頭部MRI検査とは?脳ドックで発見できる病気と検査の流れを徹底解説

頭部MRI検査は、強い磁場と電波を使って脳の断層画像を撮影する検査です。

放射線を使わないため被曝がなく、脳の構造を詳細に観察できます。脳梗塞、脳腫瘍、脳動脈瘤、認知症などの早期発見に役立ち、脳ドックの中心的な検査として広く行われています。

本記事では、頭部MRI検査の特徴、発見できる病気、検査の流れについて詳しく解説します。

頭部MRI検査とは

MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)検査は、強い磁場と電波を使って体内の断層画像を撮影する検査です。頭部MRI検査では、脳実質、脳室、脳脊髄液、白質、灰白質などを詳細に観察できます。

CT検査と異なりX線を使用しないため被曝がなく、軟部組織(脳などの柔らかい組織)の描出に優れています。特に、脳梗塞の早期発見や、脳腫瘍の評価に非常に有用です。

脳ドックでは、頭部MRIと頭部MRA(脳血管撮影)を組み合わせて実施することが一般的です。

MRI検査のしくみ

MRI検査は、体内の水素原子(主に水分子に含まれる)の性質を利用して画像を作成します。

強い磁場の中に入ると、体内の水素原子が一定の方向に並びます。そこに電波(ラジオ波)を当てると、水素原子がエネルギーを吸収し、その後放出する信号を検出して画像化します。

組織によって水素原子の挙動が異なるため、脳の各部位を区別して描出することができます。撮影方法(シーケンス)を変えることで、さまざまな情報を得ることができます。

頭部MRI検査の流れ

頭部MRI検査は、MRI検査室で行われます。検査時間は20〜40分程度です。

まず、金属類(アクセサリー、時計、ヘアピン、入れ歯など)をすべて外します。金属類はMRIの画像に影響を与えるだけでなく、強い磁場で引き寄せられて危険なため、必ず外してください。

検査着に着替え、MRI装置の寝台に仰向けに寝ます。頭部を固定し、トンネル状の装置の中に入ります。検査中は「カンカン」「ガガガ」という大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓を装着します。検査中は動かないようにしてください。

頭部MRI検査で発見できる病気

頭部MRI検査では、脳のさまざまな病気を発見することができます。

脳梗塞(無症候性脳梗塞を含む)、脳腫瘍、脳動脈瘤、認知症、白質病変、脳出血後の変化などが主な対象疾患です。

脳ドックでは、症状がない段階で病気を発見し、予防や早期治療につなげることが目的となります。

無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)

無症候性脳梗塞は、症状がないにもかかわらず脳に小さな梗塞が見られる状態です。「隠れ脳梗塞」とも呼ばれ、脳ドックで発見されることが多い所見です。

MRI検査では、T2強調画像やFLAIR画像で高信号(白く見える)として描出されます。無症候性脳梗塞があると、将来的に症候性の脳梗塞を発症するリスクが高まるとされています。

発見された場合は、生活習慣の改善や危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)の管理が重要です。

脳腫瘍

脳腫瘍には、原発性(脳から発生)と転移性(他の部位のがんが転移)があります。MRI検査は脳腫瘍の検出に最も優れた画像検査です。

良性の髄膜腫や神経鞘腫などは、症状がなくても脳ドックで偶然発見されることがあります。これらは経過観察で対応できることも多いですが、定期的な画像フォローが必要です。

腫瘍の大きさ、位置、周囲組織との関係を詳細に評価でき、治療方針の決定に重要な情報を提供します。

白質病変(大脳白質病変)

白質病変は、脳の白質(神経線維が走る部分)に見られる変化で、加齢や動脈硬化に伴って増加します。

MRIのFLAIR画像やT2強調画像で、側脳室周囲や深部白質に高信号として描出されます。軽度であれば加齢に伴う変化として問題ありませんが、広範囲な白質病変は認知機能低下や脳卒中のリスク増加と関連するとされています。

白質病変が多い場合は、血圧管理など生活習慣の改善が推奨されます。

認知症の早期発見

MRI検査は、認知症の診断や早期発見にも役立ちます。アルツハイマー型認知症では、海馬(記憶に関わる部位)の萎縮が特徴的な所見として見られます。

また、血管性認知症では、多発性の脳梗塞や広範な白質病変が観察されます。これらの所見を早期に発見することで、認知症の予防や進行抑制につなげることができます。

物忘れなどの症状がある場合は、MRI検査と認知機能検査を組み合わせて評価します。

脳動脈瘤

脳動脈瘤は脳の血管にできるコブ状のふくらみで、破裂するとくも膜下出血を引き起こします。

頭部MRI検査では小さな未破裂動脈瘤も発見できますが、より詳細な評価には頭部MRA(脳血管撮影)が用いられます。脳ドックでは通常、MRIとMRAを組み合わせて実施します。

未破裂動脈瘤が発見された場合は、大きさや形状、位置などを考慮して、経過観察か治療かを判断します。

MRI検査の注意点と禁忌

MRI検査には、受けられない場合や注意が必要な場合があります。

心臓ペースメーカーや除細動器を装着している方は、原則としてMRI検査を受けられません。強い磁場がこれらの機器に悪影響を及ぼす可能性があるためです。ただし、MRI対応型の機器もあるため、事前に確認が必要です。

人工関節やステント、脳動脈瘤のクリップなどの金属を体内に入れている方は、事前に申告してください。多くの場合、最近のものはMRI対応素材ですが、古いものは検査できないことがあります。

閉所恐怖症の方は、検査中に不安を感じることがあります。事前に相談することで、鎮静剤の使用やオープン型MRIでの検査を検討できます。

脳ドックを受けるべき人

脳ドックは、脳の病気のリスクが高い方に特に推奨されます。

40歳以上で高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある方、喫煙習慣がある方、家族にくも膜下出血や脳卒中の既往がある方は、脳ドックを検討することをおすすめします。

また、頭痛やめまい、物忘れなどの症状がある方も、原因を調べるために頭部MRI検査が有用です。40〜50歳を過ぎたら、一度は脳ドックを受けてみることをおすすめします。

まとめ

頭部MRI検査は、放射線を使わずに脳の構造を詳細に観察できる検査です。

脳梗塞、脳腫瘍、脳動脈瘤、認知症、白質病変など、さまざまな脳の病気を早期に発見することができます。特に無症候性脳梗塞や未破裂動脈瘤は、症状がないうちに発見することで、重大な脳卒中を予防できる可能性があります。

脳ドックでは頭部MRIと頭部MRAを組み合わせて実施することが一般的です。40歳以上の方、生活習慣病がある方は、定期的な脳ドックで脳の健康をチェックすることをおすすめします。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。