大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)は、大腸がんやポリープの早期発見に欠かせない重要な検査です。
肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を直接観察することで、他の検査では見つけにくい小さな病変も発見することができます。
前日からの食事制限や当日の下剤服用など準備に手間がかかりますが、大腸がんの予防と早期発見のために非常に有効な検査です。
本記事では、大腸カメラ検査の流れや前処置の方法、ポリープ切除についてまで詳しく解説します。
目次
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)とは
大腸カメラ検査は、先端にカメラが付いた細い管(内視鏡)を肛門から挿入し、大腸の内部を直接観察する検査です。
大腸全体(盲腸から直腸まで)を観察できる唯一の検査方法であり、大腸がん検診において最も精度の高い検査とされています。
内視鏡の直径は約11〜13mm程度で、先端には高解像度のカメラとライトが搭載されています。
モニター画面に大腸内部の映像がリアルタイムで映し出され、粘膜の色調や血管パターン、隆起や陥凹などの変化を詳細に観察することができます。
また、検査中にポリープが見つかった場合は、その場で切除することも可能です。
大腸カメラ検査で発見できる病気
大腸カメラ検査では、大腸に関連するさまざまな疾患を発見することができます。
早期発見により、治療の選択肢が広がり、予後の改善につながります。
大腸がん
大腸カメラ検査の最も重要な目的は大腸がんの早期発見です。
早期の大腸がんは自覚症状がほとんどないため、定期的な検査による発見が重要です。
早期に発見されれば、内視鏡による治療で完治が期待できるケースも多くあります。
大腸ポリープ
大腸ポリープは大腸粘膜にできる隆起性の病変です。
多くは良性ですが、一部のポリープ(腺腫性ポリープ)は放置すると将来的にがん化する可能性があります。
検査中に発見されたポリープはその場で切除することができ、がんの予防につながります。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患も、大腸カメラ検査で診断されます。
粘膜の発赤、びらん、潰瘍などの炎症所見を直接観察し、必要に応じて組織を採取して病理検査を行います。
憩室症
大腸壁の一部が外側に突出してできる憩室も、大腸カメラ検査で確認できます。
憩室自体は無症状のことが多いですが、炎症を起こす憩室炎や出血の原因となることがあります。
大腸カメラ検査の前処置と準備
大腸カメラ検査を正確に行うためには、大腸内をきれいに空にする前処置が不可欠です。
便が残っていると観察の妨げになり、小さな病変を見逃す原因となります。
検査3日前から前日の食事制限
検査の3日前から、消化の良い食事を心がけます。
避けるべき食品として、海藻類、きのこ類、こんにゃく、ごま、種のある果物、野菜の皮などの繊維質の多い食品があります。
これらは大腸内に残りやすく、検査の妨げになります。
検査前日は、おかゆや素うどん、豆腐など消化の良い食事のみとし、夕食は20時までに済ませます。
検査当日の下剤服用
検査当日は朝から絶食となり、腸管洗浄液(下剤)を飲んで大腸内を空にします。
一般的に使用される腸管洗浄液は、約2リットルを2〜3時間かけて飲みます。
飲み始めてから1〜2時間で排便が始まり、最終的に透明な水様便になるまで繰り返します。
下剤の飲み方のコツ
大量の下剤を飲むことに抵抗を感じる方も多いですが、いくつかのコツがあります。
冷やして飲むと比較的飲みやすくなります。
一気に飲まず、コップ1杯を10〜15分かけてゆっくり飲むようにしましょう。
飴やガムで口の中をリフレッシュしながら飲むのも効果的です。
最近は飲む量が少なくて済むタイプの下剤も登場しており、医療機関によって選択できる場合があります。
大腸カメラ検査の流れと所要時間
大腸カメラ検査は、前処置が完了し大腸がきれいになった状態で行われます。
検査自体の所要時間は通常15〜30分程度ですが、ポリープ切除などの処置を行う場合はさらに時間がかかります。
検査前の準備
検査着に着替え、検査台に横向きになります。
多くの施設では鎮静剤(静脈麻酔)を使用して、リラックスした状態で検査を受けることができます。
鎮静剤を使用すると、検査中の苦痛を感じにくくなり、楽に検査を受けられます。
内視鏡の挿入と観察
肛門から内視鏡を挿入し、大腸の奥(盲腸)まで進めます。
その後、内視鏡を引き抜きながら大腸粘膜を丁寧に観察します。
観察中は腸内に空気または二酸化炭素を送り込んで腸を膨らませ、ひだの間までしっかり観察します。
二酸化炭素は空気より吸収されやすいため、検査後のお腹の張りが軽減されます。
検査後の安静
鎮静剤を使用した場合は、検査後30分〜1時間程度の安静が必要です。
鎮静剤の効果が切れるまで、ベッドで休んでいただきます。
検査当日の車の運転は禁止されますので、公共交通機関を利用するか、付き添いの方に送迎を依頼してください。
ポリープ切除について
大腸カメラ検査中にポリープが発見された場合、多くはその場で切除することができます。
ポリープの切除は大腸がんの予防につながる重要な処置です。
ポリープ切除の方法
小さなポリープは、鉗子(かんし)で挟んで切除するコールドポリペクトミーという方法で除去します。
やや大きなポリープには、スネアと呼ばれるワイヤーをかけて高周波電流で切除する方法が用いられます。
切除したポリープは病理検査に提出され、良性か悪性かを確認します。
ポリープ切除後の注意点
ポリープ切除後は、出血や穿孔(腸に穴が開くこと)のリスクがわずかにあります。
切除後1週間程度は、激しい運動、飲酒、刺激物の摂取、入浴(シャワーは可)を控える必要があります。
腹痛や血便などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関に連絡してください。
大腸カメラ検査の痛みと対処法
大腸カメラ検査では、腸が伸ばされる際に痛みや不快感を感じることがあります。
しかし、さまざまな対処法により、痛みを軽減することが可能です。
鎮静剤の使用
多くの医療機関では、希望に応じて鎮静剤(セデーション)を使用しています。
鎮静剤を使用すると、うとうとした状態で検査を受けることができ、痛みをほとんど感じません。
「眠っている間に終わっていた」という感想を持つ方も多くいます。
熟練した医師による検査
内視鏡検査の痛みは、医師の技量によっても大きく異なります。
経験豊富な医師は、腸の走行に沿って内視鏡を進めるため、痛みが少なくなります。
検査施設を選ぶ際は、内視鏡専門医が在籍しているかどうかを確認すると良いでしょう。
検査中のリラックス
検査中に緊張してお腹に力が入ると、かえって痛みを感じやすくなります。
深呼吸をしてリラックスし、体の力を抜くことで、痛みの軽減につながります。
大腸カメラ検査を受けるべき方と頻度
大腸がんの予防と早期発見のために、定期的な大腸カメラ検査が推奨される方がいます。
特に40歳以上の方は、定期的な大腸がん検診を受けることが重要です。
便潜血検査で陽性となった方は、必ず大腸カメラ検査を受ける必要があります。
また、大腸がんの家族歴がある方、過去に大腸ポリープを切除したことがある方、炎症性腸疾患をお持ちの方は、医師の指示に従って定期的な検査を受けてください。
血便、便通異常(下痢や便秘の繰り返し)、腹痛などの症状がある場合も、早めの検査が推奨されます。
まとめ
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)は、大腸がんやポリープを早期に発見するための最も精度の高い検査方法です。
前日からの食事制限や当日の下剤服用など準備は大変ですが、大腸がんの予防と早期発見のために非常に有効です。
検査中に発見されたポリープはその場で切除でき、将来のがん化を予防することができます。
鎮静剤を使用すれば、痛みをほとんど感じることなく検査を受けることも可能です。
大腸がんは早期発見すれば治癒率が高い疾患ですので、40歳を過ぎたら定期的に大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
便潜血検査で陽性となった方は、放置せずに必ず大腸カメラ検査を受けてください。










