健康診断や人間ドックで聞くことが多いであろう、”高血圧”や”動脈硬化”という言葉。しかし、なんだかマイナスイメージだけれど、実際にどんなことがカラダに影響を及ぼすのかピンとくる人は少ないと思います。
今回は、そんな高血圧や動脈硬化について、正しい知識を持って日々の生活に役立てていただければ幸いです。
目次
そもそも高血圧・動脈硬化とは?
私たちのカラダの中には、すべてつなげると地球二周半という流さの血管があります。
血液を流し、カラダ全体に酸素や栄養を届ける血管ですが、年齢とともに血管は弾力を失い、血管の内側の内壁とよばれるところには、血液中の脂質がたまって通り道が細くなっていきます。すると、血管内の圧力(血圧)が高くなり、高血圧という症状があらわれてくるのです。
高血圧が慢性化すると、圧力が強いまま血管がやがて傷んでいき、脂質などをより多く蓄積してしまい、今度は動脈硬化を引き起こしてしまうのです。
動脈硬化になってしまうと、うまく血液を送り出すことができなくなり、脳であれば脳梗塞や脳出血、心臓であれば心筋梗塞や狭心症になる危険性を高めてしまうため、高血圧や動脈硬化にならないよう心がけるべきなのです。
喫煙者に高血圧や動脈硬化が多いのはなぜ?
よく聞かれる話として、「喫煙者に高血圧が多い」というものがあります。最近では、アイコスなどが人気となっていますが、なぜ喫煙者に高血圧が多いのでしょうか?
その理由は、タバコに含まれる”ニコチン”が大きく影響しています。ニコチンは、中枢神経に働きかけ、幸福感などを高めてくれる一方、副腎を刺激しアドレナリンなどを促進させることで、血圧を高める作用が働きます。
そのため、日々喫煙をしている人は、その分血圧が高くなる可能性が高くなるということですので、喫煙者に高血圧が多いと言われているのです。
アイコスだと血圧は上がらない?
また、最近愛煙家の間で話題となっているアイコスですが、血圧への影響はどうなのでしょうか?
結論から言ってしまうと、「紙のタバコと変わらない」といえるでしょう。アイコス自体は”煙の有害物質をカットしている”商品なので、あくまで煙の吸引による有害物質をカットしているに過ぎません。
ニコチン自体の吸引はほぼ変わらないため、アイコスにしたからといって高血圧や動脈硬化になりにくくなるとはいえないでしょう。
高血圧や動脈硬化のリスクは、早期にチェック!
ここまで、高血圧や動脈硬化による影響や、喫煙者の高血圧リスクなどを見てきました。高血圧や動脈硬化は日々の血圧測定などによって、自身の状態をしっかりと把握しておくことが大切です。
もし血圧が高い場合、まず内分泌系の病気や腎臓病などが疑われます。高血圧は、脂質異常症や糖尿病など、動脈硬化を促進させる病気を合併していると、相乗作用によって動脈硬化の危険が高くなってしまいます。
特に、喫煙者であれば、日々の食生活なども影響してくるため、一度血圧が高いと診断された方は、改めて自身の生活習慣を見直すことも大切です。
高血圧や動脈硬化予防のポイント
高血圧や動脈硬化は、血管の状態が大きく関わってくるというのを再認識しましょう。言い換えれば、血管の内部が傷むことで引き起こされるため、血液中の物質が大きく影響してくるということです。
血液中の物質で内壁に付着して、通り道を塞いでしまうのが、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)です。通常は、肝臓からつくられたコレステロールを全身に運ぶ役割を持っていますが、増えすぎてしまうと内壁に付着してしまいます。
反対に、血中のコレステロールを回収する役割を担っているのが、HDLコレステロール(善玉コレステロール)です。この2つの相反する役割をもったコレステロールのバランスを保つことで、正常な血管の状態を保つことが出来るのです。
高血圧や動脈硬化を予防するための食事とは?
そこで大切なのが高血圧や動脈硬化を予防する、言い換えれば、血管中のコレステロールの状態を正常に保つための食事です。
1.「水溶性食物繊維」でコレステロールの吸収をおだやかに
コレステロールが増えすぎる=血管中に張り付く=動脈硬化の原因になる、ということなので、食事ではコレステロールの吸収を穏やかにすることが大切です。
水溶性食物繊維とよばれる、水に溶ける食物繊維はコレステロールの吸収を穏やかにする効果があります。特に、アボカドや山芋、納豆といった果物や野菜類などに多く含まれます。
また、腸の粘膜を守る効果や善玉菌を増やす効果もあるといわれているので、整腸作用も期待できます。
2.「不飽和脂肪酸」で血液をサラサラにする
血管中に張り付くコレステロール=LDLコレステロール(悪玉コレステロール)というのは、先ほど説明しましたが、このLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の吸収を食事で減らしていくという方法も大切です。
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を多く吸収してしまうのは、主に肉類を多く取っている人です。肉類には、飽和脂肪酸とよばれる物質を多く含みます。
飽和脂肪酸は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やす作用があるため、日頃お肉をおかずのメインとしている人は要注意です。
反対に、不飽和脂肪酸とよばれる物質は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らす作用を持っています。
そして、不飽和脂肪酸が多く含まれるのは、鯖やさんまといった青魚や納豆などの大豆製品に多く含まれているので、意識して摂取するほうがいいでしょう。
まとめ
高血圧や動脈硬化によるリスクとその対策、喫煙者に多いといわれる理由について説明してきました。危ないと言われても、体の中はなかなか見えません。それゆえ、あまり意識せず日々を過ごしてしまいがちですが、実は日常生活こそ大きな原因となっていることを忘れないようにしましょう。