脂肪肝とは、肝臓に過剰な脂肪が蓄積した状態を指します。一見すると自覚症状が乏しく「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓の異常ですが、放置すると肝炎・肝硬変・肝がんなど深刻な病気に進行する可能性があります。実は日本人の約3人に1人が脂肪肝とされ、特に40代以上の男性の約30%に脂肪肝がみられるとも報告されています。忙しいビジネスマンにとっても他人事ではありません。
しかし裏を返せば、脂肪肝は生活習慣を見直すことで改善・予防できる病気です。本記事では脂肪肝の基本から原因・症状、そして忙しい人でも実践できる予防・改善策までを網羅的に解説します。読めば日々の習慣を少し工夫するだけで肝臓の健康を守り、将来の大病リスクを減らせることがお分かりいただけるでしょう。忙しい毎日でもできる対策を知り、沈黙の臓器を元気に保つ秘訣を身につけてください。
目次
脂肪肝とは?基本知識と種類
脂肪肝(しぼうかん)とは、肝細胞の中に中性脂肪が過剰に蓄積した状態を言います。
目安として、肝細胞の5%以上に脂肪がたまっていると脂肪肝と診断されます。肝臓は本来、エネルギー源として脂肪を蓄え必要に応じて消費しますが、飲み過ぎ食べ過ぎなどで消費しきれない脂肪が肝臓にどんどん蓄積すると脂肪肝になります。
脂肪肝そのものは当初あまり症状を出しませんが、健康診断の血液検査で肝機能異常(ALTやASTの上昇)や腹部エコー検査で肝臓の白っぽい像として指摘され発見されるケースがほとんどです。

脂肪肝の種類は大きく2つに分けられます:
アルコール性脂肪肝
長期間にわたる過度の飲酒が原因で起こる脂肪肝です。アルコールの代謝過程で肝細胞に脂肪がたまり、肝臓が脂肪だらけになってしまいます。毎日日本酒3合(ビール大瓶3本、ウイスキーならダブル3~4杯)以上を飲む人では高率に脂肪肝が認められます。アルコール性脂肪肝を放置するとアルコール性脂肪性肝炎(ASH)といって肝臓に炎症が起こる状態に進行し、さらに肝硬変へ至る恐れがあります。
非アルコール性脂肪肝
お酒をほとんど飲まない人に生じる脂肪肝で、英語名の頭文字からNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)とも呼ばれます。主な原因は肥満や糖尿病、高脂血症などの生活習慣で、慢性的な栄養過多により肝臓に脂肪が蓄積します。飲酒習慣がない人でも、カロリーの高いものを摂り続け運動不足で消費エネルギーが少ないと脂肪肝になり得るのです。
非アルコール性脂肪肝の一部は肝臓に炎症が起きた非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)へ進行し、NASHになると肝硬変や肝がんに至るリスクが高まります。近年は食生活の欧米化に伴い日本でもNAFLDの患者が増加傾向にあります。
なお、まれに急激なダイエットや一部の薬剤、妊娠中の肝機能異常など特殊な原因で脂肪肝になるケースもありますが、本記事では主に上記2種類の脂肪肝について解説します。まずは次に、脂肪肝を招く原因やリスク因子を詳しく見ていきましょう。
脂肪肝を招く主な原因とリスク因子
脂肪肝の原因は大きく分けて「アルコールの過剰摂取」と「エネルギー過剰(栄養過多)」の2つです。現代の働き盛り世代においては、以下のようなリスク因子に心当たりがある人が多いかもしれません。
過度の飲酒習慣
毎日のように大量のお酒を飲む人はアルコール性脂肪肝の大きなリスクがあります。アルコールの解毒で肝臓が手一杯になると脂肪の代謝が後回しにされ、結果として肝臓に中性脂肪が蓄積してしまいます。男性で1日あたりアルコール20〜25g(ビール中瓶1本程度、日本酒1合程度)以上の飲酒は脂肪肝リスクを高める量であり、できればそれ以下に控えることが望ましいとされています。
女性はアルコールに対する分解能力が低いため、この約2/3程度が目安です。毎日飲酒する場合は「休肝日」を設けるなど肝臓を休ませる工夫も必要です。
肥満(内臓脂肪型肥満)
太りすぎも脂肪肝の最大の原因の一つです。BMI(肥満指数)が25以上の肥満の人の20〜30%に脂肪肝がみられるとのデータがあり、内臓脂肪の蓄積が肝臓の脂肪蓄積につながります。特にウエスト周囲径の大きい内臓脂肪型肥満は肝臓への脂肪沈着を招きやすく、メタボリックシンドローム(高血圧・高血糖・脂質異常などを合併した状態)の一症状として脂肪肝が現れることも多いです。
肥満の人はそうでない人に比べ肝臓での中性脂肪合成が亢進し、さらにインスリン抵抗性(血糖を下げるホルモンの効きが悪い状態)があると脂肪分解が進んで余分な脂肪酸が肝臓に流れ込みやすくなるため、脂肪肝になりやすいとされています。
糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病
2型糖尿病の人や高トリグリセリド血症(高脂血症)の人も脂肪肝を合併しやすいことが知られています。これらは肥満と関連が深く、インスリン抵抗性や脂質代謝異常を通じて肝臓への脂肪蓄積を促進します。
特に糖尿病患者の脂肪肝保有率は高く、脂肪肝がさらに糖尿病を悪化させる悪循環にもなりかねません。脂肪肝はそれ自体が動脈硬化の危険因子とも考えられており、放置すればメタボリックシンドロームの他の症状(高血圧や高血糖)の発症リスクも高めます。
過食・偏った食生活
栄養バランスの悪い食事や暴飲暴食も脂肪肝の原因です。高カロリー食(脂質や糖質の過剰摂取)で使い切れなかったエネルギーは中性脂肪となって肝臓に蓄積します。
特にジュースや菓子類に含まれる糖分(ショ糖や果糖)は肝臓で中性脂肪に変わりやすいため注意が必要です。一方で、極端な食事制限ダイエットで短期間に体重を落とすことも、一時的に肝臓に脂肪が沈着しやすくなる場合があります。急激な減量や栄養失調は逆効果になり得るため、無理のない範囲でバランス良い食生活を心がけましょう。
運動不足・座りがちな生活
「摂取エネルギーに対して消費エネルギーが少ない」生活は脂肪肝に直結します。デスクワーク中心で日常的な身体活動量が少ない人は、余剰エネルギーが消費されず脂肪として蓄積してしまいます。
忙しい現代人は意識しないと運動不足に陥りがちですが、定期的な運動習慣のない人では脂肪肝のリスクが高まるため注意が必要です。通勤や日常の中で歩く機会が少ない、エスカレーターや車移動が多いという方は、意識的に歩く・階段を使うなど日常動作から見直してみましょう。
以上のように、脂肪肝は生活習慣の積み重ねによる部分が大きい病気です。特に「酒をよく飲む」「食べ過ぎる」「運動する時間がない」という忙しいビジネスマンのライフスタイルに心当たりがある場合、肝臓には知らず知らず負担が蓄積しているかもしれません。
また、なかには「痩せているのに脂肪肝」と診断されるケースもあり、日本人では痩せ型でも内臓脂肪が多かったり糖質中心の食生活だったりすると脂肪肝が生じることがあります。体型にかかわらず、日々の習慣が肝臓に影響を与えることを覚えておきましょう。
脂肪肝が進行するとどうなる?症状と放置によるリスク
脂肪肝そのものは初期にはほとんど症状を感じません。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり病状が進行するまで自覚症状が出にくいのです。実際、脂肪肝の人の半数以上は無症状とされています。
「疲れやすい」「身体がだるい」など漠然とした不調を感じることもありますが、多くは健康診断で血液の肝機能異常(AST・ALT・γ-GTP値の上昇)や腹部エコー検査で脂肪肝の指摘を受けて初めて気づく場合がほとんどです。自覚症状がないからといって安心せず、健診結果で「脂肪肝の疑い」「肝機能異常」を指摘されたら必ず医療機関を受診しましょう。
脂肪肝をこのまま放置することは非常に危険です。脂肪肝の状態が長く続くと肝臓に慢性的な炎症が生じ、脂肪性肝炎(しぼうせいかんえん)へ進行することがあります。
アルコール性の場合は前述のASH、非アルコール性の場合はNASHに相当します。脂肪性肝炎になると肝細胞の障害が進み、肝臓が線維化(硬くなること)して肝硬変へと至る可能性があります。肝硬変まで進行すると、肝臓の解毒・代謝機能が大幅に低下し、以下のような深刻な症状が現れます。
むくみ・腹水
アルブミンなど肝臓で作られるタンパク質が減少するため血管内の水分保持ができず、足のむくみや腹部に水がたまる腹水が起こります。
黄疸(おうだん)
肝臓で処理しきれなくなったビリルビンが体内に蓄積し、皮膚や白目が黄色くなります。
肝性脳症
肝臓で処理しきれない有害物質が脳に回ることで意識混濁や昏睡を引き起こすことがあります。重症の肝硬変では生命の危機に直結します。
肝がんの発生
脂肪肝→肝炎→肝硬変という経過をたどる中で、肝細胞がんが発生するリスクも高まります。特にNASHや肝硬変まで進んだ場合、数%の人に肝がんが発生するとされています。
また、肝臓自体の病変だけでなく、脂肪肝の存在は動脈硬化や心臓病、糖尿病など他の生活習慣病のリスクファクターでもあります。脂肪肝を抱えている人は心筋梗塞や脳卒中などを発症しやすいという報告もあり、全身の健康に関わる問題と捉える必要があります。
このように脂肪肝は「たいしたことのない状態」では決してなく、放置すれば老化や生活習慣病を加速させる重大な疾患です。しかし幸いなことに、肝臓は適切なケアを行えば回復する臓器でもあります。
脂肪肝と診断された場合でも、早期に対策を講じれば肝機能の数値は改善し、蓄積した脂肪も減らすことが可能です。次の章では、肝臓を元気にするための食事・運動・生活習慣の改善法を具体的に見ていきましょう。
脂肪肝の予防と改善策(食事・運動・生活習慣)

脂肪肝に特効薬はありませんが、その代わり生活習慣の見直しが何よりも有効な治療法になります。
ここでは食事・運動・その他生活習慣のポイントに分けて、脂肪肝を予防・改善する具体策を紹介します。どれも今日から実践できるものばかりですので、できることから始めてみましょう。
食事で肝臓に優しい工夫をする
食事療法は脂肪肝改善の第一歩です。肝臓に余分な脂肪を溜めないためには、摂取エネルギーと栄養バランスをコントロールすることが重要です。以下の点を意識しましょう。
総カロリーの適正化
肥満の方はまず適正体重までの減量を目指します。1日あたり摂取カロリーを抑え、緩やかに体重を減らすことで肝臓に蓄積した脂肪は少しずつ減っていきます。
急激な減量は不要ですので、例えば現在の食事量を2~3割減らすことから始めてみましょう。標準体重(BMI=22前後)まで落とせれば理想的ですが、5~10%の体重減少でも肝臓の脂肪は大きく減るとされています。一気に完璧を目指す必要はありませんが、「減量が必要」と言われた方は少しずつでも体重を落とす努力が大切です。
糖質の質と量に注意
砂糖や果糖などの過剰摂取は控えましょう。清涼飲料水やスイーツに含まれるショ糖・果糖は中性脂肪に変わりやすく、脂肪肝を悪化させます。間食のお菓子や甘い飲み物はできるだけ避け、どうしても摂る場合は少量に留めます。
一方で、ご飯やパンなど穀類に含まれるでんぷん質はゆるやかにエネルギーとなる糖質であり、適量であれば肝臓への負担は比較的少ないとされています。主食のご飯は抜く必要はありませんが、茶碗一杯程度の適量を守りましょう。フルーツもビタミン補給に有益ですが糖分が多いので、1日片手のひらに乗る程度の量に抑えるのが無難です。
脂質の質と量に注意
脂っこい揚げ物やスナック菓子、脂身の多い肉など高脂質の食品も控えめにします。脂質そのものは適量なら必要な栄養ですが、過剰摂取すると肝臓や内臓に脂肪として蓄積します。特に動物性の飽和脂肪酸(バターやラード、脂身肉)は肝臓への負担が大きいため摂りすぎに注意しましょう。
調理では油を使いすぎない、外食でも天ぷらやフライより焼き物・煮物を選ぶなど工夫してください。一方で、オリーブオイルや青魚に含まれる不飽和脂肪酸は適量なら肝臓に良い影響を与えるという報告もあります。油の質を意識することも大切です。
タンパク質と食物繊維をしっかり摂る
良質なたんぱく質は肝細胞の修復や代謝を助けるため積極的に摂取しましょう。魚や脂肪の少ない肉(牛・豚のモモやヒレ、鶏ささみ等)、大豆製品(豆腐・納豆など)、乳製品、卵などを毎食手のひら1つ分程度取り入れるのが目安です。
また食物繊維(野菜、きのこ、海藻など)は糖や脂肪の吸収を抑える効果があるので毎食しっかり摂りたい栄養素です。1日両手いっぱいの野菜を目標に、サラダやおひたし、野菜スープなどを食事に取り入れてください。タンパク質も食物繊維も、摂りすぎる心配はあまりありませんが、極端に偏ってサプリメント等で過剰摂取すると腎臓に負担をかける可能性もあります。あくまでバランスよく食事から摂ることを心がけましょう。
アルコールの節度ある摂取
脂肪肝の人、肝機能が高めの人は可能なら禁酒または節酒が求められます。アルコール性脂肪肝の方は禁酒が最も効果的な治療法です。非アルコール性脂肪肝の方も、お酒はできるだけ控えるに越したことはありません。どうしても飲む場合も前述した適量(1日20g程度まで)を守り、毎日は飲まないよう休肝日を設けましょう。
お酒を飲むときは肝臓でのアルコール分解に時間をかけるためゆっくり飲むのがコツです。またアルコールは食欲を増進させるため、飲酒中につい脂っこいおつまみやシメのラーメンなどを食べたくなりますが、ここも注意ポイントです。
おつまみには枝豆や冷奴、刺身、蒸し鶏サラダなど低脂肪・高タンパクのものを選び、揚げ物やラードたっぷりの料理は避けるようにしましょう。飲酒習慣を見直すだけでも肝臓の負担は大幅に減らせます。
以上のように、「食べ過ぎない・飲み過ぎない・バランスよく」が脂肪肝改善の食事のキモです。
忙しいとつい外食やコンビニ食が増えるかもしれませんが、その場合でも主菜に魚や大豆製品を選ぶ、野菜のおかずやサラダをプラスする、炭水化物は大盛りにしないなど、小さな選択の積み重ねで肝臓に優しい食事に近づけます。次項では運動面のポイントを見てみましょう。
運動習慣で脂肪を燃焼しよう
運動療法は脂肪肝改善にとても重要な柱です。体を動かすことで余分な中性脂肪がエネルギーとして消費され、肝臓に蓄積した脂肪の減少につながります。
特に有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、エアロビクスなど)は脂肪肝の改善効果が高いことが知られています。以下を目安に運動習慣を取り入れてみましょう。
適度な有酸素運動を週に複数回行う
1日30分程度の有酸素運動を週に2~3回以上行うと脂肪肝が改善しやすいとされています。ウォーキングであれば1日6000~10000歩を目標に、通勤時にひと駅分歩く、エレベーターではなく階段を使うなど生活の中で歩数を稼ぐ工夫をしましょう。
ジョギングやサイクリング、水泳など好きな有酸素運動があれば週末にまとまった時間取り組むのも効果的です。ポイントは継続することなので、自分が続けやすい運動を見つけてください。「息が弾むが会話はできる」程度の中強度で行うと脂肪燃焼効率が良いです。運動により筋肉量が増えれば基礎代謝も上がり、太りにくいやせやすい体質に変わっていきます。
筋トレも組み合わせる
可能であれば筋力トレーニング(無酸素運動)も取り入れると尚良いです。筋肉量が増すとエネルギー消費量が増え、脂肪の蓄積を防ぎます。
腕立て伏せやスクワット、腹筋運動など自宅でできる自重トレーニングを週2回ほど行ってみましょう。筋トレ後には脂肪燃焼が高まると言われているので、そのタイミングで軽い有酸素運動を組み合わせると効率的です。ただし過度な筋トレで息が上がりすぎると続かないので、無理のない範囲で構いません。有酸素+筋トレのバランスが大切です。
忙しい人は短時間高強度運動も活用
時間が取れない場合、近年話題のHIIT(高強度インターバルトレーニング)のように短時間で効果の高い運動を活用するのも一つの手です。
例えば20秒間全力運動+10秒休憩を8セット行う4分間の運動(タバタ式トレーニング)などでも、継続すれば肝臓脂肪の減少に効果があるとの研究があります。忙しい方には短時間で済む運動は取り組みやすい方法と言えます。ただし普段運動習慣がない人は無理をせず、まずはウォーキングなど低強度から始めて徐々に強度を上げてください。
「ながら運動」で日常に組み込む
まとまった運動時間が取りにくければ、生活の中でこまめに体を動かす工夫をしましょう。エレベーターではなく階段を使う、通勤時に一駅手前で降りて歩く、デスクワークの合間に軽いストレッチをするなど、スキマ時間を活用した運動でも積み重ねれば効果があります。
最近では肝臓専門医と理学療法士が共同開発した、その場でできる簡単な体操プログラム(通称「へパトサイズ」)も公開されています。椅子に座ったままでもできる手軽なエクササイズも紹介されており、自宅や職場でながら運動として実践することで忙しくても運動不足を補えます。
運動時には継続可能な範囲で無理なく行うことと、安全に配慮することが大切です。週に数回の運動習慣と日常的な活動量アップにより、肝臓に溜まった中性脂肪を効率よく燃焼させましょう。
では最後に、生活全般で留意すべきその他のポイントと忙しい方向けのコツをまとめます。
その他の生活習慣:十分な休養と定期チェック
食事と運動以外にも、日頃の生活習慣を整えることが脂肪肝改善には欠かせません。
十分な睡眠と休養を取る
過労や睡眠不足は肝臓の修復・再生の妨げになります。忙しくても睡眠時間をしっかり確保し、ストレスを溜めすぎないことが大切です。寝ている間に肝臓はダメージを回復しますので、慢性的な寝不足は避けましょう。特にアルコール性脂肪肝の場合、心身の過労や寝不足は肝炎悪化の引き金にもなるため注意が必要です。オンオフのメリハリをつけ、休日にはしっかり体を休める習慣を心がけてください。
生活リズムを整える
規則正しい生活も肝臓にはプラスです。朝起きて日中に活動し、夜はしっかり寝るという本来のリズムを守ると代謝が活発になり、エネルギーが効率よく消費されます。実は人間の体は夜より昼間の方が血糖値の上昇や脂肪合成が緩やかで、同じ食事量でも夜遅く食べる方が太りやすいことがわかっています。
つまり、夜遅い食事や夜更かしの生活は脂肪肝を悪化させる要因になり得ます。忙しくて夕食が遅い人は、できれば就寝2時間前までに済ませる、夜は炭水化物を控えめにして朝食をしっかり食べるなど、生活リズムと食事内容を調整してみましょう。【早寝早起き・朝型の生活】にシフトできればベストです。
定期的に健康診断を受け経過をチェック
脂肪肝は自覚症状が乏しいため、健康診断や血液検査で定期的に肝機能の数値を確認することが重要です。特に脂肪肝と指摘されたことがある人は、治ったと思っても再度脂肪肝になるケースもあるため注意が必要です。定期健診でAST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTPなどの値に注目し、必要に応じて腹部エコー検査も受けましょう。
異常が続く場合は消化器内科を受診し、場合によっては詳しい検査(FibroScanや肝生検など)で肝臓の状態を評価してもらうと安心です。自分の肝臓の状態を把握し、変化を追うことが肝臓病予防には欠かせません。
以上の対策を総合的に実践することで、脂肪肝は改善・予防することが可能です。次の章では、特に忙しいビジネスマンの方に向けて、日常生活で無理なくできる脂肪肝対策のポイントをまとめます。
忙しいビジネスマンでもできる脂肪肝対策のポイント
仕事に家庭に忙しい30~50代のビジネスマンでも、今日から始められる脂肪肝対策を5つのポイントにまとめました。時間がない中でも工夫次第で実践可能ですので、できそうなものから取り入れてみてください。
1.通勤・勤務時間をアクティブに
通勤時に一駅手前で降りて歩く、オフィスではエレベーターではなく階段を使うなど、意識的に歩く機会を増やしましょう。1日トータルで30分歩くことを目標にすると、忙しくても無理なく達成できます。
在宅勤務の場合も、1時間に1回は席を立ってストレッチやその場ジョギングをしてみましょう。塵も積もれば山となり、こうした日々の活動が肝臓の脂肪燃焼につながります。
2.ランチ&お酒の賢い選択
外食やコンビニ利用が多い人は、メニュー選びで肝臓への負担を減らせます。お昼はラーメンや丼ものだけで済まさず、野菜たっぷりの定食やサラダ・汁物を追加するなど栄養バランスを意識しましょう。
揚げ物より焼き魚・煮物、菓子パンよりおにぎり+サラダチキンなど、ちょっとした選択の違いで摂取カロリーは大きく変わります。夜の付き合い酒も、毎回深酒せず適量で切り上げる工夫を。
例えば「最初の1杯だけビールにして、あとはウーロン茶」「週末だけ飲酒して平日は休肝日にする」など自分なりのルールを決めましょう。どうしても飲み会が続く場合は、翌日は夕食を軽めにするなど帳尻を合わせてください。
3.スキマ時間エクササイズ
ジムに通う時間がなくても、自宅でできる短時間エクササイズを習慣化しましょう。テレビを見ながらスクワット10回×3セット、歯磨きしながら踵上げ運動、移動中にかかとを上げ下げするなど、ながら運動でこまめに筋肉を動かすことが大切です。
通勤前の5分でできるHIITやストレッチ動画も数多く公開されています。スマホで「脂肪肝 体操」などと検索し、信頼できる医療機関が紹介している簡単エクササイズ動画を活用するのも良いでしょう。短時間でも積み重ねれば運動不足解消に効果大です。
4.夜遅い食事・夜更かしの見直し
仕事で帰宅が遅くなりがちな方は、夜の過ごし方を工夫しましょう。遅い夕食は炭水化物を控えめにして野菜やタンパク質中心にする、21時以降はできるだけ食べないようにするなど、夜間のカロリー摂取を減らすと脂肪蓄積を防げます。どうしてもお腹が空く場合はスープやヨーグルトなど軽いもので済ませ、翌朝しっかり食べる習慣に切り替えましょう。
また深夜までスマホやテレビで起きていると睡眠不足になり肝臓の回復が妨げられます。可能な範囲で早寝早起きを心がけ、夜はリラックスして過ごすようにしましょう。毎日は難しくても、週に数回でも実践すれば肝臓への負担軽減につながります。
5.健康診断をフル活用
多忙でも年に一度の健康診断は必ず受け、結果を見逃さないでください。もし「肝機能異常」や「脂肪肝疑い」と書かれていたら、そのままにせず医師の指導を仰ぎましょう。早期に対策すればするほど肝臓は元気を取り戻します。
会社の定期健診で脂肪肝を指摘された方は、ぜひ本記事で紹介したような食事・運動改善を実践し、3~6か月後に再検査してみてください。数値の改善がモチベーションにもなりますし、万一改善しなければ医療機関で専門的な検査・治療(必要なら薬物療法も検討)を受けることができます。自分の健康状態を数値で把握し、対策→検証のサイクルを回すことが忙しい人ほど効率的な健康管理法と言えるでしょう。
忙しいビジネスマンでも、以上のポイントを意識すれば無理なく脂肪肝対策を継続することができます。最初は難しく感じるかもしれませんが、小さな習慣の積み重ねが将来の大きな差になります。では最後に、本記事の内容をまとめておさらいしましょう。
まとめ:脂肪肝は「沈黙の危機」—生活習慣の見直しで肝臓を守ろう
脂肪肝は自覚症状が少ないため見過ごされがちですが、現代人の3人に1人が抱える身近な肝臓の病気です。
アルコールの飲み過ぎや肥満・運動不足などが原因で肝臓に脂肪が蓄積し、放置すれば肝炎から肝硬変、肝不全、肝がんへと進行する危険性があります。特に働き盛りの男性は脂肪肝リスクが高いため注意が必要です。
しかし裏を返せば、脂肪肝は生活習慣を改善することで十分に予防・改善できる病気でもあります。
食事面では「摂り過ぎない・偏らない」を徹底し、糖質や脂質の過剰に気をつけつつタンパク質や食物繊維を意識して摂取することが肝要でした。運動面では「有酸素運動を中心に週2~3回以上」を目標に、日常生活でこまめに体を動かす工夫も合わせて取り入れることが大切です。
さらに十分な休養と規則正しい生活リズムで肝臓の回復力を高め、定期健診で自分の肝臓の状態をチェックすることも忘れないでください。
忙しいビジネスマンでも、小さな努力の積み重ねで脂肪肝を克服し健康な肝臓を取り戻すことは可能です。
肝臓は沈黙していますが、あなたの生活を映す鏡のように正直に答えてくれます。今日からできることを一つずつ実践し、ぜひ肝臓に優しい生活習慣を手に入れてください。そうすることで、将来にわたって元気に働き続けられる体と、病気に負けない強い味方(肝臓)を得ることができるでしょう。
忙しい毎日の中でも、自分の体をいたわる時間を少しだけ作ってあげてください。それが将来の自分への最高の投資になるはずです。