頸動脈エコー検査(頸動脈超音波検査)は、首の動脈の状態を超音波で観察し、動脈硬化の程度を評価する検査です。
頸動脈は脳に血液を送る重要な血管であり、この部位の動脈硬化は脳梗塞のリスクに直結します。
痛みがなく被曝もない安全な検査で、全身の動脈硬化の指標としても活用されています。
本記事では、頸動脈エコー検査でわかること、IMTやプラークの意味、検査結果の見方について詳しく解説します。
目次
頸動脈エコー検査とは
頸動脈エコー検査は、超音波を使って頸動脈(首の両側にある動脈)の状態を画像化する検査です。
動脈硬化の早期発見と脳梗塞リスクの評価に非常に有用で、人間ドックや脳ドックで広く実施されています。
頸動脈は体表近くを走行しているため、超音波で鮮明に観察することができます。
血管壁の厚さ、プラーク(動脈硬化による沈着物)の有無、血流の状態などを詳細に評価できます。
検査時間は約15〜20分程度で、ベッドに横になった状態で首にゼリーを塗り、プローブ(探触子)を当てて観察します。
痛みはなく、X線を使用しないため放射線被曝の心配もありません。
頸動脈エコー検査でわかること
頸動脈エコー検査では、動脈硬化に関する複数の重要な情報を得ることができます。
これらの指標を総合的に評価することで、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを判断します。
IMT(内膜中膜複合体厚)
IMT(Intima-Media Thickness)は、血管壁の内膜と中膜を合わせた厚さを測定した値です。
動脈硬化が進行すると血管壁が厚くなるため、IMTは動脈硬化の程度を示す重要な指標となります。
正常値は1.0mm未満とされ、1.1mm以上になると動脈硬化が進行していると判断されます。
プラーク
プラークとは、血管壁にできたコレステロールや脂質などの沈着物です。
動脈硬化が進行すると、血管の内側にプラークが形成され、血管が狭くなります。
プラークの大きさ、形状、性状(硬いか柔らかいか)を評価し、脳梗塞のリスクを判断します。
柔らかいプラーク(不安定プラーク)は破れやすく、血栓を形成して脳梗塞を引き起こすリスクが高いとされています。
狭窄率
プラークによって血管がどの程度狭くなっているかを示す指標が狭窄率です。
50%以上の狭窄がある場合は、脳梗塞のリスクが高まるため、精密検査や治療が必要になることがあります。
70%以上の高度狭窄では、外科的治療(頸動脈内膜剥離術やステント留置術)が検討されます。
血流速度
頸動脈を流れる血液の速度も測定されます。
血管が狭くなっている部位では血流が速くなるため、狭窄の程度を推定することができます。
また、血流の乱れ(乱流)の有無も確認し、動脈硬化の進行度を評価します。
動脈硬化と脳梗塞リスクの関係
頸動脈の動脈硬化は、脳梗塞の発症リスクと密接に関連しています。
頸動脈で発見された動脈硬化は、全身の動脈硬化を反映していることが多く、心筋梗塞のリスク指標としても重要です。
脳梗塞の発症メカニズム
頸動脈の動脈硬化による脳梗塞は、主に2つのメカニズムで発症します。
一つは、プラークが破れて血栓が形成され、それが脳の血管に詰まる「塞栓性脳梗塞」です。
もう一つは、頸動脈が高度に狭窄することで脳への血流が低下する「血行力学性脳梗塞」です。
リスク因子
動脈硬化を進行させるリスク因子として、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満などが挙げられます。
これらの危険因子を複数持っている方は、動脈硬化が進行しやすく、脳梗塞のリスクが高まります。
頸動脈エコー検査で動脈硬化が見つかった場合は、これらのリスク因子の管理が重要になります。
頸動脈エコー検査の流れ
頸動脈エコー検査は、特別な前処置なしに受けられる簡便な検査です。
食事制限も必要なく、検査当日の準備は特にありません。
検査前の準備
首周りを露出しやすい服装で来院してください。
ネックレスやスカーフは外していただきます。
検査前の絶食は不要ですが、施設によっては他の検査との兼ね合いで指示されることがあります。
検査の手順
検査台に仰向けに横になり、首を少し反らせた姿勢をとります。
首にゼリーを塗り、超音波プローブを当てて左右の頸動脈を観察します。
検査中はリラックスして、呼吸を止める指示があれば従ってください。
検査時間は両側で約15〜20分程度です。
検査後
検査終了後は、ゼリーを拭き取ってすぐに日常生活に戻れます。
検査結果は当日または後日、医師から説明されます。
検査結果の見方と基準値
頸動脈エコー検査の結果は、複数の指標で評価されます。
結果を正しく理解し、必要な対策を取ることが重要です。
IMTの評価
IMTの基準値は一般的に1.0mm未満です。
1.0mm以下は正常、1.1〜1.5mmは軽度肥厚、1.6mm以上は中等度以上の肥厚と判定されます。
IMTが肥厚している場合は、動脈硬化のリスク因子の管理と定期的な経過観察が推奨されます。
プラークの評価
プラークが認められた場合は、その大きさ、位置、性状が評価されます。
小さなプラークで狭窄が軽度の場合は、生活習慣の改善と定期検査で経過観察します。
プラークが大きく狭窄率が高い場合は、脳神経外科や循環器内科での精密検査が必要です。
血管年齢
頸動脈エコー検査の結果から、「血管年齢」が算出されることがあります。
これは、IMTの値を同年代の平均値と比較し、血管の老化度を年齢で表したものです。
実年齢より血管年齢が高い場合は、動脈硬化の予防に積極的に取り組む必要があります。
検査結果に異常があった場合の対応
頸動脈エコー検査で動脈硬化やプラークが見つかった場合は、生活習慣の改善と危険因子の管理が基本となります。
生活習慣の改善
禁煙は最も効果的な動脈硬化予防策です。
食事では、塩分と脂質を控え、野菜や魚を中心としたバランスの良い食事を心がけます。
適度な運動を習慣化し、適正体重を維持することも重要です。
基礎疾患の治療
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患がある場合は、適切な治療を受けてコントロールすることが大切です。
これらの疾患を放置すると、動脈硬化がさらに進行します。
定期的な経過観察
動脈硬化が見つかった場合は、半年〜1年ごとに頸動脈エコー検査を受け、変化を観察することが推奨されます。
プラークが増大したり狭窄が進行したりする場合は、追加の検査や治療が必要になります。
まとめ
頸動脈エコー検査は、動脈硬化の程度を評価し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを把握するための重要な検査です。
IMT(内膜中膜複合体厚)とプラークの有無を調べることで、血管の状態を詳しく知ることができます。
痛みがなく被曝もない安全な検査なので、定期的に受けることをおすすめします。
頸動脈の動脈硬化は全身の動脈硬化を反映しているため、検査で異常が見つかった場合は、生活習慣の改善と危険因子の管理に取り組むことが大切です。
特に、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などのリスク因子を持つ方は、50歳を過ぎたら頸動脈エコー検査を受けることをおすすめします。
早期発見と早期対策で、脳梗塞を予防しましょう。










