近年、健康診断で「血糖値が高め」と指摘される人が増えています。血糖値の異常は、放置すると糖尿病へと進行し、将来的に心筋梗塞や脳梗塞といった重大な合併症を引き起こすリスクがあります。
しかし、初期段階では症状がほとんどないため、「隠れ糖尿病」や「糖尿病予備軍」として見過ごされがちです。この記事では、血糖値が高くなる原因、現れる症状、そして早期発見と対策のポイントについて詳しく解説し、生活習慣の見直しによる予防や改善策を紹介します。
目次
高血糖とは?血糖値が高くなる仕組みと分類
血糖とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことを指します。食事から摂取された糖質は体内でブドウ糖に分解され、エネルギー源として利用されます。
通常、血糖値はインスリンというホルモンによって一定の範囲内に保たれていますが、この働きが弱まると、血液中に糖が過剰に残り「高血糖」状態となります。
境界型糖尿病(前糖尿病)や糖尿病予備軍と呼ばれる段階では、血糖値は基準値をわずかに超えている状態ですが、放置すると糖尿病へと進行する可能性が高くなります。
高血糖の主な原因を理解する
高血糖を引き起こす要因はさまざまありますが、特に以下の生活習慣が大きく影響します。
過食・偏った食事
糖質や脂質の摂りすぎ、食物繊維の不足などにより、血糖値が急上昇しやすくなります。特に精製された白米や白パン、菓子類は血糖スパイクを引き起こします。
運動不足
運動が不足すると、筋肉によるブドウ糖の消費が減少し、インスリンの効きも悪くなります。
肥満
特に内臓脂肪が多いと、インスリンの働きを妨げるホルモンが分泌され、高血糖を引き起こしやすくなります。
ストレス
慢性的なストレスはコルチゾールなどのホルモン分泌を促し、血糖値の上昇を招きます。
遺伝的要因
家族に糖尿病患者がいる場合、体質的にインスリン分泌が弱い可能性があり、リスクが高まります。
高血糖の症状と見逃しがちなサイン
高血糖の初期段階では自覚症状が少ないため、注意が必要です。以下のような症状が見られる場合は、早めの受診が推奨されます。
喉の渇き・頻尿
高血糖により腎臓が糖を排出しようとするため、水分が奪われやすくなり、喉が渇き頻繁に尿意を感じるようになります。
体重減少
インスリンがうまく働かないと、糖がエネルギーとして利用されず、代わりに筋肉や脂肪が分解されて体重が減ることがあります。
だるさ・眠気
血糖値の上下動によりエネルギー代謝が不安定になり、日中に強い眠気や倦怠感を感じることがあります。
目のかすみ・手足のしびれ
末梢神経や眼の血管に影響を与えはじめると、視界がぼやけたり、しびれなどが現れることもあります。
放置するとどうなる?高血糖が招くリスク
高血糖を長期間放置すると、糖尿病へと進行し、さまざまな合併症を引き起こす恐れがあります。
- 糖尿病性網膜症:失明の原因となることもある目の合併症
- 糖尿病性腎症:慢性腎不全につながり、人工透析が必要になるケースも
- 糖尿病性神経障害:手足の感覚麻痺や痛み、消化管の運動障害を起こすことも
- 動脈硬化の進行:心筋梗塞、脳梗塞など命に関わる疾患のリスクが高まります
糖尿病予備軍・境界型糖尿病の段階で気づき、改善することが極めて重要です。
血糖値が高い人に多いタイプ:糖尿病予備軍・隠れ糖尿病とは
糖尿病予備軍とは、空腹時血糖値が110〜125mg/dLの間、または食後血糖が140〜199mg/dLである人を指します。
隠れ糖尿病は、空腹時は正常でも食後や負荷後に血糖値が異常に高くなるタイプで、健診では見逃されがちです。
これらの状態は明確な糖尿病ではないものの、リスクが高く、早期の対応が求められます。
高血糖を改善するための生活習慣
血糖値の正常化には、日々の生活習慣の見直しが不可欠です。
食事改善
- 炭水化物の質と量を調整し、低GI食品(玄米、全粒粉、野菜など)を選ぶ
- 野菜や海藻類を先に食べる「ベジファースト」で急激な血糖上昇を抑える
- 食物繊維とたんぱく質をしっかり摂り、満腹感と血糖安定を目指す
運動習慣
- 有酸素運動(ウォーキングやサイクリングなど)を週150分以上行う
- 筋トレでインスリン感受性を高め、糖代謝を改善
ストレス管理・睡眠の質向上
- 過度なストレスを避け、リラクゼーションや趣味の時間を確保
- 睡眠不足がホルモンバランスを乱すため、規則正しい生活を心がけましょう
まとめ|高血糖を見逃さず、今すぐできる対策を
血糖値の異常は、初期症状が軽いために見過ごされがちですが、放置すると深刻な病気へとつながります。高血糖の原因や症状を知り、早めに生活習慣を見直すことで、糖尿病の進行を防ぐことができます。
血糖値が気になる方は、まずは食事と運動から見直し、必要に応じて医療機関での検査や相談を受けましょう。小さな変化が将来の健康を大きく左右します。