- 人間ドックにいくと受けられる腫瘍マーカーの検査。数多く種類がありますが英語表記でわかりづらいですよね。
今回はその中から「CA19-9」について、腫瘍マーカーのCA19-9とはなにか、何の病気がわかるのか、CA19-9の基準値はどのくらいか、上昇したらどんなことがあるのかなど詳しく解説していきます。
目次
腫瘍マーカーのCA19-9とは?
CA19-9(癌抗原19-9)は、主に消化器系の癌、特に膵臓癌や胆道癌の診断および管理に使用される腫瘍マーカーです。
1981年に発見され、その後の研究で、膵臓癌患者の約70-80%でこのマーカーが上昇することが確認されています。
CA19-9は、糖鎖抗原の一種であり、癌細胞から分泌される物質です。
CA19-9は、主に以下の用途で使用されます:
- 診断補助:膵臓癌や胆道癌の疑いがある場合に、診断の補助として使用されます。しかし、単独での診断はできないため、他の診断方法(画像診断や生検など)と併用されます。
- 治療効果のモニタリング:治療中の患者において、治療の効果を評価するために使用されます。治療が成功している場合、CA19-9の値は低下します。
- 再発の監視:治療後の再発を早期に検出するために使用されます。CA19-9の値が再び上昇する場合、再発の可能性があります。
CA19-9は、胃癌や大腸癌、肝細胞癌、乳癌などの他の癌でも上昇することがありますが、これらの癌では必ずしも高値を示すわけではありません。
CA19-9の基準値は?
CA19-9の正常値は0〜37 U/mLとされています。
この範囲内であれば、通常、臨床的に意味のある異常は認められません。
ただし、基準値は検査機関によって若干の差異がある場合がありますので、結果を解釈する際には、必ず検査を実施した機関の基準範囲を確認する必要があります。
CA19-9の値が37 U/mLを超える場合、臨床的な精査が必要となります。
しかし、注意すべき点として、CA19-9は必ずしも癌の存在を示すわけではなく、良性疾患やその他の条件でも上昇することがあります。
CA19-9が高いときの原因は?
CA19-9が高値を示す場合、その原因は多岐にわたります。以下に主な原因を挙げます:
悪性疾患
- 膵臓癌:CA19-9の最も一般的な上昇原因であり、膵臓癌患者の70-80%で高値を示します。
- 胆道癌:胆管癌や胆嚢癌でも高値を示すことがあります。
- 胃癌:胃癌患者の一部でもCA19-9が上昇することがあります。
- 大腸癌:大腸癌でも上昇する場合がありますが、膵臓癌や胆道癌ほどの感度はありません。
良性疾患
- 慢性膵炎:膵臓の慢性炎症により、CA19-9が上昇することがあります。
- 胆石症:胆道に結石がある場合も上昇することがあります。
- 肝硬変:肝臓の慢性疾患でも、CA19-9の値が上昇することがあります。
- 肝炎:特に慢性肝炎では、高値を示すことがあります。
- その他の良性疾患:例えば、肺炎、気管支炎などの呼吸器疾患でも一時的に上昇することがあります。
その他の要因
- 妊娠:妊娠中に一時的に高値を示すことがあります。
- 喫煙:長期の喫煙者では、CA19-9の値が上昇することがあります。
膵臓癌患者の約70-80%でこのマーカーが上昇することが確認されています。
しかし、良性疾患やその他の非癌性状態でも上昇するため、CA19-9単独で癌の診断を行うことはできません。
CA19-9を正常値に戻すためにできることは?
CA19-9の値が上昇している場合、その原因に応じた対応が必要です。具体的には以下のような対策が考えられます:
医療的対応
- 悪性疾患の治療:膵臓癌や胆道癌などの悪性疾患が原因であれば、手術、化学療法、放射線療法などの適切な治療が必要です。治療が成功すれば、CA19-9の値は低下することが期待されます。
- 良性疾患の治療:慢性膵炎や胆石症などの良性疾患が原因であれば、それぞれの疾患に対する治療が必要です。例えば、胆石症であれば、胆嚢摘出術が行われることがあります。
生活習慣の改善
- 禁煙:喫煙が原因でCA19-9が上昇している場合、禁煙が推奨されます。禁煙により、CA19-9の値が低下する可能性があります。
- バランスの取れた食事:健康的な食生活を維持することが重要です。特に膵臓や肝臓に負担をかけない食事を心掛けることが推奨されます。
- 適度な運動:適度な運動は全身の健康を維持し、消化器系の機能を改善する可能性があります。
定期的な検診
- 定期的なフォローアップ:CA19-9の値が高い場合は、定期的な血液検査と医師によるフォローアップが必要です。これにより、異常が早期に発見され、適切な対応が可能となります。
CA19-9の値は多くの要因で変動するため、その値だけで癌の有無を判断することはできません。必ず医師と相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。腫瘍マーカーの値に一喜一憂せず、定期的な検診と生活習慣の改善を心掛けましょう。