人間ドックや健康診断のオプション検査として「SCC抗原検査」を目にしたことはありませんか。
SCC抗原は扁平上皮がんに関連する腫瘍マーカーで、子宮頸がんや肺の扁平上皮がん、食道がんなどの早期発見に活用されています。
本記事では、SCC抗原検査の仕組みや基準値、検査結果の見方、そして陽性だった場合の対応について詳しく解説します。がんの早期発見に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
SCC抗原検査とは
SCC抗原(Squamous Cell Carcinoma Antigen)は、扁平上皮細胞から産生されるタンパク質です。正常な状態でも微量に存在しますが、扁平上皮がんが発生すると血液中の濃度が上昇することがあります。
この特性を利用して、血液検査によりSCC抗原の値を測定し、がんの存在や進行度を推測する手がかりとします。特に子宮頸部、肺、食道、皮膚などに発生する扁平上皮がんのスクリーニングや経過観察に用いられています。
SCC抗原検査でわかる疾患
子宮頸がん
子宮頸がんの約80〜90%は扁平上皮がんであり、SCC抗原検査が有効とされています。特にステージが進行した子宮頸がんでは陽性率が高くなる傾向があり、治療効果の判定や再発の早期発見にも活用されます。
ただし、早期の子宮頸がんでは陽性率が低いため、子宮頸がん検診(細胞診・HPV検査)と併用することが推奨されています。
肺扁平上皮がん
肺がんにはいくつかの組織型がありますが、その中でも扁平上皮がんはSCC抗原と関連が深いタイプです。
喫煙者に多く見られる肺扁平上皮がんでは、SCC抗原値が上昇することがあります。肺がん検診では胸部CTが主流ですが、腫瘍マーカーを組み合わせることで総合的な評価が可能になります。
食道がん
食道がんの多くは扁平上皮がんであり、SCC抗原検査が補助的な役割を果たします。
飲酒や喫煙習慣のある方は食道がんのリスクが高いとされており、定期的な内視鏡検査とともにSCC抗原検査を受けることで、より早期の発見につながる可能性があります。
その他の扁平上皮がん
皮膚の扁平上皮がんや頭頸部がん(咽頭がん・喉頭がんなど)でもSCC抗原値が上昇することがあります。これらの疾患が疑われる場合にも、補助的な検査として活用されることがあります。
SCC抗原検査の基準値と結果の見方
SCC抗原の基準値は一般的に1.5ng/mL以下とされています。ただし、検査機関によって若干の差があるため、結果票に記載された基準範囲を確認することが大切です。
| 結果 | 判定 | 対応 |
|---|---|---|
| 1.5ng/mL以下 | 基準値内 | 特に問題なし |
| 1.5〜2.0ng/mL | 軽度上昇 | 経過観察または再検査 |
| 2.0ng/mL以上 | 要精密検査 | 専門医への受診を推奨 |
基準値を超えた場合でも、必ずしもがんがあるとは限りません。皮膚疾患(乾癬、アトピー性皮膚炎など)や気管支炎、腎機能低下などでも上昇することがあるため、総合的な判断が必要です。
SCC抗原検査で偽陽性となるケース
SCC抗原は扁平上皮細胞から産生されるため、がん以外の疾患でも値が上昇することがあります。
代表的な偽陽性の原因として、乾癬やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が挙げられます。また、気管支喘息や慢性気管支炎、腎不全なども影響を与えることがあります。
検査結果が陽性だった場合は、これらの要因がないかを確認し、必要に応じて再検査や精密検査を受けることが重要です。
SCC抗原検査を受ける際の注意点
SCC抗原検査は血液検査のため、特別な前処置は必要ありません。ただし、検査前に皮膚に炎症がある場合や、皮膚疾患の治療中である場合は、医師に伝えておくとよいでしょう。
また、SCC抗原検査はあくまでスクリーニング検査であり、確定診断には画像検査や組織検査(生検)が必要です。陽性だった場合は慌てず、専門医の指示に従って精密検査を受けましょう。
まとめ
SCC抗原検査は、子宮頸がんや肺扁平上皮がん、食道がんなどの扁平上皮がんに関連する腫瘍マーカー検査です。
基準値は1.5ng/mL以下が一般的ですが、皮膚疾患などでも上昇することがあるため、結果の解釈には注意が必要です。
がんの早期発見のためには、SCC抗原検査だけでなく、各部位に適した検診(子宮頸がん検診、胸部CT、内視鏡検査など)を組み合わせることが大切です。定期的な健康診断を活用し、自身の健康管理に役立てましょう。










