脳ドックとは?検査内容・費用・受けるメリットを詳しく解説

脳卒中は日本人の死因第4位であり、寝たきりになる原因の第1位を占める重大な疾患です。

脳卒中の多くは突然発症し、後遺症が残ることも少なくありません。

しかし、脳の血管異常や動脈硬化は自覚症状がないまま進行するため、「脳ドック」で早期に発見することが重要です。

本記事では、脳ドックの検査内容や費用、受けるべき人の特徴について詳しく解説します。

脳ドックとは

脳ドックは、脳や脳血管の状態を詳しく調べるための専門的な健康診断です。

MRIやMRAなどの画像検査を中心に、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳卒中リスクや、未破裂脳動脈瘤、脳腫瘍などを早期に発見することを目的としています。

通常の人間ドックでは脳の詳細な検査は含まれていないため、脳卒中予防を意識する方には脳ドックの受診が推奨されます。

脳ドックの主な検査内容

頭部MRI検査

MRI(磁気共鳴画像診断)は、強力な磁場と電波を使って脳の断層画像を撮影する検査です。

放射線を使用しないため被曝の心配がなく、脳の細部まで詳しく観察できます。

脳梗塞の痕跡、脳腫瘍、白質病変(加齢による脳の変化)、脳萎縮などを発見できます。

特に無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)は自覚症状がないため、MRIでのみ発見されることがあります。

頭部MRA検査

MRA(磁気共鳴血管撮影)は、造影剤を使わずに脳血管の状態を画像化する検査です。

脳動脈瘤(脳血管のこぶ)、脳血管の狭窄や閉塞、脳動静脈奇形などを発見できます。

特に未破裂脳動脈瘤は、破裂するとくも膜下出血を引き起こす危険な病変ですが、破裂前に発見できれば予防的な治療が可能です。

頸動脈エコー検査

首にある頸動脈を超音波で観察する検査です。

頸動脈は脳に血液を送る重要な血管であり、ここに動脈硬化が進行すると脳梗塞のリスクが高まります。

血管壁の厚さ(IMT)やプラーク(動脈硬化の塊)の有無を評価し、脳梗塞リスクを判定します。

認知機能検査

脳ドックによっては、認知機能検査が含まれる場合があります。

記憶力、注意力、遂行機能などを評価し、軽度認知障害(MCI)や認知症の早期発見に役立ちます。

MRIで脳萎縮の程度と合わせて評価することで、より正確な認知機能評価が可能です。

血液検査

脳卒中のリスク因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症などを評価するための血液検査が含まれます。

また、LOX-index検査など、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを予測する特殊な検査がオプションで受けられる施設もあります。

脳ドックで発見できる病気

疾患名 主な検査 特徴
無症候性脳梗塞 頭部MRI 症状のない小さな脳梗塞
未破裂脳動脈瘤 頭部MRA 破裂前の脳血管のこぶ
脳血管狭窄 頭部MRA、頸動脈エコー 血管が細くなった状態
白質病変 頭部MRI 加齢や高血圧による脳の変化
脳腫瘍 頭部MRI 脳内の腫瘍性病変
頸動脈プラーク 頸動脈エコー 脳梗塞の原因となる動脈硬化

脳ドックを受けるべき人

以下に該当する方は、脳ドックの受診を検討することをおすすめします。

高血圧がある方

高血圧は脳卒中の最大のリスク因子です。

血圧が高い状態が続くと、脳の小さな血管が傷つき、無症候性脳梗塞や脳出血のリスクが高まります。

高血圧の方は定期的に脳ドックを受けることが推奨されます。

糖尿病がある方

糖尿病は動脈硬化を促進し、脳梗塞のリスクを2〜4倍に高めます。

血糖コントロールが不良な方は特に注意が必要です。

喫煙習慣がある方

喫煙は脳卒中リスクを約2倍に高めます。

また、くも膜下出血の最大のリスク因子でもあるため、喫煙者は脳動脈瘤の有無を確認しておくことが重要です。

家族歴がある方

親や兄弟姉妹に脳卒中やくも膜下出血を発症した方がいる場合、遺伝的に脳血管疾患のリスクが高い可能性があります。

特に脳動脈瘤は家族内で発生しやすい傾向があります。

50歳以上の方

脳卒中のリスクは加齢とともに上昇します。

50歳を過ぎたら、症状がなくても3〜5年に一度は脳ドックを受けてチェックすることをおすすめします。

脳ドックの費用

脳ドックは健康診断の一種であるため、基本的に自費診療となります。

費用は施設や検査内容によって異なりますが、30,000〜60,000円程度が相場です。

頭部MRI・MRAと頸動脈エコーを組み合わせた基本的なコースで40,000円前後、認知機能検査やPET検査を含む充実コースでは10万円を超える場合もあります。

健康保険組合や自治体の補助制度を利用できる場合もあるため、事前に確認しましょう。

脳ドックの注意点

MRI検査を受けられない場合

心臓ペースメーカーを装着している方、人工内耳を使用している方、体内に金属(一部の人工関節、脳動脈クリップなど)がある方は、MRI検査を受けられない場合があります。

事前に医療機関に相談してください。

閉所恐怖症の方

MRI検査は狭い筒の中に入るため、閉所恐怖症の方は不安を感じることがあります。

オープン型MRIを導入している施設もあるため、心配な方は事前に確認しましょう。

まとめ

脳ドックは、脳卒中や脳動脈瘤などの脳血管疾患を早期に発見するための重要な健診です。

頭部MRI・MRAで脳と脳血管の状態を、頸動脈エコーで動脈硬化の程度を評価します。

高血圧、糖尿病、喫煙習慣がある方、脳卒中の家族歴がある方、50歳以上の方は、積極的に脳ドックを検討してください。

脳卒中は発症後では後遺症が残ることが多いため、発症前の予防が何より重要です。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。