大動脈解離とは?原因・症状・看護ケア・診断・治療を徹底解説

大動脈解離とは、心臓から全身に血液を送る大動脈の内膜が裂け、その間に血液が流れ込むことで大動脈の構造が異常をきたす疾患です。急激な痛みを伴い、命に関わる緊急性の高い疾患であるため、早期発見と適切な治療が重要となります。

本記事では、大動脈解離の原因、症状、看護ケア、診断方法、治療法(スタンフォード分類を含む)について詳しく解説します。

大動脈解離とは?原因と症状を徹底解説

大動脈解離は、大動脈の壁が裂け、血流が異常な経路を作ることで深刻な合併症を引き起こす病態です。特に、突然発症することが多く、迅速な診断と治療が求められます。

大動脈解離の種類

大動脈解離は、裂けた部位や進行の仕方によって分類されます。

  • スタンフォードA型:上行大動脈が関与する解離(命に関わるリスクが高い)
  • スタンフォードB型:下行大動脈のみの解離(比較的リスクが低い)

大動脈解離の原因:知っておくべきリスクファクター

1. 高血圧

  • 大動脈解離の最大の危険因子です。
  • 長年の高血圧が血管壁に負担をかけ、内膜の脆弱化を招きます。

2. 動脈硬化

  • 脂質異常症や糖尿病が原因となり、血管壁の弾力性を低下させます。
  • 動脈が硬くなることで、血流の衝撃を受けやすくなり解離のリスクが増します。

3. 遺伝的要因

  • マルファン症候群やエーラス・ダンロス症候群などの遺伝性疾患が関係する場合があります。

4. 外傷や医原性要因

  • 大動脈手術後やカテーテル検査の影響で発症することもあります。

大動脈解離の症状を早期発見する方法

1. 突然の激しい胸痛や背部痛

  • 「引き裂かれるような痛み」が典型的な症状。
  • 痛みが上下に移動する場合は特に要注意。

2. 血圧の急激な変化

  • 左右の腕で血圧の差が大きくなることがあります。
  • 血圧が極端に低下する場合はショック状態の可能性があります。

3. 呼吸困難や意識障害

  • 大動脈解離が脳の血流を妨げると意識障害が発生することがあります。
  • 心臓や肺の血流に影響が出ると、呼吸困難になることも。

4. 下肢のしびれや麻痺

  • 解離が進行すると脊髄や下肢の血流が阻害され、麻痺や歩行障害を引き起こすことがあります。

このような症状が現れた場合は、すぐに救急車を呼ぶことが重要です。

大動脈解離の看護ケア:患者支援のためのガイド

大動脈解離の患者は、迅速な対応と適切なケアが求められます。

1. 緊急時の対応

  • 患者の血圧管理が最重要(降圧薬の投与など)
  • ベッド上安静を徹底し、患者の興奮を抑える
  • 酸素療法の実施(低酸素状態を防ぐ)

2. 入院中の看護

  • 血圧の厳格な管理(130/80 mmHg以下に抑える)
  • 痛みのコントロール(適切な鎮痛剤の使用)
  • 患者の精神的ケア(不安を軽減し、治療への理解を深める)

3. 退院後のフォローアップ

  • 定期的な血圧チェック(家庭での血圧測定を推奨)
  • 生活習慣の見直し(塩分制限、適度な運動など)

大動脈解離のスタンフォード分類とは?診断と治療に役立つ情報

スタンフォードA型とB型の違い

分類 影響する部位 治療法
スタンフォードA型 上行大動脈 緊急手術が必要
スタンフォードB型 下行大動脈 内科的管理(降圧療法など)

診断方法

  • CT検査(造影CT):最も確実な診断方法
  • MRI検査:血管の状態を詳しく確認できる
  • 心エコー:心臓の機能を評価

治療法

  1. 手術治療(スタンフォードA型)
    • 人工血管置換術で破裂を防ぐ
  2. 内科的管理(スタンフォードB型)
    • 降圧薬の使用(β遮断薬、カルシウム拮抗薬など)
    • 経過観察と生活習慣の改善

まとめ

大動脈解離は、高血圧や動脈硬化が主な原因となる危険な疾患です。早期発見・適切な治療が命を守るために不可欠です。

急な激しい胸痛や背部痛は要注意!
スタンフォードA型は手術が必要、B型は内科的管理が基本
血圧管理と生活習慣の見直しが予防につながる

症状が疑われる場合は、すぐに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが重要です。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。