フレイルとは何か|予防・チェック方法・サルコペニアとの違いと食事・運動を解説

「なんとなく疲れやすくなった」「以前より歩くのが遅くなった」「食欲がなくなってきた」――これらの変化は加齢による自然なものと受け流しがちですが、フレイルという状態のサインかもしれません。フレイルとは健康な状態と要介護状態の中間にある「虚弱」の状態で、適切な介入によって健康な状態に戻ることができる「可逆的な状態」です。この記事では、フレイルの定義・チェック方法・サルコペニアとの違い・予防のための食事と運動のポイントを詳しく解説します。

フレイルとは?定義と重要性

フレイル(Frailty)は英語の「虚弱」を意味する言葉で、日本老年医学会が2014年に提唱した概念です。身体的な衰えだけでなく、精神・心理的な落ち込み(うつ傾向・認知機能の低下)と社会的なつながりの希薄化(孤立・閉じこもり)の3つの側面を含みます。

フレイルを放置すると転倒・骨折・入院・要介護状態へと進行するリスクが高まりますが、早期に発見して対策を講じれば健康な状態に戻ることが可能です。日本の65歳以上の高齢者の約10〜15%がフレイルの状態にあるとされています。

フレイルのチェック方法

日本では日本版フレイルの評価として、以下の5項目を用いたチェックが一般的です。

5つのフレイル評価基準(Friedの基準の日本版)

①体重減少(過去6か月で2〜3kg以上の意図しない体重減少)、②筋力低下(握力が男性28kg未満・女性18kg未満)、③疲労感(ほとんどいつも疲れている)、④歩行速度の低下(通常歩行速度が1.0m/秒未満)、⑤身体活動量の低下(軽い運動や体操をしていない)の5項目のうち、3項目以上に該当するとフレイル、1〜2項目ならプレフレイルとされます。心配な場合はかかりつけ医や地域の保健師に相談してください。

フレイルとサルコペニアの違い

フレイルとよく混同されるのがサルコペニアです。サルコペニアは加齢による骨格筋量・筋力・身体機能の低下を指す「身体的な問題」です。一方、フレイルは身体的問題(サルコペニアを含む)だけでなく、心理・社会的な問題も含む広い概念です。サルコペニアはフレイルの大きな原因の一つであり、フレイルの身体的側面の主要な構成要素でもあります。どちらも「食事・運動」が最大の予防策である点は共通しています。

フレイルの3つの側面

フレイルには3つの側面があります。

身体的フレイル

筋肉量の減少・体重減少・歩行速度の低下・疲労感・活動量の低下が代表的です。サルコペニアが密接に関与しており、転倒・骨折・寝たきりのリスクと直結します。

精神・心理的フレイル

うつ症状・認知機能の低下・意欲の低下などが含まれます。身体的フレイルと相互に悪化させる関係にあります。認知症のリスクも高まるため、頭を使う趣味や社会活動を継続することが重要です。

社会的フレイル

一人暮らし・外出頻度の低下・人との交流の減少・孤立などが含まれます。社会的なつながりが失われると身体的・精神的フレイルも進行しやすくなります。地域の活動・ボランティア・趣味のサークルへの参加が予防になります。

フレイル予防の食事:タンパク質が鍵

フレイル・サルコペニア予防で最も重要な栄養素がタンパク質です。高齢者は若い人と比べて筋肉でのタンパク質合成能力が低下しているため、成人以上に多くのタンパク質摂取が必要です。厚生労働省の推奨量は65歳以上で体重1kgあたり1.0〜1.2gですが、フレイル予防の観点では1.2〜1.5g/kg/日が目安とされています。

肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などを毎食取り入れましょう。特に必須アミノ酸の一つであるロイシン(肉・魚・乳製品に多く含まれる)が筋肉のタンパク質合成を刺激する効果が注目されています。食欲がない場合は、プロテインドリンク・栄養補助食品を活用することも選択肢です。

フレイル予防の運動:筋トレと有酸素運動

筋力維持・向上にはレジスタンス運動(筋力トレーニング)が最も効果的です。スクワット・かかと上げ・腕立て伏せなど自重を使った運動でも十分な効果があります。週2〜3回、主要な筋群(太もも・体幹・上腕)をターゲットにした運動を行いましょう。

ウォーキング・水中歩行などの有酸素運動は心肺機能・下肢筋力の維持と転倒予防に効果的です。1日30分・週5日を目標にしてください。運動後30分〜1時間以内にタンパク質を補給するとより筋肉合成の効果が高まります。

オーラルフレイルとは

近年注目されているのがオーラルフレイル(口の機能の衰え)です。歯の喪失・咀嚼力低下・嚥下機能の低下は、食欲不振・低栄養・誤嚥性肺炎のリスクと直結し、全身のフレイルを加速させます。定期的な歯科検診と口腔体操(パタカラ体操)が予防に有効です。

まとめ

フレイルは高齢者が要介護状態へ移行する前段階の虚弱状態であり、身体的・精神的・社会的な3つの側面を持ちます。5項目のチェックで早期発見し、タンパク質を十分に摂る食事・筋トレと有酸素運動・社会参加を組み合わせた予防策を実践することで、健康な状態を取り戻すことができます。50代から意識的にフレイル予防を始めることが、元気な老後への近道です。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。