心臓ドックは、心臓病や動脈硬化のリスクを総合的に評価するための専門的な検査プログラムです。
心筋梗塞や狭心症は突然発症することが多く、発症してからでは手遅れになるケースもあります。
心臓ドックでは、冠動脈CT、心エコー、心電図などの検査を組み合わせて、自覚症状が現れる前に心臓の異常を発見することができます。
本記事では、心臓ドックの検査内容と、検査で発見できる病気について詳しく解説します。
目次
心臓ドックとは?検査の目的と対象者
心臓ドックは、心臓と血管の状態を詳しく調べるための専門検診です。
通常の健康診断では見つけにくい心臓病のリスクを、より精密な検査で評価します。
心臓ドックの目的
心臓ドックの主な目的は、心筋梗塞や狭心症の原因となる冠動脈の狭窄や動脈硬化を早期に発見することです。
心臓の機能や構造の異常、不整脈の有無なども同時に評価できます。
早期発見により、生活習慣の改善や薬物療法で病気の進行を防ぐことが可能になります。
心臓ドックを受けるべき方
心臓ドックは、以下のような方に特に推奨されます。
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある方は、動脈硬化が進行しやすいため定期的な検査が重要です。
喫煙者や肥満の方、心臓病の家族歴がある方も対象となります。
動悸、息切れ、胸の違和感などの症状がある方は、早めに検査を受けることをおすすめします。
40歳以上で、まだ心臓の詳しい検査を受けたことがない方にも推奨されます。
心臓ドックの主な検査項目
心臓ドックでは、複数の検査を組み合わせて心臓の状態を総合的に評価します。
医療機関によって検査内容は異なりますが、主要な検査項目を解説します。
冠動脈CT検査
冠動脈CT検査は、心臓を栄養する冠動脈の状態をCTで撮影する検査です。
造影剤を使用して冠動脈を鮮明に描出し、狭窄やプラーク(動脈硬化による沈着物)の有無を確認します。
カテーテル検査のような侵襲的な方法を使わずに、冠動脈の状態を詳しく調べることができます。
検査時間は約10〜15分程度で、被曝量も比較的少なく済みます。
心臓超音波検査(心エコー)
心エコーは、超音波を使って心臓の動きや構造をリアルタイムで観察する検査です。
心臓の大きさ、壁の厚さ、弁の動き、血流の状態などを評価できます。
心機能(どれだけ効率よく血液を送り出せるか)を数値化して評価することも可能です。
被曝がなく、繰り返し検査を受けられる安全な検査です。
心電図検査
心電図検査は、心臓の電気的な活動を記録する検査です。
安静時心電図では、不整脈や心筋の異常を検出します。
医療機関によっては、運動負荷心電図やホルター心電図(24時間記録)を行う場合もあります。
運動負荷心電図では、運動中に現れる心臓の異常を発見できます。
NT-proBNP検査
NT-proBNP検査は、心臓に負担がかかっているかどうかを血液検査で調べます。
心臓が過度に伸展されると、NT-proBNPというホルモンが分泌されるため、心不全の早期発見に有用です。
基準値は125pg/mL未満で、これを超える場合は心臓への負担が考えられます。
動脈硬化検査
ABI検査(足関節上腕血圧比)やPWV検査(脈波伝播速度)で、全身の動脈硬化の程度を評価します。
頸動脈エコー検査を含めて行われることも多く、心臓だけでなく血管全体の状態を把握できます。
心臓ドックで発見できる病気
心臓ドックでは、さまざまな心臓や血管の病気を早期に発見することができます。
冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)
冠動脈CTで冠動脈の狭窄やプラークが見つかれば、狭心症や将来の心筋梗塞のリスクを予測できます。
狭窄が高度な場合は、カテーテル検査や治療が必要になることがあります。
軽度の狭窄やプラークの場合は、生活習慣の改善と薬物療法で進行を防ぐことができます。
心臓弁膜症
心エコーで心臓の弁の異常(狭窄や逆流)を発見できます。
弁膜症は無症状のまま進行することがあり、早期発見により適切な経過観察や治療につなげることができます。
心筋症
心臓の筋肉の異常(肥大型心筋症、拡張型心筋症など)も心エコーで評価できます。
心筋症は突然死の原因になることもあるため、早期発見が重要です。
不整脈
心電図検査で、心房細動、期外収縮、伝導障害などのさまざまな不整脈を発見できます。
心房細動は脳梗塞のリスクを高めるため、発見された場合は治療が必要です。
心不全の兆候
NT-proBNP検査と心エコーを組み合わせることで、心不全の早期段階を発見できます。
心不全は適切な治療で進行を抑えることができるため、早期発見が予後の改善につながります。
心臓ドックの流れと所要時間
心臓ドックの検査時間は、検査内容によって異なりますが、おおむね2〜4時間程度です。
検査前の準備
冠動脈CT検査を受ける場合は、検査前に絶食が必要です(通常4〜6時間)。
カフェインを含む飲み物は検査前日から控えてください。
造影剤を使用するため、過去にアレルギー反応を起こしたことがある方は事前に申告してください。
腎機能が低下している方は、造影剤の使用に注意が必要です。
検査当日の流れ
来院後、問診と血液検査を行います。
心電図、心エコー、冠動脈CTの順に検査を進めます。
冠動脈CT検査の際は、心拍数を下げるための薬(β遮断薬)を投与することがあります。
心拍数が安定した状態で撮影することで、より鮮明な画像が得られます。
結果説明
検査結果は当日または後日、医師から詳しく説明されます。
異常が見つかった場合は、追加の検査や専門医への紹介が行われます。
心臓ドックの費用と医療機関の選び方
心臓ドックは自費検査となり、費用は医療機関や検査内容によって異なります。
費用の目安
心臓ドックの費用は、おおむね3〜10万円程度が相場です。
基本的な検査(心エコー、心電図、血液検査)のみの場合は3〜5万円程度。
冠動脈CTを含む詳細な検査では7〜10万円程度になります。
人間ドックのオプションとして追加する場合は、追加料金で受けられることもあります。
医療機関の選び方
心臓ドックを受ける医療機関を選ぶ際は、循環器専門医が在籍しているかを確認しましょう。
冠動脈CTを行う場合は、高性能なCT装置(64列以上のマルチスライスCT)を備えた施設が望ましいです。
検査後のフォローアップ体制が整っているかも重要なポイントです。
まとめ
心臓ドックは、冠動脈CT、心エコー、心電図、NT-proBNP検査などを組み合わせて、心臓と血管の状態を総合的に評価する専門検診です。
心筋梗塞や狭心症の原因となる冠動脈の狭窄やプラーク、不整脈、心機能の低下などを早期に発見することができます。
心臓病は突然発症することが多く、発症前に異常を見つけることが予防の鍵となります。
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある方、喫煙者、心臓病の家族歴がある方は、40歳を過ぎたら心臓ドックの受診を検討してください。
検査で異常が見つかった場合も、早期に対策を取ることで心臓病の発症を防ぐことができます。
定期的な心臓ドックで、心臓の健康を守りましょう。










