「血管年齢」という言葉を聞いたことはありますか。
血管年齢とは、動脈硬化の進行度を年齢に換算したもので、実年齢より高い場合は動脈硬化が進んでいることを示します。
本記事では、血管年齢を測定できる「PWV検査」について、仕組みや基準値、結果の活かし方を詳しく解説します。
PWV検査とは
PWV(Pulse Wave Velocity:脈波伝播速度)検査は、心臓から送り出された血液の拍動(脈波)が血管を伝わる速度を測定する検査です。
血管が硬いほど脈波は速く伝わり、柔らかいほど遅く伝わります。この原理を利用して、血管の硬さ(動脈硬化度)を評価します。
一般的に行われるのは「baPWV(brachial-ankle PWV)」で、上腕と足首の脈波を測定して算出します。ABI検査と同時に行われることが多いです。
PWV検査でわかること
動脈硬化の進行度
PWV値が高いほど、血管が硬くなっていることを示します。動脈硬化は加齢とともに進行しますが、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などがあると、年齢以上に進行することがあります。
PWV検査により、自分の血管が同年代と比べてどの程度硬いかを把握できます。
血管年齢
PWV値をもとに「血管年齢」が算出されることがあります。血管年齢が実年齢より高い場合は、動脈硬化が進んでいるサインです。
血管年齢を知ることで、生活習慣改善のモチベーションにつなげることができます。
心血管疾患のリスク評価
PWV値が高いと、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を発症するリスクが高いことが研究で示されています。PWV検査は、将来のリスクを予測する指標としても活用されています。
PWV検査の基準値
| baPWV値(cm/秒) | 判定 |
|---|---|
| 1,400未満 | 正常(年齢相応) |
| 1,400〜1,800 | やや硬い(要注意) |
| 1,800以上 | 硬い(動脈硬化が進行) |
基準値は年齢によっても異なります。一般的に、40代では1,400cm/秒未満、60代では1,600cm/秒未満が目安とされています。
年齢別の基準値と比較して、自分の血管年齢を把握することが重要です。
PWV検査の流れ
PWV検査は以下の流れで行われます。
ベッドに仰向けになり、両腕と両足首に血圧計のカフを巻きます。心電図の電極も装着することがあります。
四肢の血圧と脈波を同時に測定し、PWV値を算出します。検査時間は10〜15分程度で、ABI検査と同時に行われることが多いです。
痛みはなく、特別な前処置も必要ありません。
PWV検査を受けるべき人
以下に該当する方は、PWV検査を検討してみてください。
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある方は、動脈硬化が進行しやすいため、定期的なチェックが推奨されます。
喫煙習慣がある方、肥満の方、運動不足の方も対象となります。
また、家族に心筋梗塞や脳卒中の既往がある方、自分の血管年齢を知りたい方にもおすすめです。
PWV値が高かった場合の対応
PWV値が高かった場合は、生活習慣の改善に取り組みましょう。
食事面では、減塩、野菜・魚の摂取増加、飽和脂肪酸の制限が推奨されます。
運動面では、ウォーキングなどの有酸素運動を週に150分以上行うことが目標です。
喫煙者は禁煙が最も効果的です。また、高血圧や糖尿病、脂質異常症がある場合は、適切な治療を継続することが重要です。
生活習慣の改善により、PWV値が低下したという報告もあります。定期的に検査を受けて、改善効果を確認しましょう。
まとめ
PWV検査は、脈波が血管を伝わる速度を測定することで、血管の硬さ(動脈硬化度)を評価する検査です。
血管年齢を知ることで、動脈硬化の進行度を把握し、生活習慣改善のきっかけにすることができます。
生活習慣病がある方、喫煙習慣がある方は、PWV検査を活用して血管の健康をチェックし、心血管疾患の予防に役立てましょう。










