高血圧症は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状が少ないまま進行する重大な疾患です。 多くの人が「血圧が高いのは年齢のせい」と考えがちですが、実際には生活習慣や遺伝、環境要因などが複雑に絡み合っています。
本記事では、高血圧症の主な原因について詳しく解説し、日常生活の中でどのような点に注意すべきかを明らかにします。
目次
高血圧症とは？基本的な知識
高血圧症とは、安静時の血圧が持続的に正常範囲を超えて高い状態を指します。一般的に、
- 収縮期血圧（上の血圧）が140mmHg以上、または
- 拡張期血圧（下の血圧）が90mmHg以上
であれば、高血圧と診断されることが多いです。
放置すると心筋梗塞や脳卒中、腎機能障害など重大な合併症を引き起こす可能性があるため、早期に原因を理解し、予防や改善に取り組むことが重要です。
また、初期段階では特に自覚症状が現れにくく、「健康だから大丈夫」と思い込んでしまいがちですが、知らないうちにリスクを高めていることもあるため注意が必要です。
高血圧症の主な原因とは？
塩分の過剰摂取
食塩の摂取量が多いと、体内のナトリウム濃度が高まり、血圧が上昇しやすくなります。 特に日本人は味噌汁や漬物、加工食品など塩分の多い食文化があるため、意識的に減塩する工夫が必要です。 世界保健機関（WHO）では、1日あたりの塩分摂取量を5g未満にすることを推奨していますが、日本人の平均摂取量はそれを大きく上回っています。
運動不足と肥満
体重が増えると心臓に負担がかかり、血圧が上昇しやすくなります。 また、筋肉量の低下も血管の柔軟性を損なう要因の一つです。肥満はインスリン抵抗性や炎症反応にも関係しており、血圧の上昇をさらに助長します。 運動不足は基礎代謝の低下にもつながり、長期的に体重管理が難しくなります。
ストレス
ストレスを受けると交感神経が活性化し、一時的に血圧が上昇します。 この状態が続くと、慢性的な高血圧につながる可能性があります。さらに、ストレスは過食や飲酒、喫煙といった悪習慣を引き起こすこともあり、間接的にも血圧に影響を及ぼします。
遺伝的要因
家族に高血圧の人がいる場合、遺伝的に発症しやすい傾向があります。 高血圧は多因子性疾患であり、複数の遺伝子が関与しています。遺伝的素因がある人は特に生活習慣を整えることが重要です。 遺伝だからといって諦めるのではなく、環境因子を調整することで発症リスクを大きく減らすことが可能です。
加齢
年齢とともに血管の柔軟性が失われ、血圧が高くなる傾向があります。 血管の内皮機能が低下し、動脈硬化が進行することで血圧が上昇しやすくなります。特に50歳以降は、生活習慣病としての管理がより重要になります。
原因に対する具体的な対策
減塩の実践
調味料を見直す、だしの風味で味付けする、加工食品を控えるなど、日常的な工夫で塩分を減らすことが可能です。外食時は「減塩メニュー」を選ぶ意識も大切です。
継続的な運動
ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動を習慣にすることで、体重の管理と血管の健康を保てます。1日30分程度の軽い有酸素運動でも、継続することで血圧改善に寄与します。
ストレス管理
睡眠の質を高める、趣味の時間を持つ、深呼吸を意識するなど、心のケアも血圧管理に有効です。最近では、マインドフルネス瞑想やヨガもストレス緩和法として注目されています。
定期的な健康チェック
家庭用の血圧計で定期的に測定を行い、変化に気づくことが重要です。年1回の健診だけでなく、自分自身で日常的に管理することが予防につながります。
原因を理解し、生活改善へ
高血圧症は生活習慣の積み重ねによって予防・改善が可能な病気です。 自分の生活を見直し、塩分や運動、ストレスに注意を払いながら、早期から対策を始めることで、将来のリスクを減らすことができます。
遺伝的素因がある方も、「気をつければ防げる」という意識を持つことが大切です。 定期的な健康診断を活用しながら、正しい知識と行動を身につけていきましょう。
