ABI検査とは?足の血流と動脈硬化がわかる検査の基準値と見方

歩いているときに足が痛くなる、足が冷たい、傷が治りにくいといった症状はありませんか。

これらは足の血流が悪くなっている「末梢動脈疾患(PAD)」のサインかもしれません。

本記事では、足の血流状態を簡単に評価できる「ABI検査」について、仕組みや基準値、結果の見方を詳しく解説します。

ABI検査とは

ABI(Ankle Brachial Index:足関節上腕血圧比)検査は、足首と上腕の血圧を測定し、その比率から足の血流状態を評価する検査です。

通常、足首の血圧は上腕の血圧と同じか、やや高くなります。しかし、足の動脈に狭窄や閉塞があると、足首の血圧が低下し、ABIの値が下がります。

この検査は非侵襲的で痛みがなく、10〜15分程度で終わるため、人間ドックや健康診断のオプション検査として広く行われています。

ABI検査でわかること

末梢動脈疾患(PAD)の診断

末梢動脈疾患は、足の動脈が動脈硬化により狭くなったり詰まったりする疾患です。

ABI値が0.9未満の場合、末梢動脈疾患が疑われます。症状がない場合でも、ABIが低いと将来的に心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高いことが知られています。

動脈硬化の進行度

ABIは全身の動脈硬化の指標としても有用です。ABIが低い場合、足だけでなく心臓や脳の血管にも動脈硬化が進行している可能性があります。

そのため、ABI検査は心血管疾患のリスク評価にも活用されています。

間欠性跛行の原因評価

歩行中に足が痛くなり、休むと楽になる「間欠性跛行」は、末梢動脈疾患の典型的な症状です。ABI検査により、この症状が血流障害によるものかどうかを評価できます。

ABI検査の基準値と判定

ABI値 判定
1.0〜1.4 正常
0.91〜0.99 境界域(経過観察)
0.9以下 末梢動脈疾患の疑い
1.4以上 動脈の石灰化(血管が硬い)

ABI値が0.9以下の場合は、血管外科や循環器内科での精密検査が推奨されます。

また、1.4以上の場合は動脈の石灰化により血管が硬くなっている可能性があり、これも動脈硬化の一形態として注意が必要です。

ABI検査の流れ

ABI検査は以下の流れで行われます。

まず、ベッドに仰向けになり、両腕と両足首に血圧計のカフを巻きます。

次に、四肢の血圧を同時に測定します。検査は痛みがなく、所要時間は10〜15分程度です。

検査前の食事制限などは特に必要ありません。ただし、足首にカフを巻くため、ズボンは膝上まで上げられる服装が望ましいです。

ABI検査を受けるべき人

以下に該当する方は、ABI検査を検討してみてください。

歩行中に足が痛くなる、足が冷たい、足の傷が治りにくいなどの症状がある方は、末梢動脈疾患の可能性を評価するために検査が有用です。

糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙習慣がある方は、動脈硬化が進行しやすいため、定期的なチェックが推奨されます。

また、50歳以上の方や、心筋梗塞・脳梗塞の既往がある方も対象となります。

ABIが低かった場合の対応

ABI値が0.9以下だった場合は、血管外科や循環器内科を受診しましょう。超音波検査やCT血管造影などで、血管の狭窄部位や程度を詳しく調べます。

治療は、生活習慣の改善(禁煙、運動療法、食事療法)が基本です。症状が強い場合や血流障害が高度な場合は、薬物療法やカテーテル治療、バイパス手術が検討されることもあります。

末梢動脈疾患は全身の動脈硬化の現れであるため、心臓や脳の血管も合わせて評価することが重要です。

まとめ

ABI検査は、足首と上腕の血圧比から足の血流状態を評価する簡便な検査です。

ABI値が0.9以下の場合は末梢動脈疾患が疑われ、心血管疾患のリスクも高いと考えられます。

歩行時の足の痛みや冷感がある方、生活習慣病がある方は、ABI検査を活用して血管の健康をチェックしてみてください。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。