アミロイドーシスとは?症状・原因・診断・治療法を徹底解説

アミロイドーシスは、異常なタンパク質「アミロイド」が体内の臓器や組織に沈着し、機能障害を引き起こす稀な疾患です。

症状は多岐にわたり、初期には自覚しにくいため、診断が遅れることも少なくありません。しかし、早期発見と適切な治療により、進行を抑え、生活の質を向上させることが可能です。

本記事では、アミロイドーシスの種類、原因、症状、診断方法、治療法、予防策について詳しく解説します。正しい知識を身につけ、健康管理に役立てましょう。

アミロイドーシスとは?基本的な知識をわかりやすく解説

アミロイドーシスは、異常な構造を持つアミロイドタンパク質が体内に蓄積し、臓器や組織の機能障害を引き起こす疾患の総称です。

アミロイドは、正常なタンパク質が異常に折りたたまれた結果、線維状の構造を形成し、分解されにくくなります。これが臓器に沈着することで、さまざまな症状が現れます。

アミロイドーシスは、沈着するアミロイドの種類や原因により、以下のように分類されます:

  • ALアミロイドーシス(原発性):免疫グロブリン軽鎖由来のアミロイドが全身に沈着。
  • AAアミロイドーシス(続発性):慢性炎症性疾患に伴い、血清アミロイドA由来のアミロイドが沈着。
  • ATTRアミロイドーシス:トランスサイレチン由来のアミロイドが心臓や神経に沈着。
  • Aβ2Mアミロイドーシス:長期透析患者に見られるβ2ミクログロブリン由来のアミロイドが沈着。

アミロイドーシスの主な症状と診断方法

アミロイドーシスの症状は、アミロイドが沈着する臓器によって異なります。以下に主な症状を示します:

心臓への影響

アミロイドが心筋に沈着すると、心不全不整脈を引き起こすことがあります。特にATTRアミロイドーシスでは、心筋の硬化により拡張障害型心筋症が見られます。

腎臓への影響

腎臓にアミロイドが沈着すると、蛋白尿ネフローゼ症候群腎機能障害が発生します。特にALアミロイドーシスでは、腎臓が最も影響を受けやすい臓器の一つです。

神経系への影響

末梢神経や自律神経にアミロイドが沈着すると、手足のしびれ立ちくらみ消化器症状(下痢や便秘)などが現れます。特にATTRvアミロイドーシスでは、多発性ニューロパチーが特徴的です。

消化器系への影響

消化管にアミロイドが沈着すると、下痢便秘食欲不振体重減少などの症状が見られます。これらはAAアミロイドーシスでよく報告されています。

診断方法

アミロイドーシスの診断には、以下の検査が行われます:

  • 組織生検:腹脂肪、皮膚、直腸、骨髄などから組織を採取し、アミロイド沈着を確認します。
  • 染色法:コンゴレッド染色により、アミロイドの存在を確認します。
  • 免疫組織化学染色:アミロイドのタイプを特定するために行います。
  • 血液検査:免疫グロブリンや軽鎖の異常を調べます。
  • 画像検査:心エコー、MRI、PETなどで臓器の状態を評価します。

アミロイドーシスの原因を理解する:リスク要因と予防法

アミロイドーシスの原因は、アミロイドの種類によって異なります。以下に主な原因とリスク要因を示します:

ALアミロイドーシス(原発性)

  • 原因:骨髄の形質細胞が異常な免疫グロブリン軽鎖を産生し、これがアミロイドとして沈着します。
  • リスク要因:多発性骨髄腫やMGUS(単クローン性免疫グロブリン増加)など。

AAアミロイドーシス(続発性)

  • 原因:慢性炎症性疾患(関節リウマチ、炎症性腸疾患など)により、血清アミロイドAが増加し、アミロイドとして沈着します。
  • リスク要因:長期間の炎症性疾患の罹患。

ATTRアミロイドーシス

  • 原因:トランスサイレチン(TTR)というタンパク質の異常により、アミロイドが沈着します。
  • リスク要因:遺伝性(ATTRv)や加齢(野生型ATTR)。

予防法

アミロイドーシスの予防は難しいですが、以下の点に注意することでリスクを低減できます:

  • 慢性炎症性疾患の適切な管理:AAアミロイドーシスの予防に有効です。
  • 定期的な健康診断:早期発見につながります。
  • 家族歴の確認と遺伝カウンセリング:ATTRvアミロイドーシスのリスク評価に役立ちます。

アミロイドーシスの治療法を詳しく解説:最新の医療と対策

アミロイドーシスの治療は、アミロイドの種類や症状の進行度に応じて異なります。以下に主な治療法を示します:

ALアミロイドーシス

  • 化学療法:ボルテゾミブ、ダラツムマブ、シクロホスファミド、デキサメタゾンなどを使用し、異常な形質細胞を抑制します。
  • 自己末梢血幹細胞移植:若年で全身状態が良好な患者に適応されます。

AAアミロイドーシス

  • 基礎疾患の治療:関節リウマチなどの炎症性疾患を適切に管理し、SAAの産生を抑制します。

まとめ:アミロイドーシスは早期発見と適切な治療が鍵

アミロイドーシスは稀ではあるものの、複数の臓器に影響を及ぼし、重篤な合併症を招くことがある疾患です。

異常なタンパク質の蓄積が進む前に、正しい知識を持ち、定期的な健康チェックを行うことが大切です。

特に症状が現れにくい初期段階での発見と、個々のタイプに適した治療を受けることで、予後を大きく改善できます。生活の質を守るためにも、早期対応を心がけましょう。

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20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。