近年、梅毒の感染者数が増加傾向にあり、性感染症への関心が高まっています。
梅毒検査は人間ドックや健康診断のオプション、また妊婦健診などで実施されることがあります。
本記事では、梅毒検査で用いられるRPRとTPHAの違いや基準値、偽陽性が起こるケース、そして陽性だった場合の対応について詳しく解説します。
目次
梅毒とは
梅毒は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌による性感染症です。性的接触によって感染し、感染後は段階的に症状が進行します。
第1期では感染部位にしこり(硬性下疳)が現れ、第2期では全身に発疹が出ることがあります。治療せずに放置すると、心臓や神経系に影響を及ぼす第3期・第4期へと進行する可能性があります。
早期発見・早期治療により完治が可能な疾患であるため、定期的な検査が重要です。
梅毒検査の種類
RPR検査(非トレポネーマ検査)
RPR(Rapid Plasma Reagin)検査は、梅毒感染によって体内で産生される抗体(レアギン抗体)を検出するスクリーニング検査です。
感染から約4〜6週間後に陽性となることが多く、治療効果の判定にも使用されます。治療により抗体価が低下するため、治療経過のモニタリングに適しています。
ただし、梅毒以外の疾患でも陽性となる偽陽性が起こりやすい特徴があります。
TPHA検査(トレポネーマ検査)
TPHA(Treponema Pallidum Hemagglutination Assay)検査は、梅毒トレポネーマに対する特異的な抗体を検出する確認検査です。
RPR検査よりも特異性が高く、偽陽性が少ないのが特徴です。ただし、一度感染すると治療後も陽性が持続することが多いため、過去の感染歴と現在の感染を区別するにはRPR検査との併用が必要です。
RPRとTPHAの結果の組み合わせと解釈
| RPR | TPHA | 解釈 |
|---|---|---|
| 陰性 | 陰性 | 梅毒感染なし(または感染初期) |
| 陽性 | 陰性 | 偽陽性の可能性が高い |
| 陰性 | 陽性 | 過去の感染(治癒後)または感染初期 |
| 陽性 | 陽性 | 梅毒感染(現在または過去) |
両検査が陽性の場合、RPRの抗体価(定量値)を確認することで、現在活動性の感染があるかどうかを判断します。抗体価が高い場合は現在の感染を示唆し、低い場合は過去の感染や治療後の状態を示すことがあります。
梅毒検査で偽陽性となるケース
RPR検査は感度が高い反面、偽陽性が起こることがあります。偽陽性の原因として以下が挙げられます。
自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど)では、体内で産生される自己抗体がRPR検査に反応することがあります。
また、妊娠中やウイルス感染症(EBウイルス、肝炎ウイルスなど)、高齢者でも偽陽性が見られることがあります。
RPR陽性・TPHA陰性の場合は偽陽性の可能性が高いため、専門医による評価が必要です。
梅毒検査の流れと受け方
梅毒検査は血液検査で行われ、特別な前処置は必要ありません。人間ドックのオプション検査として追加できるほか、保健所では無料・匿名で検査を受けられる場合があります。
感染の機会から4〜6週間以上経過してから検査を受けることで、より正確な結果が得られます。感染直後は抗体が産生されていないため、陰性となる可能性があります(ウインドウ期)。
陽性だった場合の対応
検査で陽性と判定された場合は、皮膚科や泌尿器科、婦人科などの専門医を受診しましょう。
梅毒の治療にはペニシリン系抗菌薬が第一選択として使用されます。早期梅毒であれば、適切な治療により完治が期待できます。
パートナーへの感染リスクがあるため、パートナーの検査・治療も重要です。治療中は性的接触を控え、医師の指示に従って経過観察を受けましょう。
まとめ
梅毒検査はRPR検査とTPHA検査を組み合わせて行われ、それぞれの結果から感染の有無や時期を判断します。
RPR検査は偽陽性が起こりやすいため、陽性の場合はTPHA検査で確認することが重要です。
梅毒は早期発見・早期治療により完治可能な疾患です。感染リスクのある行為があった場合や、定期的な健康チェックとして、梅毒検査を検討してみてください。










