「血圧が高いと言われたけど、どれくらいから高血圧なの?」「自覚症状がないのに注意が必要って本当?」——こうした疑問を抱く方は少なくありません。高血圧症は日本における生活習慣病の代表であり、放置すると脳卒中や心疾患など重大な病気につながる恐れがあります。
実際、厚生労働省の調査では、日本人の3人に1人が高血圧であると報告されています。その多くが無自覚のまま進行し、健康診断で初めて気づくケースも少なくありません。だからこそ、正しい知識と日々の健康管理が大切です。
本記事では、高血圧の基準値や正常値、上・下の血圧の意味、脈拍との関係、さらに原因・症状・初期段階での注意点など、知っておくべき情報をわかりやすく解説します。自覚症状がなくても気づいたときには進行していることがあるため、早めの理解と予防が重要です。
目次
高血圧症とは?正常値と基準値の違いを解説
高血圧症とは、血圧が慢性的に基準値を超えている状態を指します。血圧とは心臓が血液を全身に送り出すときに血管にかかる圧力で、「上の血圧(収縮期血圧)」と「下の血圧(拡張期血圧)」の2つで表されます。
日常的に測る血圧値には多少の変動がありますが、基準を大きく超える状態が続いている場合には、身体に深刻な負担をかけているサインと捉えましょう。血管が常に高い圧力にさらされると、血管壁が傷つきやすくなり、動脈硬化や血栓が発生するリスクが高まります。
血圧の分類(日本高血圧学会基準)
血圧分類 | 収縮期(上) | 拡張期(下) |
---|---|---|
正常血圧 | <120 mmHg | <80 mmHg |
正常高値 | 120–129 mmHg | <80 mmHg |
高値血圧 | 130–139 mmHg | 80–89 mmHg |
高血圧(Ⅰ度) | 140–159 mmHg | 90–99 mmHg |
高血圧(Ⅱ度) | 160 mmHg以上 | 100 mmHg以上 |
このように、わずかな数値の違いでも分類が分かれており、それぞれの段階で対策が求められます。
血圧はいくつから高血圧?上と下の血圧の意味
上の血圧(収縮期血圧)
心臓が収縮して血液を送り出す際の圧力を示すのが「上の血圧」です。動脈硬化が進んでいたり、心臓のポンプ機能に異常があると、この値が高くなる傾向があります。特に高齢者では上の血圧だけが高くなる「収縮期高血圧」がよく見られます。
下の血圧(拡張期血圧)
心臓が拡張し、血液を再び受け入れているときの圧力が「下の血圧」です。下の血圧が高い場合は、若年層でも高血圧の可能性があります。心拍出量や血管の弾力性、自律神経のバランスが密接に関係しています。
高血圧と脈拍の関係
脈拍(心拍数)は血圧とともに健康状態を示す重要な指標です。高血圧の人では交感神経の活性が高まっており、安静時でも脈拍が速くなる傾向があります。心臓への負担が増すことで動悸や不整脈を引き起こすリスクも高まるため、血圧とあわせて脈拍も日常的にチェックしておくと安心です。
また、運動不足やストレス、過度のカフェイン摂取などによっても脈拍は上昇します。逆に、脈拍が遅すぎる場合(徐脈)は薬の副作用や心疾患のサインであることもあるため注意が必要です。
高血圧症の原因を理解する~リスク要因と誘発要素
高血圧症のほとんどは「本態性高血圧」であり、明確な原因は特定できないものの、生活習慣や体質の影響が大きいとされています。遺伝的に血圧が上がりやすい体質の人は、若い頃から生活習慣に注意する必要があります。
特に日本人は塩分感受性が高いため、塩分の過剰摂取は高血圧の最大のリスク因子といわれています。また、肥満、喫煙、アルコール過多、睡眠不足、ストレスなども血圧を上昇させる要因となります。
一方で「二次性高血圧」の場合は、腎臓や内分泌系の疾患など、明確な原因が存在します。この場合、原因疾患の治療を優先することで血圧が改善することもあります。
高血圧症の症状と初期段階での注意点
高血圧の恐ろしい点は、多くの人が症状を自覚しないまま、血管や臓器が徐々にダメージを受けていくことです。「沈黙の殺人者」とも呼ばれる理由はここにあります。
自覚症状が出たときの例
血圧が急激に上昇した場合や、長期間放置された高血圧では、以下のような症状が現れることがあります。
- 後頭部を中心とした圧迫感のある頭痛
- 胸の圧迫感や息切れ、動悸
- 目のかすみや、光がまぶしく感じる
- 足のむくみ、疲労感
初期症状がないからこそ注意が必要
健康診断で「少し高めですね」と言われた程度でも、早期に生活を見直すことが将来の病気を防ぐカギとなります。特に家族に高血圧の人がいる場合は要注意。日々の記録と改善が、命を守る習慣につながります。
まとめ|高血圧は早期の理解と対応が鍵
高血圧は日常生活の中で静かに進行する疾患です。しかし、その先に待つのは心筋梗塞や脳卒中、腎不全といった命に関わる病気であることを忘れてはいけません。
幸い、高血圧は予防とコントロールが可能な病気です。正しい知識を持ち、日常的に血圧を測定し、早期にリスクを発見して行動に移すことが、健康寿命の延伸につながります。塩分制限や運動習慣の導入、禁煙・節酒といったシンプルな習慣が、将来の大きな安心に変わります。