早期発見が大切!乳がんの症状・検診や種類は?治療方法や予防方法は?

タレントの小林麻央さんが乳がんで34歳の若さでこの世を旅経ちました。さまざまな説明がメディアを通して取り沙汰されていますが、乳がんの発見が遅れてしまい、すでにステージが進んでしまっていたことも影響があったといわれています。

また、そのことからも、乳がん検診の大切さや乳がんの早期発見の大事さについて改めて再認識した方も多いのではないかと思います。

今回は、乳がんの症状やその検診方法、検査の種類から、乳がんの治療方法・予防方法などについて紹介します。ぜひ一度チェックしてみてください。

乳がんの症状・初期症状とは?

乳がんと一言で言っても、なかなかピンとくる人は少ないのではないかと思います。いわゆるがんの一種であることはわかりますが、どのようになるのでしょうか?

乳がんは、女性に発生するがんのなかで一番多いがんです。2015年の国立がんセンターによる予測のなかでは、患者数は約9万人ほどいるといわれています。

乳がんになりやすい危険因子としてあげられているのは、

  • 肉親に乳がんのある人
  • 初潮が早く、閉経が遅い人
  • 未婚、子供が少ない人

などの項目があげられており、主に女性ホルモンに関することが因子としてあげられています。また、太っている人や脂っこいものが好きな人、便秘の人なども乳がんになりやすいといわれているそうです。

乳がんの発症のピークは50代後半といわれており、30代になったらセルフチェックを行うとともに、年1回の乳がん検診を受けることが推奨されています。

乳がんの初期症状としてよくあげられるのが、

  • しこりがあらわれること
  • 血性の分泌物が乳頭から出てくること
  • 手を上げたときに、乳腺に異常を感じること

の3つがあげられています。

また、しこりについては、乳腺症との違いもあり、以下のような違いがあるため覚えておきましょう。

乳腺症 乳がん
発症しやすい年齢 30-45歳 40-60歳
しこりの状態
  • 弾力がある
  • 境界がはっきりしない
  • 押すと痛みがある
  • ふれると動く
  • 月経前に腫れるような状態に
  • かたくゴツゴツ
  • 境界がはっきり
  • 痛みがない(初期)
  • ふれて動かない
乳首の変化 乳汁のような分泌物がある ただれ、湿疹、分泌物などがある
皮膚の変化 変化なし 赤くなったり、くぼみができたりする

 

乳がん検診や検査方法は?

乳がんの検診は、主に自己検診とマンモグラフィー検査、超音波検査などが一般的です。

自己検診の方法

自己検診については、あくまで日々の生活のなかで自分自身で行うものです。ただし、日々のチェックによって異常をいち早く知ることで、乳がんの早期発見につながりますので重要な方法の一つです。

  1. 乳房全体を指で触れながら、しこりがないかチェック
  2. 立った姿勢と仰向けに寝た状態の二回行う
  3. 鏡の前で皮膚の変化がないかチェック
  4. 両腕を上げ下げしたときに乳房に異常がないかチェック

以上が、家庭でもできるセルフチェックの方法です。

乳がんのしこりの特徴として、痛みがないこと、硬くゴツゴツしていること、さわっても動かないこと、などが挙げられます。少しでも疑問に感じたら、早めの医療機関への受診をおすすめします。

マンモグラフィー

マンモグラフィーは、乳房X線検査の呼称です。そのため、乳房を専用の検査器械で挟み込みX線検査を行います。

マンモグラフィーに該当するのは、触診でしこりや皮膚のひきつれが発見された場合で、マンモグラフィーによって腫瘍の大きさ、形、石灰化の有無について知ることが出来ます。検査自体は他のX線同様ですが、乳房を挟み込むため、多少痛みを感じる場合があります。

判定結果は、腫瘍の良性・悪性の判断、石灰化の有無次第ですが、石灰化が認められた場合がんの可能性が高くなります。

異常がみられた場合は、超音波・CTなどを使用した画像検査とともに、しこりの一部を採取し、組織検査を行った上で最終的な診断を行います。

超音波検査

マンモグラフィーなどとあわせて検査する場合が多いですが、

  • 妊娠中でも検査可能
  • 痛みなく検査可能
  • 小さいしこりも検査可能

などのメリットがあります。ただし、石灰化の判断がしづらい点や、検査の担当医の腕によって判断が分かれるため、さまざまな検査とあわせて行うほうがよいでしょう。

乳がんの治療方法は?

乳がんの治療方法としては、手術、薬物療法、放射線治療などがあります。個々の状態にあわせて組み合わせて行われることが多いです。

手術

乳がんの範囲によって変わりますが、小さい場合には、乳房温存手術+センチネルリンパ節生検を行います。その後、放射線治療を組み合わせることが多いといわれています。また、乳がんの範囲が大きい場合、乳房の全摘手術を行います。

また、乳房温存手術の条件として、

  • しこりの大きさが直径3cm以下
  • 乳腺の中にがんが大きく広がっていない
  • 乳腺以外に転移していない
  • 放射線療法を行える

上記があげられています。

なお、放射線治療については、

  • 重い膠原病(こうげんびょう)を患っているひと
  • 妊娠中のひと
  • 過去に同じ部位への放射線治療を行ったことがあるひと

は放射線療法を受けることが出来ません。

薬物療法

薬物療法には、さらに種類がわかれており、「化学療法」「ホルモン療法」「抗HER2療法」があります。

がん細胞へ攻撃するための「化学療法」

化学療法は、主に体内のあちこちにあるがん細胞を攻撃するための治療方法です。がん細胞を死滅させる作用がある抗がん剤を服用することになるため、副作用として正常な細胞にも影響を与えてしまいます。

通常は複数の種類の抗がん剤によって治療を行いますが、その理由は効率的にがん細胞を攻撃するためです。

また、副作用などのバランスを見ながら、抗がん剤の組み合わせや用量などが決められます。決められたスケジュールをもとに治療するようにしましょう。

抗がん剤の副作用

先述した抗がん剤による主な副作用は以下です。

  • 吐き気や嘔吐
  • 脱毛
  • 貧血・出血
  • 末梢神経への影響

などがあげられます。その他にも副作用はさまざまありますので、疑問に思う場合は事前に医師に質問してみるといいでしょう。

がん細胞の増殖を抑えるための「ホルモン療法」

がん細胞は、体内の女性ホルモンのバランスによって活発化するものがあります。そのため、ホルモン療法では、女性ホルモンであるエストロゲンの働きを妨げたり、エストロゲンをつくらせないようにして、がん細胞の増殖を防ぐという効果があります。

また、エストロゲンは、閉経前・閉経後ではつくられるメカニズムが違うため、ホルモン剤の種類も変わってきます。

閉経前は、卵巣でエストロゲンはつくられ、閉経後は、副腎皮質から分泌される男性ホルモンが、酵素の働きでエストロゲンに変化するようになります。

そのため、閉経前=卵巣でのエストロゲンに作用、閉経後=酵素の働きに作用するような治療方法が選択されます。

ホルモン剤の副作用

ホルモン剤も、抗がん剤と同様に副作用があらわれることがあります。

  • ほてり・発汗など
  • 頭痛・肩こり
  • 筋肉痛
  • 骨密度の低下
  • うつ状態

上記が主な副作用の症状と言われています。少しでも疑問に感じたら、医師に相談するとよいでしょう。

がん細胞のタンパク質に作用し増殖を食い止める「抗HER2療法」

ホルモン剤もエストロゲンによるがん細胞の増殖を食い止める、というものでしたが、抗HER2療法では、がん細胞にあるHER2タンパクとよばれる受容体をピンポイントに攻撃することで、がん細胞の増殖を防ぐ治療方法です。

また、抗HER2療法についても、副作用として、

  • 発熱
  • 悪寒
  • 下痢
  • 発疹

などがあらわれることがあります。気になる場合は、医師に相談するほうがよいでしょう

放射線療法

放射線療法とは、主に手術によって取り切れなかったかもしれないがん細胞を死滅させるために行う治療です。放射線の照射を行った場合、乳がんの再発の可能性が3分の1に減少することが分かっています。

放射線療法は、その名の通り、放射線をがん細胞にあてることで、死滅・増殖を妨げるといった効果を期待するものです。

副作用としては、

  • 皮膚炎
  • 倦怠感
  • 白血球の減少

などがあげられますが、痛みも伴わず副作用も軽微なため、乳がんに効果が高いとされている治療方法です。通常は、1日に一回放射線を1-2分程度照射します。

また、乳房切除手術を行った方にとっても、転移の状況や大きさによっては放射線治療を受けたほうが良い場合があります。

乳がんの予防方法は?

これまで乳がんの症状やその検査方法、治療の方法についてみてきました。ではどのように乳がんを予防していけばよいのでしょうか?

適度な運動を行い、肥満になるのを防ぐ

肥満になることと、乳がんになること。それぞれつながっていないように見えますが、実は深い関わりがあります。

高脂肪・高タンパクの食事を摂取しすぎると、脂肪細胞が増加していきます。その脂肪細胞は、女性ホルモンであるエストロゲンの産出を増加させていきます。

エストロゲンは、ホルモン治療での説明にも合ったとおり、がん細胞の増殖の原因となるものです。肥満になると、女性ホルモンのバランスが崩れ、その影響で発症する確率が高くなってしまいます。

そのため、「肥満になるのを防ぐこと=乳がんの予防」ということができるでしょう。

乳がんリスクを抑える食事方法

乳がんになる原因は、すべての人で同じではありませんが、そのリスクを軽減させることは可能です。

  • エストロゲンの作用を抑えること
  • 活性酸素を少なくしていくこと

上記がポイントになるといわれています。

具体的な食材としては、

大豆イソフラボンを多く含む、

  • 納豆
  • 味噌
  • 豆腐
  • 豆乳
  • 醤油

抗酸化作用のあるポリフェノールを多く含む、

  • 赤ワイン
  • 緑茶
  • 大豆
  • そば
  • カカオ
  • ブルーベリー

酸化を穏やかにするカロテノイドを含む、

  • ほうれんそう
  • かぼちゃ
  • ブロッコリー
  • にんじん
  • トマト
  • すいか
  • オレンジ

抗酸化物質のβグルカンを含む、

  • しいたけ
  • まいたけ
  • なめこ
  • エリンギ
  • アガリクス

などが良いとされています。

日頃からの食事で気をつける点としては、高脂肪・高タンパクになりすぎないこと、女性ホルモンのエストロゲンを抑えることができる大豆イソフラボンなどを適度に摂取すること、などがポイントになるでしょう。

まとめ

小林麻央さんの訃報で自分自身の乳がんについても改めて考える方も多かったと思います。予防方法や治療方法もさまざまにありますが、一番の治療は、「早期発見、早期治療」につきるといわれています。

特に女性の乳がんは、乳房を切除するなど、容姿にも影響するため手術自体を躊躇してしまう方も多くいらっしゃいます。しかし、放置することで乳がんの範囲が広がり、さらに転移してしまったりする場合、治療を施せない状態になってしまう可能性もあります。

日頃の自己検診と年齢に合わせた医療機関での乳がん検診によって、早期発見できる機会をなるべく増やすことで、ご自身の乳がんリスクを抑えることが出来るはずです。