子宮体がん検診とは?内膜細胞診の方法・対象者・検査の痛みを徹底解説

子宮体がんは子宮内膜から発生するがんで、近年日本では増加傾向にあります。

子宮頸がん検診とは異なり、子宮体がん検診は全員に推奨されるものではなく、不正出血などの症状がある方やリスク因子を持つ方に対して実施されます。

本記事では、子宮体がん検診の内膜細胞診について、検査方法や対象者、痛み、リスク因子まで詳しく解説します。

子宮体がんとは

子宮体がん(子宮内膜がん)は、子宮の内側を覆う子宮内膜から発生する悪性腫瘍です。50〜60代の閉経後の女性に多く発症し、日本では年間約17,000人が新たに診断されています。

子宮体がんの主な症状は不正出血であり、特に閉経後の出血は注意が必要です。早期に発見されれば治療成績は良好で、5年生存率は約80%以上とされています。

子宮頸がんが子宮の入り口(頸部)に発生するのに対し、子宮体がんは子宮の奥(体部)に発生するため、検査方法も異なります。

子宮体がん検診の対象者

子宮体がん検診は、子宮頸がん検診のように全ての女性に定期的に推奨されるものではありません。不正出血がある方や、リスク因子を持つ方が対象となります。

具体的には、閉経後の不正出血がある方、月経不順や無排卵周期が続いている方、肥満の方、糖尿病の方、乳がんの治療でタモキシフェンを服用している方などが検診の対象となります。

自治体の子宮がん検診では、通常は子宮頸がん検診のみが実施されます。子宮体がん検診を希望する場合は、医師に相談のうえ追加で受けることが必要です。

内膜細胞診の検査方法

子宮体がん検診の主な方法は内膜細胞診です。子宮内に細い器具(細胞採取器具)を挿入し、子宮内膜の細胞を採取して顕微鏡で調べます。

検査は婦人科の診察室で行われ、所要時間は5〜10分程度です。検査前に子宮頸部を消毒し、細い管状の器具を子宮腔内に挿入して内膜細胞を擦り取ります。

採取した細胞は専門の検査技師や病理医が顕微鏡で確認し、異常な細胞がないかを判定します。結果は通常1〜2週間程度で判明します。

検査時の痛みについて

内膜細胞診は子宮内に器具を挿入するため、痛みや違和感を伴うことがあります。痛みの程度には個人差がありますが、生理痛のような鈍い痛みを感じる方が多いです。

閉経後の方は子宮頸管が狭くなっていることがあり、器具の挿入時に痛みを感じやすい場合があります。

痛みが心配な方は、事前に医師に相談することで、痛み止めの使用や検査方法の工夫をしてもらえる場合があります。検査後は軽い出血や下腹部の違和感が数日続くことがありますが、通常は自然に治まります。

子宮体がんのリスク因子

子宮体がんには、発症リスクを高めるいくつかの因子が知られています。これらのリスク因子を持つ方は、定期的な検診を検討することが重要です。

最も重要なリスク因子は「エストロゲン」への長期曝露です。エストロゲンは女性ホルモンの一種で、子宮内膜を増殖させる作用があります。

具体的なリスク因子として、肥満(脂肪組織でエストロゲンが産生される)、未産婦、遅い閉経、早い初潮、糖尿病、高血圧、乳がん治療でのタモキシフェン服用、エストロゲン単独のホルモン補充療法などが挙げられます。

閉経後の不正出血に注意

閉経後に性器出血がある場合は、必ず婦人科を受診してください。閉経後の不正出血は子宮体がんの重要なサインの一つです。

子宮体がんの約90%は不正出血を伴うとされており、この症状をきっかけに早期発見されるケースが多くあります。

閉経後の出血は萎縮性膣炎など良性の原因であることも多いですが、子宮体がんを否定するためにも検査を受けることが大切です。早期発見により、予後は大きく改善します。

検査結果の見方と精密検査

内膜細胞診の結果は、「陰性(正常)」「疑陽性」「陽性」などで判定されます。

陰性の場合は異常なしとなりますが、疑陽性や陽性の場合は精密検査が必要です。精密検査では、子宮内膜組織診(生検)や経腟超音波検査、MRI検査などが行われます。

組織診は内膜細胞診よりも多くの組織を採取して詳しく調べる検査で、がんの有無を確定診断することができます。子宮鏡検査を併用することで、子宮内腔を直接観察しながら組織を採取することも可能です。

子宮体がんの予防と早期発見

子宮体がんの予防には、リスク因子を減らすことが重要です。適正体重の維持、糖尿病や高血圧の管理、規則正しい生活習慣を心がけましょう。

また、不正出血などの症状があれば早めに婦人科を受診することが早期発見につながります。特に閉経後の出血は軽視せず、必ず検査を受けてください。

ホルモン補充療法を受けている方は、エストロゲンと黄体ホルモンを併用することで、子宮体がんのリスクを軽減できます。主治医と相談しながら適切な治療を続けることが大切です。

まとめ

子宮体がん検診は、不正出血がある方やリスク因子を持つ方を対象に行われる検査です。

内膜細胞診は子宮内膜の細胞を採取して調べる方法で、痛みを伴うことがありますが、早期発見のために重要な検査です。

特に閉経後の不正出血は子宮体がんの重要なサインであり、見逃さないことが大切です。リスク因子を持つ方は、かかりつけの婦人科医と相談しながら、適切な時期に検診を受けることをおすすめします。子宮体がんは早期発見により高い治療効果が期待できる疾患です。

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20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。