過敏性肺炎（Hypersensitivity Pneumonitis, HP）は、特定の有機物や化学物質を吸い込むことで引き起こされる肺の炎症性疾患です。カビ・菌・動物のふんや羽毛・薬剤などが原因となり、免疫反応が過剰に働くことで肺に炎症が発生します。
症状は発熱・咳・呼吸困難などですが、間質性肺炎と似ているため、診断にはCTスキャンや血液検査、肺機能検査が必要です。本記事では、過敏性肺炎の原因・症状・間質性肺炎との違い・治療法・CTによる診断について詳しく解説します。
目次
過敏性肺炎とは何か？原因と症状を詳しく解説
過敏性肺炎とは？
過敏性肺炎は、特定のアレルゲン（アレルギーを引き起こす物質）を長期間吸入することで肺に炎症が起こる病気です。
✔ 急性型：アレルゲンに短時間曝露後、数時間～1日以内に発症
✔ 慢性型：長期間の低濃度曝露によりじわじわと症状が悪化
過敏性肺炎の主な原因
カビ・菌類：農作業や加湿器の汚れた水、カビが発生した建物
鳥類の羽毛・糞：飼っている鳥や羽毛布団
化学物質・薬剤：特定の職業（塗装・工場作業など）での化学薬品吸入
木材や穀物の粉塵：木工職人や穀物倉庫での作業
ポイント！
過敏性肺炎はアレルギー疾患の一種ですが、一般的な喘息やアレルギー性鼻炎とは異なり、肺そのものに炎症を起こすのが特徴です。
過敏性肺炎の主な症状とその見分け方
急性型の症状（短時間で発症）
✅ 発熱・悪寒
✅ 乾いた咳（痰なし）
✅ 息苦しさ（特に運動時）
✅ 全身の倦怠感
発症後、アレルゲンを避けると症状は数日で改善しますが、長期間の曝露で慢性化すると治療が難しくなるため注意が必要です。
慢性型の症状（数か月～数年かけて進行）
✅ 進行性の息切れ（階段を登るのが辛くなる）
✅ 乾いた咳が長期間続く
✅ 体重減少・食欲不振
✅ 指先のばち指（肺が慢性的に低酸素状態になると発生）
注意！
慢性型になると肺の線維化（間質性肺炎と類似の状態）が進み、不可逆的なダメージを受ける可能性があります。早めの診断と対応が重要です。
過敏性肺炎と間質性肺炎の違いを徹底比較
| 過敏性肺炎 | 間質性肺炎 | |
|---|---|---|
| 原因 | カビ・菌・化学物質・鳥の羽毛など | 薬剤・ウイルス・自己免疫異常など |
| 症状 | 急性型（発熱・咳）と慢性型（呼吸困難） | 慢性の息切れ・乾いた咳 |
| 発症 | アレルゲン曝露がきっかけ | 特定の原因がなくても発症する |
| 治療法 | アレルゲン回避＋ステロイド治療 | ステロイドや免疫抑制剤 |
ポイント！
過敏性肺炎は「特定の物質を吸い込むことで発症する」のが特徴であり、アレルゲン回避が治療の鍵となります。
過敏性肺炎の治療法：最新のアプローチと注意点
1. アレルゲンの除去・回避
✔ 飼っている鳥を手放す（鳥関連過敏性肺炎の場合）
✔ 加湿器やエアコンのフィルターを定期的に清掃
✔ 職場での化学物質・粉塵曝露を避ける（マスク着用）
2. 薬物療法
ステロイド（プレドニゾロン）
✔ 肺の炎症を抑える
✔ 急性発作や慢性型で線維化を防ぐ
抗アレルギー薬
✔ 軽症の場合は抗ヒスタミン薬を併用することも
3. 生活習慣の見直し
✔ 禁煙（喫煙は肺の回復を妨げる）
✔ 規則正しい睡眠と食生活（免疫バランスを整える）
✔ 適度な運動で呼吸機能を維持
CTスキャンでわかる過敏性肺炎の特徴と診断方法
過敏性肺炎の診断方法
・症状のヒアリング（アレルゲンの有無を確認）
・血液検査（IgG抗体測定）（アレルゲン特異的抗体をチェック）
・肺機能検査（酸素交換能力を調べる）
・CTスキャン（画像診断）
CTスキャンでの特徴的な所見
✅ すりガラス様陰影（肺に炎症がある証拠）
✅ 小葉中心性結節（特定のエリアに炎症が集中）
✅ 肺の線維化（慢性型の場合）
CT検査によって、肺のどの部分に異常があるかを特定し、間質性肺炎との鑑別に役立ちます。
まとめ
過敏性肺炎は、アレルゲン（カビ・菌・鳥の羽毛・化学物質など）を吸い込むことで肺に炎症が起こる病気です。
主な症状：急性型は発熱・咳、慢性型は呼吸困難・線維化
間質性肺炎との違い：特定のアレルゲンが原因である点が異なる
治療法：アレルゲン回避＋ステロイド治療が中心
CT診断：すりガラス陰影や結節が特徴
過敏性肺炎は早期にアレルゲンを特定し、回避することが最も重要です。長期間放置すると肺の線維化が進行するため、気になる症状がある場合は早めに専門医を受診しましょう！
