尿検査のケトン体とは?基準値や陽性になった・プラスの原因、関連する疾患を知りたい

尿検査で計測することもある「ケトン体」。ダイエットのとき、ケトン体が出ると良いと聞いている人も多いかもしれませんが、本当に体にいいものなのでしょうか?

今回はそんなケトン体について、尿検査でケトン体とはそもそも何?尿検査でケトン体が陽性だった原因、プラスだった場合の原因や、考えられる疾患の可能性について詳しく解説していきます。

尿検査のケトン体とはわかりやすく?

尿検査で検出されるケトン体とは、体内で脂肪が分解される際に生成される化合物のことです。

通常、エネルギー源としては炭水化物が最初に使われますが、炭水化物が不足すると、体は脂肪を代わりにエネルギーとして利用します。この脂肪の代謝過程で生成されるのがケトン体です。

ケトン体には主に3種類あり、それぞれアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンです。

これらは血液中に放出され、エネルギーとして利用されますが、過剰に生成されると尿中に排出されるようになります。

尿中にケトン体が検出されることで、体内のエネルギー代謝の状況を把握することができます。

尿検査のケトン体が陽性の原因は?

尿検査でケトン体が陽性になる主な原因は以下の通りです:

糖尿病

糖尿病、とりわけ1型糖尿病では、体がインスリンを十分に生成できないため、細胞が血糖を利用できません。結果として、体は脂肪を代謝してエネルギーを得ようとし、その過程でケトン体が生成されます。

極端なダイエットや断食

極端な炭水化物制限ダイエットや断食により、体は脂肪をエネルギー源として利用するようになります。

この場合も、脂肪の代謝によりケトン体が生成され、尿中に排出されます。

激しい運動

激しい運動を行った場合、体はエネルギーを大量に消費し、脂肪をエネルギー源として利用することでケトン体が生成されます。

絶食や脱水

長期間の飢餓状態や栄養不良により、体は脂肪を主要なエネルギー源として利用し、ケトン体が生成されます。

アルコール中毒

アルコール中毒の場合、肝臓の機能が低下し、脂肪の代謝が増加してケトン体が生成されることがあります。

尿検査のケトン体の基準値が知りたい

尿中のケトン体の基準値は通常、検出されないか微量です。基準値は、

  • 陰性: ケトン体は検出されません

となり、陰性であることが基準値となります。

特に糖尿病患者の場合、中等量以上のケトン体が検出されるとケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシス)のリスクがあるため、早急な対策が求められます。

尿検査のケトン体がプラスの場合は?

尿検査でケトン体がプラス(陽性)となった場合、いくつかの対応が必要です。

健康診断の際の、絶食や脱水なども原因でプラスの結果になる場合もあります。

尿ケトン体は、糖尿病でもインスリンが欠乏しブドウ糖が利用出来なくても陽性になりますが、糖尿病ならば尿糖も陽性となるため、総合的に判断していくことが大切です。

また、飲酒後に血糖値が低下していると、脂肪分解が進みケトン体が出ることがあります。

適量の飲酒ではこのようなことは起こりにくいですが、適量は個人差がありますので、アルコールの分解能力が低い人は、少量の飲酒でもケトン体が生成される可能性があります。

特に以下の状況では注意が必要です。

糖尿病患者の場合

糖尿病患者でケトン体が陽性となった場合、血糖値の管理が不十分である可能性があります。この場合、以下の対策を講じることが重要です:

  1. 血糖値の確認: 血糖値を測定し、高血糖状態であればインスリンの投与量を調整します。
  2. 医師の指導を受ける: 早急に医師に相談し、適切な治療を受けることが必要です。特にケトアシドーシスのリスクがある場合は、緊急の医療対応が求められます。

ダイエット中の場合

ダイエット中でケトン体が陽性となった場合、炭水化物の摂取が極端に少ない可能性があります。以下の対策を検討します:

  1. 食事の見直し: 炭水化物の摂取量を増やし、バランスの取れた食事を心がけることで、ケトン体の生成を抑えます。
  2. 医師や栄養士に相談: 健康的なダイエット方法を指導してもらうために、専門家に相談することが重要です。

激しい運動を行っている場合

運動後にケトン体が陽性となった場合、体がエネルギー不足に陥っている可能性があります。以下の対策を講じます:

  1. 適切な栄養補給: 運動後には適切な栄養を補給し、エネルギー源として炭水化物を摂取することが重要です。
  2. 運動強度の調整: 運動の強度や頻度を調整し、体への負担を軽減します。

その他の原因による場合

飢餓状態やアルコール中毒など、他の原因でケトン体が陽性となった場合は、以下の対策が必要です:

  1. 栄養状態の改善: 適切な食事を摂取し、栄養状態を改善します。
  2. 医療機関での診察: 根本的な原因を特定し、適切な治療を受けるために医療機関で診察を受けることが重要です。

尿検査のケトン体で関連する疾患は何?

尿検査でケトン体が陽性となると、いくつかの疾患が関連している可能性があります。主な疾患は以下の通りです:

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

糖尿病性ケトアシドーシスは、特に1型糖尿病患者に多く見られる重篤な合併症です。インスリン不足により体がエネルギーを得るために脂肪を過剰に代謝し、ケトン体が大量に生成されます。これにより血液が酸性化し、命に関わる状態となります。症状には、頻尿、口渇、吐き気、腹痛、意識混濁などがあります。

飢餓ケトーシス

長期間の食事制限や飢餓状態に陥ると、体は脂肪を主要なエネルギー源として利用し、ケトン体が過剰に生成されます。この状態は飢餓ケトーシスと呼ばれ、疲労感や体重減少、脱水症状などを引き起こす可能性があります。

アルコールケトーシス

大量のアルコール摂取により、肝臓での代謝が乱れ、ケトン体が過剰に生成されることがあります。アルコールケトーシスは、特に栄養不良のアルコール依存症患者に多く見られます。症状には、吐き気、嘔吐、腹痛などが含まれます。

高脂血症

高脂血症は、血液中の脂質が異常に高い状態を指します。これにより、ケトン体が増加することがあります。高脂血症は、心血管疾患のリスクを高める要因となります。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの過剰分泌により、代謝が過剰に活発になる状態です。これにより脂肪の代謝が増加し、ケトン体が過剰に生成されることがあります。症状には、体重減少、発汗過多、心悸亢進などが含まれます。

まとめ

尿検査でケトン体が検出されることは、体内の代謝状況や健康状態に関する重要な情報を提供します。

ケトン体が陽性となる原因は多岐にわたり、糖尿病、飢餓状態、激しい運動など様々な要因が考えられます。

尿検査でケトン体が陽性の場合、速やかに適切な対策を講じることが重要です。

定期的な健康チェックやバランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、健康な生活を維持しましょう。


色々とカラダのことを調べてわかったのは、結局普段からの「健康診断」が本当に大切だということです。

私の父も糖尿病の診断を受けるまで全く健康診断をしていませんでした。手軽にしっかりとした検査をすることで、深刻な病状になる前に予防することができるのでおすすめです。