婦人科エコー検査とは?経腟エコーでわかる病気と検査の流れを解説

婦人科エコー検査は、超音波を使って子宮や卵巣の状態を観察する検査です。

痛みや被曝がなく、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症、卵巣がんなど、さまざまな婦人科疾患の発見に役立ちます。

本記事では、婦人科エコー検査の種類や方法、発見できる病気、検査を受ける際の注意点について詳しく解説します。

婦人科エコー検査の種類

婦人科エコー検査には、主に経腟エコー(経腟超音波検査)と経腹エコー(経腹超音波検査)の2種類があります。

経腟エコーは、細い棒状のプローブ(探触子)を腟内に挿入して検査します。子宮や卵巣に近い位置から観察できるため、より鮮明な画像が得られます。

経腹エコーは、お腹の上からプローブを当てて検査します。腟内への挿入がないため、性交渉の経験がない方や妊娠中の方に適しています。どちらの検査も痛みはほとんどなく、放射線を使用しないため安全です。

経腟エコー検査の流れ

経腟エコー検査は、婦人科の診察室で行われます。検査前に排尿を済ませておくと、より鮮明な画像が得られます。

内診台に上がり、足を開いた状態で検査を受けます。プローブにはカバーとジェルが付けられ、ゆっくりと腟内に挿入されます。

検査時間は5〜10分程度で、子宮の大きさや形、子宮内膜の厚さ、卵巣の状態などを確認します。検査中に少し違和感を感じることがありますが、強い痛みはほとんどありません。リラックスして力を抜くことで、より楽に検査を受けられます。

婦人科エコー検査でわかる病気

婦人科エコー検査では、子宮や卵巣のさまざまな病気を発見することができます。子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、卵巣嚢腫、卵巣がん、子宮内膜症などが主な対象疾患です。

検査では、子宮や卵巣の大きさ、形、内部の状態を詳しく観察します。異常が見つかった場合は、MRI検査やCT検査、腫瘍マーカー検査などの精密検査を行い、診断を確定します。

症状がなくても、人間ドックや健康診断で偶然発見されることも少なくありません。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍です。30代以上の女性の20〜30%に見られるとされる、非常に頻度の高い疾患です。

エコー検査では、子宮筋層内に境界明瞭な腫瘤として描出されます。筋腫の大きさ、数、発生部位を確認することで、治療方針の決定に役立てます。

小さな筋腫で症状がない場合は、経過観察となることが多いですが、月経過多や圧迫症状がある場合は治療が検討されます。

卵巣嚢腫

卵巣嚢腫は、卵巣にできる袋状の腫瘍です。内容物によって漿液性嚢腫、粘液性嚢腫、皮様嚢腫(奇形腫)などに分類されます。

エコー検査では、嚢腫の大きさ、形、内部の性状を確認し、良性か悪性かの判断に役立てます。単純な液体が貯まっている嚢腫は良性であることが多いですが、内部に充実成分がある場合は悪性の可能性も考慮します。

機能性嚢胞(排卵に伴う一時的な嚢胞)は自然に消失することが多いため、数ヶ月後に再検査して経過を観察します。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所に発生する疾患です。卵巣に発生したものを卵巣チョコレート嚢胞と呼びます。

エコー検査では、卵巣に均一な低輝度の嚢胞として描出されます。チョコレート嚢胞は長期間放置すると卵巣がんのリスクが上昇するとされているため、定期的な経過観察が重要です。

子宮内膜症は月経痛や性交痛、不妊の原因となることがあり、早期発見と適切な治療が大切です。

卵巣がん

卵巣がんは、初期には症状が出にくく、進行してから発見されることが多い疾患です。エコー検査は卵巣がんの早期発見に重要な役割を果たします。

悪性を疑う所見としては、嚢胞内の充実成分、不整な壁肥厚、乳頭状突起、腹水の存在などがあります。これらの所見がある場合は、MRI検査や腫瘍マーカー(CA125など)の検査を追加して精査します。

卵巣がんは早期発見により治療成績が大きく改善するため、定期的なエコー検査が推奨されています。

検査を受ける際の注意点

経腟エコー検査を受ける際は、いくつかの注意点があります。

検査前に排尿を済ませておくことで、子宮や卵巣がより見やすくなります。ただし、経腹エコーの場合は膀胱に尿が溜まっている方が観察しやすいため、検査方法によって異なります。

生理中でも検査は可能ですが、出血量が多い場合は避けた方がよいこともあります。検査前に医療機関に確認することをおすすめします。また、性交渉の経験がない方や腟からの挿入に抵抗がある方は、経腹エコーで代用できる場合がありますので、事前に相談してください。

検査の頻度と定期検診の重要性

婦人科エコー検査は、人間ドックのレディースドックオプションや、婦人科での定期検診で受けることができます。

子宮筋腫や卵巣嚢腫がある方は、6ヶ月〜1年ごとの定期的なエコー検査が推奨されます。腫瘍の大きさの変化や新たな病変の出現を確認することで、適切なタイミングで治療を開始できます。

症状がなくても、年1回程度の婦人科検診を受けることで、卵巣がんなどの重大な疾患の早期発見につながります。特に閉経後は卵巣がんのリスクが上昇するため、定期的な検査が重要です。

まとめ

婦人科エコー検査は、経腟エコーと経腹エコーの2種類があり、子宮や卵巣の状態を詳しく観察できる検査です。

子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症、卵巣がんなど、さまざまな婦人科疾患の発見に役立ちます。痛みや被曝がなく、安全に受けられることが大きなメリットです。

定期的な婦人科検診でエコー検査を受けることで、症状が出る前に病気を発見し、早期治療につなげることができます。月経異常や下腹部痛などの症状がある方は、早めに婦人科を受診してエコー検査を受けることをおすすめします。