNなど)
  • 糖尿病(特に急激に悪化した場合)
  • 肥満・過度の飲酒
  • 家族歴(BRCA2変異など遺伝性素因)
  • 50歳以上の男性(やや多い)

すい臓がんの治療法

手術療法

切除可能な場合、膵頭十二指腸切除術(Whipple手術)や膵体尾部切除術が行われます。根治が期待できる唯一の治療法ですが、手術適応になるのは全体の約20〜30%程度にとどまります。

化学療法・放射線療法

切除不能な場合や術後の補助療法として化学療法(ゲムシタビン・S-1・FOLFIRINOX療法など)が行われます。放射線療法との組み合わせ(化学放射線療法)も局所進行がんに用いられます。

近年はオラパリブなどのPARP阻害剤や免疫療法の研究も進んでおり、治療の選択肢が少しずつ広がっています。

早期発見のために今できること

すい臓がんの早期発見には、以下の取り組みが有効です。

  • リスク因子がある方は年1回の腹部超音波検査・MRI検査
  • IPMNなど膵嚢胞がある方は定期的な経過観察
  • 糖尿病の突然の悪化・体重減少・黄疸などの症状を見逃さない
  • 禁煙・節酒・肥満の解消

まとめ

すい臓がんは初期症状がほとんどなく、早期発見が非常に難しい難治性のがんです。CA19-9検査は診断の補助にはなりますが、それだけでは早期発見はできません。

リスク因子をもつ方は積極的に検診を受け、気になる症状(黄疸・腹痛・体重減少・背中の痛み)があれば早めに消化器内科を受診することが、早期発見への最善の道です。

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20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。