肝炎検査とは?B型・C型肝炎ウイルス検査の重要性を徹底解説

肝炎ウイルス感染は、慢性化すると肝硬変や肝臓がんに進行するリスクがあり、早期発見と適切な治療が極めて重要です。肝炎検査は、B型肝炎やC型肝炎ウイルスの感染を調べる検査で、肝臓がん予防の第一歩となります。本記事では、肝炎検査の基礎知識、HBs抗原やHCV抗体などの主要な検査項目、B型肝炎とC型肝炎の違い、感染経路、治療法、そして予防の重要性まで詳しく解説します。肝炎検査を正しく理解して、肝臓の健康を守りましょう。

肝炎ウイルスとは

肝炎検査を理解するために、まず肝炎ウイルスの基本的な知識を知ることが重要です。

肝炎ウイルスの種類

肝炎ウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型の5つの主要な種類があります。このうち、B型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)は慢性化しやすく、肝硬変や肝臓がんの原因となるため、特に重要です。

A型肝炎とE型肝炎は主に経口感染(汚染された水や食品)で広がり、急性肝炎を起こしますが、通常は慢性化しません。D型肝炎はB型肝炎ウイルスと共に感染するウイルスで、日本では稀です。

日本では、B型肝炎ウイルス感染者は約100から150万人、C型肝炎ウイルス感染者は約100から200万人と推定されています。多くの感染者は自覚症状がないまま感染に気づかず、知らない間に肝硬変や肝臓がんに進行するリスクがあります。

肝炎ウイルス感染の影響

肝炎ウイルスに感染すると、肝臓に炎症が起こり、肝細胞が破壊されます。急性肝炎の場合、多くは自然に治癒しますが、慢性化すると肝臓の炎症が持続し、肝細胞の破壊と再生が繰り返されることで肝硬変に進行します。

肝硬変になると肝臓の機能が低下し、腹水、黄疸、出血傾向などの症状が現れます。さらに、肝硬変から肝臓がん(肝細胞がん)が発生するリスクが高まります。日本の肝臓がんの約70から80%は、B型またはC型肝炎ウイルスの感染が原因です。

しかし、適切な治療により、ウイルスの増殖を抑えたり排除したりすることで、肝硬変や肝臓がんへの進行を大幅に防ぐことができます。そのため、肝炎ウイルス検査による早期発見が極めて重要です。

B型肝炎検査

B型肝炎の診断には、いくつかの血液検査項目が用いられます。

HBs抗原検査

HBs抗原(B型肝炎ウイルス表面抗原)は、B型肝炎ウイルスに現在感染しているかどうかを調べる最も基本的な検査です。HBs抗原が陽性であれば、B型肝炎ウイルスに感染していることを示します

健康診断や人間ドックで広く実施されており、感染のスクリーニング検査として重要です。HBs抗原が陽性の場合、さらに詳しい検査(HBe抗原、HBV-DNA量、肝機能検査など)を行い、ウイルスの活動性や肝臓の状態を評価します。

HBs抗原が陰性でも、過去に感染して治癒した場合や、ワクチン接種により免疫を獲得している場合があります。これらを確認するために、HBs抗体やHBc抗体の検査も行われることがあります。

HBs抗体とHBc抗体

HBs抗体は、B型肝炎ウイルスに対する免疫を示す抗体です。HBs抗体が陽性であれば、過去の感染から回復して免疫を獲得したか、ワクチン接種により免疫を獲得していることを示し、現在はB型肝炎から守られている状態です。

HBc抗体(B型肝炎ウイルスコア抗体)が陽性であれば、過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがあることを示します。HBs抗原陰性でHBc抗体陽性の場合、過去の感染が治癒している可能性が高いですが、まれに微量のウイルスが肝臓に残っていることがあります(既往感染)。

これらの検査を組み合わせることで、現在の感染状況、過去の感染歴、免疫の有無を総合的に評価できます。医療従事者や家族にB型肝炎患者がいる方は、ワクチン接種により予防することが推奨されます。

B型肝炎の病態と治療

B型肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎に分けられます。成人が感染した場合、多くは急性肝炎として発症し、約90%は自然に治癒します。しかし、約10%は慢性化します。

乳幼児期に感染した場合は、約90%が慢性化し、キャリア(持続感染者)となります。日本では母子感染予防対策により、新生児の感染は大幅に減少しています。慢性B型肝炎では、ウイルスが増殖し続け、肝臓の炎症が持続します。

治療には、核酸アナログ製剤(エンテカビル、テノホビルなど)やインターフェロン療法が用いられます。核酸アナログ製剤は、ウイルスの増殖を強力に抑制し、肝炎の進行を防ぎます。多くの場合、長期間(時には生涯)の服薬が必要ですが、肝硬変や肝臓がんへの進行を大幅に抑えることができます。

C型肝炎検査

C型肝炎の診断にも、複数の血液検査項目が用いられます。

HCV抗体検査

HCV抗体(C型肝炎ウイルス抗体)は、C型肝炎ウイルスに感染したことがあるかどうかを調べる検査です。HCV抗体が陽性であれば、現在感染しているか、過去に感染して治癒したことを示します

健康診断や人間ドックで広く実施されており、C型肝炎のスクリーニング検査として重要です。HCV抗体が陽性の場合、現在もウイルスが存在するかを確認するため、HCV-RNA検査(ウイルスの遺伝子を直接検出する検査)を行います。

HCV-RNAが陽性であれば現在も感染が持続しており、治療が必要です。HCV-RNAが陰性であれば、過去の感染が治癒していることを示し、治療の必要はありません。ただし、肝硬変に進行していないか確認するため、肝機能検査や画像検査を受けることが推奨されます。

HCV-RNA検査とジェノタイプ

HCV-RNA検査は、血液中のC型肝炎ウイルスの遺伝子を直接検出し、ウイルスの量(ウイルス量)を測定します。ウイルス量が多いほど、肝臓の炎症が強い傾向があります。

C型肝炎ウイルスには複数の遺伝子型(ジェノタイプ)があり、日本ではジェノタイプ1型と2型が多いです。ジェノタイプにより治療薬の選択や治療期間が異なることがありましたが、現在の直接作用型抗ウイルス薬(DAA)はほぼ全てのジェノタイプに高い効果を示します。

治療効果の判定には、治療終了後12週間または24週間でHCV-RNAが検出されないこと(SVR:持続的ウイルス学的著効)を確認します。SVRが達成されれば、ウイルスが排除され、治癒したと判断されます。

C型肝炎の病態と治療

C型肝炎は、感染すると約70%が慢性化します。慢性C型肝炎は長期間かけて徐々に進行し、感染から20から30年で約30から40%が肝硬変に進行し、肝硬変から年間約7%が肝臓がんを発症します。

C型肝炎の治療は近年劇的に進歩し、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の登場により、ほぼ100%のウイルス排除が可能になりました。治療は1日1回の内服で、期間は8から12週間と短く、副作用も少ないです。

代表的なDAA製剤には、ハーボニー、マヴィレット、エプクルーサなどがあり、ジェノタイプにかかわらず高い効果を示します。ウイルスが排除されれば、肝炎の進行が止まり、肝硬変や肝臓がんのリスクが大幅に減少します。ただし、既に肝硬変に進行している場合は、治療後も肝臓がんのリスクが残るため、定期的な検査が必要です。

肝炎ウイルスの感染経路

肝炎ウイルスの感染を予防するためには、感染経路を理解することが重要です。

B型肝炎の感染経路

B型肝炎ウイルスは、主に血液や体液を介して感染します。主な感染経路は、母子感染(出産時に母親から子へ)、性行為による感染、輸血や血液製剤(現在は検査により安全性が確保されています)、注射器の共用(薬物使用)などです。

日常生活での接触(握手、食器の共用、入浴など)では感染しません。B型肝炎は感染力が強く、少量のウイルスでも感染が成立することがあります。そのため、医療従事者や家族にB型肝炎患者がいる方は、ワクチン接種が推奨されます。

日本では2016年から、全ての新生児に対してB型肝炎ワクチンの定期接種が開始され、将来的な感染者の減少が期待されています。母子感染予防策(HBs抗原陽性の母親から生まれた児への免疫グロブリンとワクチンの投与)も徹底されています。

C型肝炎の感染経路

C型肝炎ウイルスも主に血液を介して感染します。主な感染経路は、輸血や血液製剤(1992年以前)、注射器の共用(薬物使用)、医療行為での感染(針刺し事故、不適切な医療器具の使用)などです。

現在の輸血用血液は厳格な検査が行われており、輸血による感染リスクは極めて低くなっています。性行為や母子感染による感染は、B型肝炎に比べて少ないですが、可能性はあります。

C型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスより感染力が弱く、日常生活での接触では感染しません。ただし、カミソリや歯ブラシなど血液が付着する可能性のあるものは共用を避けるべきです。C型肝炎にはワクチンがないため、感染経路を知り、予防することが重要です。

肝炎検査を受けるべき人

肝炎ウイルス感染は自覚症状がないことが多いため、以下に該当する方は積極的に検査を受けることが推奨されます。

肝炎検査の対象者

まだ一度も肝炎ウイルス検査を受けたことがない方は、全員が検査の対象です。特に、1992年以前に輸血を受けた方、長期間血液透析を受けている方、薬物使用歴がある方は、C型肝炎のリスクが高いため、必ず検査を受けるべきです。

入れ墨やピアスの穴あけを不衛生な環境で行った方、医療従事者で針刺し事故の経験がある方、家族にB型肝炎やC型肝炎の患者がいる方もリスクが高いです。肝機能検査(AST、ALT)で異常を指摘されたことがある方も、肝炎ウイルスが原因の可能性があります。

妊婦健診では通常B型肝炎検査が行われますが、C型肝炎検査も推奨されます。健康診断や人間ドックで肝炎ウイルス検査を受ける機会があれば、積極的に受けましょう。多くの自治体では、無料または低額で肝炎ウイルス検査を実施しています。

定期的な検査が必要な人

肝炎ウイルス感染が判明した方は、定期的に検査を受けて病状を監視することが重要です。慢性B型肝炎または慢性C型肝炎の方は、3から6ヶ月ごとに肝機能検査、AFP検査、腹部超音波検査を受けることが推奨されます。

これにより、肝炎の進行度を評価し、肝臓がんを早期に発見できます。治療により肝炎ウイルスが排除された方も、既に肝硬変に進行している場合は、肝臓がんのリスクが残るため、定期的な検査を継続する必要があります。

治療を受けていない無症候性キャリアの方も、年に1から2回は肝機能検査とウイルス量の測定を受け、治療開始のタイミングを見逃さないようにすることが重要です。

肝炎ウイルス感染が判明した場合の対応

肝炎検査で陽性が判明した場合、適切に対処することが重要です。

専門医の受診と精密検査

HBs抗原またはHCV抗体が陽性の場合は、速やかに肝臓専門医(消化器内科、肝臓内科)を受診することが推奨されます。専門医は、詳しい血液検査(ウイルス量、肝機能、肝線維化マーカーなど)や画像検査(腹部超音波、CT、MRIなど)を行います。

肝生検(肝臓の組織を採取して顕微鏡で調べる検査)により、肝臓の炎症や線維化の程度を正確に評価することもあります。最近では、非侵襲的な肝線維化評価法(フィブロスキャン、血液マーカーなど)も用いられています。

これらの検査により、肝炎の進行度を評価し、治療の必要性や緊急性を判断します。肝硬変や肝臓がんが既に発生していないかも確認します。早期に発見できれば、治療により進行を防ぎ、健康な生活を維持できます。

治療の選択肢と医療費助成

B型肝炎とC型肝炎の治療は、前述のとおり大きく進歩しています。特にC型肝炎では、ほぼ100%のウイルス排除が可能になりました。治療費は高額ですが、肝炎治療には医療費助成制度があり、所得に応じて自己負担額が軽減されます。

都道府県の肝炎治療医療費助成制度を利用することで、月額の自己負担額は1万円から2万円程度に抑えられます(所得により異なる)。この制度により、多くの方が経済的負担を軽減しながら治療を受けられます。

治療を受けるかどうか迷っている方は、まず専門医に相談し、自分の病状や治療の必要性について理解することが重要です。治療により肝硬変や肝臓がんを予防できれば、将来的な医療費や生活への影響も大幅に軽減できます。

日常生活での注意点

肝炎ウイルスに感染していても、日常生活で他の人に感染させるリスクは低く、過度に心配する必要はありません。ただし、血液が付着する可能性のあるもの(カミソリ、歯ブラシ、爪切りなど)は共用を避けるべきです。

過度の飲酒は肝臓に大きな負担をかけ、肝炎の進行を早めるため、禁酒または節酒が強く推奨されます。バランスの取れた食事、適正体重の維持、十分な休息も肝臓の健康に重要です。

家族や性的パートナーには感染のことを伝え、必要に応じて検査を受けてもらうことが推奨されます。B型肝炎の場合は、ワクチン接種により予防できます。定期的に医療機関を受診し、適切な管理を続けることが、健康な生活を維持する鍵となります。

まとめ

肝炎検査は、B型肝炎やC型肝炎ウイルスの感染を調べる重要な検査です。HBs抗原検査でB型肝炎を、HCV抗体検査でC型肝炎をスクリーニングし、陽性の場合はさらに詳しい検査で病状を評価します。

肝炎ウイルス感染は多くの場合無症状ですが、放置すると肝硬変や肝臓がんに進行するリスクがあります。しかし、現代の治療法により、B型肝炎ではウイルスの増殖を抑え、C型肝炎ではほぼ100%のウイルス排除が可能です。

まだ肝炎ウイルス検査を受けたことがない方は、ぜひ一度検査を受け、自分の感染状況を確認しましょう。陽性が判明した場合は、恐れずに専門医を受診し、適切な治療を受けることで、肝硬変や肝臓がんを予防し、健康な生活を送ることができます。肝炎検査は、肝臓の健康を守る第一歩です。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。