がんは日本人の死因第1位を占め、2人に1人が生涯のうちにがんにかかるとされています。
しかし、がんは早期に発見できれば治癒率が格段に高まる病気でもあります。
「がんドック」は、複数の検査を組み合わせて全身のがんを総合的にスクリーニングする専門的な健康診断です。
本記事では、がんドックの検査内容や費用、効果的な受診方法について詳しく解説します。
目次
がんドックとは
がんドックは、複数の検査を組み合わせて全身のがんを早期発見することを目的とした総合的な健康診断です。
通常のがん検診では特定の臓器(胃、大腸、肺、乳房、子宮など)を対象としますが、がんドックでは画像検査、血液検査(腫瘍マーカー)、内視鏡検査などを組み合わせ、より広範囲のがんをスクリーニングします。
施設によってコース内容は異なり、PET-CT検査を中心としたものから、内視鏡検査を充実させたものまでさまざまです。
がんドックの主な検査内容
PET-CT検査
PET-CT検査は、がん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用した画像検査です。
FDG(フルオロデオキシグルコース)という放射性物質を注射し、全身の代謝活動をCT画像と融合して評価します。
一度の検査で全身のがんをスクリーニングできるのが最大の特徴で、転移の有無や病期の判定にも有用です。
ただし、膀胱がん、前立腺がん、胃がん、脳腫瘍など、FDGが集積しにくいがんもあるため、他の検査との併用が推奨されます。
腫瘍マーカー検査
血液中のがん関連物質を測定する検査です。
がんの種類によって上昇するマーカーが異なります。
| 腫瘍マーカー | 関連するがん |
|---|---|
| CEA | 大腸がん、胃がん、肺がん |
| CA19-9 | 膵臓がん、胆道がん |
| AFP | 肝臓がん |
| PSA | 前立腺がん(男性) |
| CA125 | 卵巣がん(女性) |
| SCC | 子宮頸がん、食道がん、肺扁平上皮がん |
| CYFRA | 肺がん(非小細胞がん) |
ただし、腫瘍マーカーはがん以外の疾患でも上昇することがあり、単独でがんを診断することはできません。
画像検査と組み合わせて総合的に判断することが重要です。
胃カメラ検査(上部消化管内視鏡)
口または鼻から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸を直接観察する検査です。
早期の胃がん、食道がんの発見に最も有効な検査であり、バリウム検査では見落としやすい小さな病変も検出できます。
必要に応じて組織を採取し、病理検査を行うこともできます。
大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡)
肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を観察する検査です。
大腸がん、大腸ポリープの発見に最も有効であり、ポリープが見つかった場合はその場で切除することもできます。
便潜血検査で陽性となった場合の精密検査としても行われます。
胸部CT検査
肺がんの早期発見に有効な検査です。
低線量CTでは被曝量を抑えながら、胸部X線では見つけにくい小さな肺結節を検出できます。
喫煙歴のある方には特に推奨される検査です。
腹部CT・MRI検査
肝臓、膵臓、腎臓、脾臓などの腹部臓器を詳しく調べる画像検査です。
膵臓がんや腎臓がんなど、症状が出にくいがんの早期発見に有用です。
造影剤を使用することで、より詳細な評価が可能になります。
乳がん・婦人科検診
女性を対象とした検査で、マンモグラフィ、乳腺エコー、子宮頸がん検診、婦人科エコーなどが含まれます。
乳がんは女性のがん罹患率第1位であり、定期的な検診が重要です。
がんドックを受けるべき人
以下に該当する方は、がんドックの受診を積極的に検討してください。
40歳以上の方
がんの発症リスクは40歳を境に急増します。
40歳を過ぎたら、定期的にがん検診を受ける習慣をつけましょう。
特に50歳以降は発症率がさらに上昇するため、より包括的ながんドックが推奨されます。
がんの家族歴がある方
親や兄弟姉妹にがん患者がいる場合、遺伝的にがんリスクが高い可能性があります。
特に若い年齢でがんを発症した家族がいる場合や、同じ種類のがんが複数の家族に見られる場合は注意が必要です。
遺伝カウンセリングやBRCA遺伝子検査を検討することもあります。
喫煙歴がある方
喫煙は肺がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、膵臓がんなど、多くのがんのリスクを高めます。
長年の喫煙歴がある方は、胸部CTを含むがんドックを受けることをおすすめします。
過度な飲酒習慣がある方
大量の飲酒は食道がん、肝臓がん、大腸がんなどのリスクを高めます。
特にお酒を飲むと顔が赤くなる方(アセトアルデヒド分解能が低い方)は食道がんのリスクが高くなります。
過去にがんを経験した方
がんの既往歴がある方は、再発や二次がん(別の部位の新たながん)のリスクがあるため、定期的なフォローアップとがんドックが重要です。
がんドックの費用
がんドックは自費診療となります。
腫瘍マーカーと画像検査を組み合わせた基本コースで50,000〜80,000円程度が相場です。
PET-CT検査を含むコースでは100,000〜150,000円程度、内視鏡検査(胃・大腸)も含む総合的なコースでは200,000円を超える場合もあります。
高額ですが、複数のがんを一度に検査できる効率性があります。
健康保険組合の補助制度を活用できる場合もあるため、事前に確認しましょう。
がんドックの限界と注意点
すべてのがんを発見できるわけではない
がんドックは万能ではありません。
検査には限界があり、小さながんや特定の部位のがんは見落とされることがあります。
PET-CTでも描出されにくいがん(膀胱がん、前立腺がん、胃の早期がんなど)があることを理解しておきましょう。
偽陽性の可能性
腫瘍マーカーの上昇やPET-CTでの集積が見られても、がんではなく炎症や良性疾患である場合があります。
偽陽性によって不安を感じたり、追加の精密検査が必要になったりすることがあります。
定期的な受診が重要
一度がんドックを受けて「異常なし」だったとしても、その後にがんが発生する可能性はあります。
1〜2年に一度の定期的な受診を心がけましょう。
まとめ
がんドックは、複数の検査を組み合わせて全身のがんを早期発見するための重要な健診です。
PET-CT、腫瘍マーカー、内視鏡検査、画像検査などを活用し、がんの早期発見・早期治療につなげます。
40歳以上の方、がんの家族歴がある方、喫煙・飲酒習慣がある方は、積極的にがんドックを検討してください。
がんは早期発見が命を救う鍵です。定期的ながんドックで、健康を守りましょう。










