有名人が持病として公表するなど、過敏性腸症候群という病気の名前は広まっていますが、実際にはどんな病気なのでしょうか?
過敏性腸症候群とは、原因が特定できないけれど、腹痛や下痢、便秘などの不快な症状が続いてしまうという病気のことで、日常生活にも支障が出てしまうことがあります。
今回は、そんな過敏性腸症候群について、症状の詳しい内容や原因、過敏性腸症候群の特徴、ガス型というのはどういうことなのか、治し方などについて詳しく解説していきます。
目次
過敏性腸症候群とは何?
過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん、Irritable Bowel Syndrome, IBS)は、消化管に異常が見られないにもかかわらず、腹痛や下痢、便秘などの不快な症状が慢性的に続く消化器疾患です。
この症状は特に大腸に関連しており、消化管の運動や感覚が過敏になることで引き起こされます。
IBSは、消化器官の疾患ではありますが、腸そのものに物理的な損傷や病変は存在しません。
そのため、内視鏡検査や血液検査では異常が見つからないことが多いのが特徴です。
IBSは機能性疾患と呼ばれ、症状は日常生活に影響を与えるほど深刻になることがあります。
原因は明確には解明されていませんが、ストレスや食生活、腸内細菌のバランス、自律神経の不調など、複数の要因が関与していると考えられています。
過敏性腸症候群の特徴はある?
過敏性腸症候群(IBS)の大きな特徴は、以下のポイントです:
1. 症状の持続
IBSは、少なくとも3か月以上にわたって繰り返し現れる腹部不快感や排便異常が特徴です。
これらの症状は、日常生活に支障をきたすほど強くなることもあります。
2. 身体的な異常が見つからない
IBSの症状があっても、内視鏡や画像検査では腸や消化管に明らかな異常が見つからない点が特徴です。
そのため、診断は主に症状に基づいて行われます。
3. 排便による症状の改善
症状は排便によって一時的に改善されることが多いです。
排便後に痛みや不快感が和らぐ一方で、再び症状が現れることが多々あります。
4. 多様な症状のバリエーション
IBSは、腹痛、下痢、便秘などが典型的な症状ですが、これらの症状の現れ方には個人差が大きく、ある人は下痢が多く、別の人は便秘が多いなど、バリエーションが見られます。
5. 心理的要因との関連
ストレスや不安などの心理的要因が症状を悪化させることが知られています。
IBSの患者は、ストレスが高まると症状が悪化する傾向があります。
過敏性腸症候群の症状は?
過敏性腸症候群(IBS)の症状は、個人によって異なりますが、以下のような代表的な症状が挙げられます:
1. 腹痛や腹部の不快感
腹痛はIBSの主な症状の一つで、腹部に鈍い痛みや締め付け感を感じることが多いです。
痛みは排便後に軽減することが多く、日常生活に影響を及ぼすこともあります。
2. 下痢または便秘
IBSは、下痢型、便秘型、またはその両方を交互に繰り返す混合型に分類されます。
下痢型では急な強い便意を感じ、排便後に一時的に症状が和らぎます。
便秘型では、排便が困難で便が硬く、排便の頻度が低下します。
3. ガスや腹部の膨満感
ガスがたまりやすく、腹部が膨れたような感じを受けることがあります。
ガスが多いと、腹部に張りや痛みが生じることもあり、不快感を伴います。
4. 粘液便
一部のIBS患者では、便に粘液が含まれることがあります。
これは腸内の炎症とは異なり、腸の運動が異常に働いているために発生することがあります。
5. 頻繁なトイレ通い
急な便意が頻発することがあり、これが日常生活や外出時に大きなストレスとなります。
過敏性腸症候群のガス型って何?
IBSには、下痢型や便秘型の他に「ガス型」という症状のパターンもあります。
ガス型は、主に腸内に過剰なガスが溜まり、腹部に不快感や痛みを引き起こす症状を指します。
ガス型の特徴
- 腹部膨満感: 腸内にガスがたまり、腹部が膨れたような感じになります。食事後やストレスを感じた際に、この膨満感が増加することが多いです。
- ガスの排出: 過剰なガスが排出されることで、症状が一時的に和らぐことがあります。ただし、ガスの臭いや量が多いため、社会的な場面で不快感や困難を伴うことがあります。
- ガスによる腹痛: 腸内に溜まったガスが圧力をかけ、腹痛を引き起こすことがあります。特に下腹部や側腹部で痛みが感じられることが多いです。
ガス型は、食事やストレスによって悪化しやすく、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
特に、人前での不安が、さらに症状を悪化させる悪循環に陥ることがあります。
過敏性腸症候群の治し方はある?
過敏性腸症候群(IBS)の治療は、症状を管理し、患者が快適な生活を送れるようにすることを目的としています。
IBSは完治が難しい疾患ですが、適切な治療と生活習慣の改善により、症状を軽減させることができます。以下に、代表的な治療法を紹介します。
1. 薬物療法
- 抗痙攣薬: 腸の筋肉の異常な収縮を抑え、腹痛や不快感を軽減します。
- 下痢止め薬: 下痢型IBSの症状を和らげるために使用され、腸内の水分吸収を促進します。
- 便秘薬: 便秘型IBSに対しては、便を柔らかくし、排便を促す薬が使用されます。
- 抗うつ薬: 低用量の抗うつ薬は、腸の神経過敏を抑え、痛みを軽減する効果があります。また、ストレスや不安を軽減する効果も期待できます。
2. 食事療法
- 低FODMAP食: FODMAPとは、発酵性オリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオールの略で、これらは腸内で発酵しやすく、ガスや膨満感を引き起こすことがあります。低FODMAP食を試すことで、ガス型や膨満感の症状を軽減できることがあります。
- 食物繊維の摂取: 便秘型IBSには、水溶性食物繊維を多く含む食品(野菜や果物)が有効です。ただし、ガス型IBSの場合、過剰な繊維が症状を悪化させることがあるため、適切なバランスが重要です。
- 脂肪や刺激物の制限: 脂肪分の多い食事やカフェイン、アルコール、辛い食品は腸を刺激し、IBSの症状を悪化させることがあります。
3. ストレス管理
- カウンセリング: 心理的なストレスがIBSの症状を悪化させることが知られているため、カウンセリングや心理療法が有効です。特に、認知行動療法(CBT)は、ストレスに対処するスキルを身に付けるのに役立ちます。
- リラクゼーション法: ヨガや瞑想、深呼吸法などのリラクゼーションテクニックは、ストレスを軽減し、症状の緩和に役立つことがあります。
4. 生活習慣の改善
- 規則正しい生活: 規則的な食事や排便習慣を作ることが重要です。食事の時間を一定にし、適度な運動を取り入れることで、腸の働きを整えることができます。
- 睡眠の質の向上: 十分な睡眠をとることで、体全体のストレスレベルを下げ、IBSの症状を軽減することが期待されます。
まとめ
過敏性腸症候群(IBS)は、消化管に異常がないにもかかわらず、腹痛や排便異常、ガスなどの不快な症状が続く疾患です。
ガス型や下痢型、便秘型などさまざまなタイプがあり、個人によって症状が異なります。
IBSはストレスや食生活、腸内環境などが関与しており、治療には薬物療法や食事療法、ストレス管理が重要です。
症状を緩和するためには、医師の指導のもとで適切な治療と生活習慣の改善を行うことが求められます。