「トイレが近くなった」「夜中に何度も起きる」「尿の勢いが弱くなった」このような症状に心当たりはありませんか。50代以降の男性に多く見られるこれらの症状は、前立腺肥大症のサインかもしれません。
本記事では、前立腺肥大症の症状から原因、そして薬物療法から最新の低侵襲手術まで、治療法を詳しく解説します。排尿トラブルを改善し、快適な日常生活を取り戻すための参考にしてください。
前立腺肥大症とは
前立腺肥大症は、加齢に伴い前立腺が大きくなることで尿道を圧迫し、様々な排尿障害を引き起こす病気です。前立腺は膀胱の下にあり、尿道を取り囲むように存在する男性特有の臓器です。
50歳以上の男性の約20%、80歳以上では約90%に前立腺肥大が認められるとも言われ、非常に一般的な疾患です。ただし、前立腺が大きくなっても必ず症状が出るわけではなく、症状の程度は個人差があります。
前立腺肥大症の症状
前立腺肥大症の症状は大きく「排尿症状」「蓄尿症状」「排尿後症状」の3つに分けられます。
排尿症状
尿の勢いが弱くなる(尿線途絶)、尿が途中で途切れる、尿が出始めるまでに時間がかかる(遅延排尿)、おなかに力を入れないと尿が出ない(腹圧排尿)といった症状があります。
蓄尿症状
頻尿(昼間8回以上のトイレ)、夜間頻尿(就寝後1回以上のトイレ)、急に強い尿意を感じて我慢が難しい(尿意切迫感)などの症状が現れます。
排尿後症状
排尿後も尿が残っている感じがする(残尿感)、排尿後にポタポタと尿が漏れる(排尿後尿滴下)といった症状があります。
これらの症状が進行すると、尿がまったく出なくなる「尿閉」を起こすことがあり、緊急の処置が必要になります。
前立腺肥大症の原因
前立腺肥大症の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、加齢と男性ホルモンの関与が主な要因と考えられています。
年齢を重ねるとともにホルモンバランスが変化し、前立腺の細胞が増殖しやすくなります。その他、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病との関連も指摘されています。
前立腺肥大症の治療法
治療は症状の程度によって、薬物療法から手術療法まで様々な選択肢があります。
薬物療法
軽度から中等度の症状では、まず薬物療法が行われます。
α1遮断薬(ハルナール、フリバス、ユリーフなど)は、前立腺や尿道の筋肉の緊張を緩め、尿を出やすくする最も一般的な治療薬です。効果が比較的早く現れるのが特徴です。
PDE5阻害薬は血流を改善し、排尿症状を軽減します。5α還元酵素阻害薬(アボルブ、プロスタールなど)は、前立腺を縮小させる効果がありますが、効果が出るまで数カ月かかります。
頻尿や尿意切迫感が強い場合は、β3作動薬や抗コリン薬が追加されることもあります。
従来の手術療法
薬物療法で改善しない場合や、症状が重い場合は手術が検討されます。
TUR-P(経尿道的前立腺切除術)は、電気メスで肥大した前立腺組織を内側から削り取る従来からの標準手術です。HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)は、レーザーで前立腺組織をくり抜く方法で、出血が少ないのが特徴です。
最新の低侵襲手術
2022年に新たに保険適用となった低侵襲手術が注目されています。
ウロリフトは、小さなインプラントで肥大した前立腺を吊り上げ、尿道を広げる方法です。手術時間は約15分程度で、日帰りまたは1〜2日の入院で行えます。
レジューム(水蒸気治療)は、水蒸気を使って前立腺組織を壊死させる方法です。治療時間は約10分程度で、こちらも短期間の入院で済みます。
これらの新しい手術は従来の手術と比べて出血が少なく、射精機能が温存されるというメリットがあります。
日常生活での注意点
治療と並行して、日常生活での工夫も症状改善に役立ちます。
水分は1日1.5〜2リットル程度を目安に、こまめに摂取しましょう。ただし、就寝前の過剰な水分摂取は夜間頻尿を悪化させるため控えめに。カフェインやアルコールは利尿作用があるため、摂取量を調整しましょう。
長時間座り続けることは前立腺のうっ血を招くため、適度に体を動かすことが大切です。便秘は膀胱を圧迫するため、食物繊維を積極的に摂取して予防しましょう。
まとめ
前立腺肥大症は、加齢に伴い前立腺が大きくなることで尿道を圧迫し、頻尿、残尿感、排尿困難などの症状を引き起こす病気です。50歳以上の男性に非常に多く見られます。
治療は薬物療法が基本で、α1遮断薬やPDE5阻害薬などが使用されます。症状が改善しない場合は手術も検討され、2022年に保険適用となったウロリフトやレジュームなどの低侵襲手術は、短時間で行え、射精機能が温存されるメリットがあります。
排尿トラブルは年齢のせいと諦めず、泌尿器科を受診することで適切な治療を受けられます。症状でお悩みの方は、早めに専門医に相談してみてください。










