痔の初期症状と種類|いぼ痔・切れ痔・あな痔の違いと日帰り注射・手術治療ガイド

「排便した時に便器が真っ赤に染まるほど鮮血が出た」「おしりの穴からプニプニしたイボが飛び出して指で押し込まないと戻らない」「便をするたびにガラスの破片で切られるような激痛が走る」とお困りではありませんか。

痔(じ)は、日本人の成人の約3人に1人が罹患しているとされる、極めて日常的で身近なおしりの疾患です。

「場所が場所だけに恥ずかしくて病院に行けない」「手術が痛そうで怖い」と我慢を重ねて市販薬だけでごまかしてしまう方が非常に多く見られます。

しかし、痔を放置していると、貧血で倒れるほどの大量出血を招いたり、激痛で椅子に座れなくなったり、最悪の場合は「あな痔(痔瘻)」から肛門がん(痔瘻がん)へと悪化してしまう危険性があります。

さらに、「痔からの出血だろう」と思い込んでいたら実は進行した大腸がんや直腸がんだったというケースも後を絶ちません。

現代の肛門科医療では、切らずに注射だけで治す「ジオン注(ALTA療法)」や体に優しい日帰り手術が確立されており、驚くほど楽に完治させることができます。

この記事では、痔の3大タイプ(いぼ痔・切れ痔・あな痔)の見分け方、大腸がん出血との鑑別、最新の注射・手術治療、そして再発を防ぐ排便習慣を徹底解説します。

痔の3大タイプ|いぼ痔(痔核)・切れ痔(裂肛)・あな痔(痔瘻)

肛門周辺の皮膚と直腸粘膜の境目には「歯状線(しじょうせん)」と呼ばれるギザギザの境界線があります。

痔はこの発生場所と病態によって以下の3つに大別されます。

痔の3大タイプ 発生部位と病態メカニズム 主な症状と痛みの強さ
① いぼ痔(痔核:全体の約6割) 肛門を閉じるクッション組織(静脈叢)がうっ血してコブ状に膨らむ 歯状線の内側(内痔核)は「痛くない大量の鮮血・脱出」。外側(外痔核)は激痛・腫れ
② 切れ痔(裂肛:全体の約15%) 硬い便の通過や激しい下痢で肛門上皮が張り裂けて傷ができる 排便時のピキッとした激痛、ペーパーに付く少量の鮮血。女性に多発
③ あな痔(痔瘻:全体の約10%) 肛門の小さなくぼみ(肛門陰窩)に細菌が入り化膿し、膿のトンネルが貫通 ズキズキする持続痛、38度以上の発熱、おしりの横から膿が出る。男性に多発

特に注意が必要なのが「あな痔(痔瘻)」です。いぼ痔や切れ痔と異なり、あな痔は自然治癒や薬で治すことが絶対に不可能であり、放置すると10年以上かけて「痔瘻がん」を発生させるリスクがあるため、発見次第早期の手術が必須となります。

内痔核の重症度分類(ゴリガー分類)

いぼ痔(内痔核)は、脱出の程度によって4段階に分類されます。

Ⅰ度(初期):出血のみで脱出なし

排便時に鮮血が出るが、イボは肛門の外に出てこない。軟膏や座薬、便通改善で治癒可能。

Ⅱ度(軽症):排便時に脱出するが自然に戻る

力んだ時にイボが外に出るが、排便が終わると自然に中へ引っ込む。

Ⅲ度(中等症):脱出し、指で押し込まないと戻らない

排便時に飛び出たイボが自然に戻らず、指で押し込む必要がある。ALTA注射療法の絶好の適応。

Ⅳ度(重症):常に外に出っぱなしで戻らない

イボが巨大化し、押し込んでもすぐに出てくる(脱肛状態)。手術や注射療法の適応。

痔からの出血と「大腸がん・直腸がん」の決定的な見分け方

排便時の出血を「いつもの痔だろう」と自己判断することは極めて危険です。

出血の色と出方の違い

内痔核や切れ痔の出血は、血管から直接出るため「鮮やかな真っ赤な鮮紅色」で、便器にポタポタ落ちたりティッシュに鮮血がつきます。

一方、大腸がんや直腸がんからの出血は、大腸の奥で便と混ざり合うため「赤黒い血液」や「ゼリー状の粘液(粘血便)」が便の表面にこびりついて排出される傾向があります。

出血がある方は、必ず一度大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けて大腸がんを確実に除外することが命を守る大原則です。

痔の最新治療法|切らずに治す「ALTA(ジオン)注射療法」と日帰り手術

現代の肛門科では、入院不要で痛みの極めて少ない治療法が主流です。

① 切らずに内痔核を固めて縮小させる「ジオン注(ALTA療法)」

硫酸アルミニウムカリウム水和物を含む特殊な硬化剤(ジオン)を、脱出する内痔核の4つの層に直接注射します。

注射後数日でイボへの血流が遮断されて急速に萎縮・線維化し、肛門管の壁にピタッと癒着して脱出と出血が完全に止まります。

メスを使わないため出血や術後の痛みがほぼなく、日帰りまたは1泊入院で安全に受けられます。

② 確実な根治手術「結紮切除術(けっさつせつじょじゅつ)」

外痔核を伴う大きな脱肛に対しては、イボの根元の血管を縛って切除する手術が行われます。最新の超音波メスやレーザーを使用することで術後の痛みを最小限に抑えています。

おしりを守る排便習慣とセルフケアの黄金ルール

日頃のおしりケアを徹底し、痔の再発を予防しましょう。

① トイレでの滞在時間は「最長3分以内」

便座に長時間座ってスマホや新聞を見ていると、重力で肛門の静脈がうっ血してイボ痔が急悪化します。

「出なければ3分で諦めてトイレを出る」ことを徹底しましょう。

② 温水洗浄便座の使いすぎに注意

強すぎる水圧で肛門を長時間洗ったり、温風乾燥をあてすぎると、皮膚の皮脂バリアが破壊されて激しいかゆみ(肛門掻痒症)や切れ痔を招きます。弱水流で数秒サッと流す程度にとどめましょう。

まとめ

痔は、早期に肛門科を受診すれば、切らずに短期間で治せる病気です。

出血やおしりの違和感を感じたら、恥ずかしがらずに専門医の診察を受けましょう。

正しい排便習慣とおしりのケアを取り入れ、痛みのない爽快で快適な毎日を取り戻しましょう。