糖代謝検査とは?空腹時血糖・HbA1c・糖負荷試験の基準値と見方を解説

糖代謝検査は、糖尿病やその予備群を早期に発見するための重要な検査です。

血液中の糖(グルコース)がどのように代謝されているかを調べることで、糖尿病のリスクや血糖コントロールの状態を把握することができます。

日本では糖尿病患者と予備群を合わせると約2,000万人以上と推定されており、早期発見と適切な対策が非常に重要です。

本記事では、糖代謝検査の種類と基準値、結果の見方について詳しく解説します。

糖代謝検査とは?その目的と重要性

糖代謝検査は、体内での糖の利用状況を評価する血液検査の総称です。

糖尿病の診断や血糖コントロールの状態を確認するために、健康診断や人間ドックで広く実施されています。

食事から摂取した糖質は、体内でグルコースに分解され、血液中に取り込まれます。

通常、膵臓から分泌されるインスリンの働きにより、血糖値は一定の範囲内に保たれます。

しかし、インスリンの分泌量が不足したり、インスリンの効きが悪くなったりすると、血糖値が上昇し、糖尿病を発症します。

糖代謝検査では、この血糖値の状態を複数の指標で評価します。

空腹時血糖検査:糖尿病スクリーニングの基本

空腹時血糖検査は、糖代謝検査の中で最も基本的な検査です。

10時間以上の絶食後に測定した血糖値を調べ、糖尿病の有無をスクリーニングします。

検査方法

検査前日の夕食後から検査当日の採血まで、水以外の飲食を控えます。

通常、前日21時以降の絶食が指示されます。

採血は静脈から行い、血液中のグルコース濃度を測定します。

基準値と判定

空腹時血糖値の基準は以下のとおりです。

正常値は100mg/dL未満とされています。

100〜109mg/dLは「正常高値」として、将来の糖尿病リスクに注意が必要です。

110〜125mg/dLは「境界型」(糖尿病予備群)に該当し、生活習慣の改善が求められます。

126mg/dL以上は「糖尿病型」と判定され、精密検査が必要となります。

HbA1c検査:過去1〜2ヶ月の血糖状態を反映

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖状態を反映する指標です。

空腹時血糖が検査時点の血糖値を示すのに対し、HbA1cは長期的な血糖コントロールの状態を評価できます。

HbA1cとは

HbA1cは、血液中のヘモグロビン(赤血球に含まれるタンパク質)にグルコースが結合したものです。

血糖値が高い状態が続くと、ヘモグロビンにグルコースが結合する割合が増加します。

赤血球の寿命は約120日であるため、HbA1cの値は過去1〜2ヶ月の血糖値の平均を反映します。

基準値と判定

HbA1cの基準値は以下のとおりです。

正常値は5.5%以下とされています。

5.6〜5.9%は将来の糖尿病リスクに注意が必要です。

6.0〜6.4%は「境界型」として、生活習慣の改善と定期的な検査が推奨されます。

6.5%以上は「糖尿病型」と判定され、医療機関での精密検査と治療が必要です。

HbA1c検査の特徴

HbA1c検査は食事の影響を受けにくいため、空腹でなくても検査が可能です。

ただし、貧血や溶血性疾患がある場合は、正確な値が得られないことがあります。

また、妊娠中や一部の血液疾患でも値に影響が出る場合があります。

グリコアルブミン検査:過去2週間の血糖状態を反映

グリコアルブミン(GA)は、過去約2週間の血糖状態を反映する指標です。

HbA1cより短期間の血糖変動を捉えることができるため、治療効果の早期確認に有用です。

グリコアルブミンとは

グリコアルブミンは、血液中のアルブミン(タンパク質)にグルコースが結合したものです。

アルブミンの半減期は約17日であるため、GAの値は過去2週間程度の血糖状態を反映します。

食後の血糖上昇をより敏感に捉える特徴があります。

基準値と活用

グリコアルブミンの基準値は11.0〜16.0%です。

糖尿病治療中の方では、治療効果の評価や投薬調整の指標として活用されます。

また、貧血などでHbA1cが正確に測定できない場合の代替指標としても使用されます。

食後血糖検査:食後の血糖上昇を評価

食後血糖検査は、食事後の血糖値の上昇パターンを評価する検査です。

空腹時血糖値が正常でも、食後に血糖値が急上昇する「食後高血糖」の状態を見つけることができます。

食後高血糖の問題点

食後高血糖は、糖尿病の初期段階で起こりやすい状態です。

空腹時血糖が正常範囲内でも、食後に140mg/dL以上に上昇する場合は注意が必要です。

食後高血糖は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めることが知られています。

検査のタイミング

一般的に、食事開始から2時間後の血糖値を測定します。

正常な場合、食後2時間値は140mg/dL未満となります。

140〜199mg/dLは境界型、200mg/dL以上は糖尿病型と判定されます。

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT):糖尿病の確定診断

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、糖尿病の確定診断に用いられる精密検査です。

一定量のブドウ糖を摂取し、その後の血糖値の変動を調べることで、糖代謝能力を詳細に評価します。

検査の流れ

検査前日の21時以降は絶食とし、当日朝に空腹時血糖を測定します。

その後、75gのブドウ糖を溶かした溶液を飲み、30分後、1時間後、2時間後の血糖値を測定します。

インスリンの分泌量を同時に測定することもあります。

判定基準

OGTTでは、空腹時血糖と2時間後血糖の両方を評価します。

正常型は、空腹時血糖が110mg/dL未満かつ2時間後血糖が140mg/dL未満です。

境界型(IGT:耐糖能異常)は、2時間後血糖が140〜199mg/dLの場合です。

糖尿病型は、空腹時血糖が126mg/dL以上または2時間後血糖が200mg/dL以上の場合です。

OGTTが推奨される方

健康診断で空腹時血糖が境界域(110〜125mg/dL)だった方、HbA1cが6.0〜6.4%だった方は、OGTTによる精密検査が推奨されます。

また、糖尿病の家族歴がある方や、妊娠糖尿病の既往がある方も対象となります。

糖代謝検査の結果と生活習慣改善

糖代謝検査で異常値が見られた場合は、早期からの生活習慣改善が重要です。

境界型の段階で適切な対策を取ることで、糖尿病への進行を防ぐことができます。

食事療法

糖質の摂取量をコントロールし、バランスの良い食事を心がけます。

野菜から先に食べる「ベジファースト」を実践することで、食後血糖の急上昇を抑えられます。

過食を避け、適正なカロリー摂取を維持することが大切です。

運動療法

有酸素運動はインスリンの感受性を改善し、血糖コントロールに効果的です。

ウォーキングや水泳などを週3〜5回、1回30分以上行うことが推奨されます。

食後に軽い運動を行うことで、食後高血糖を抑える効果も期待できます。

定期的な検査

境界型と判定された方は、6ヶ月〜1年ごとに糖代謝検査を受けることが推奨されます。

糖尿病の早期発見と適切な治療開始のために、定期的なモニタリングが重要です。

まとめ

糖代謝検査は、糖尿病の早期発見と予防に欠かせない重要な検査です。

空腹時血糖は検査時点の血糖値、HbA1cは過去1〜2ヶ月の平均血糖、グリコアルブミンは過去2週間の血糖状態を反映し、それぞれ異なる観点から糖代謝を評価します。

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、空腹時血糖が正常でも食後高血糖を見逃さないための精密検査として重要です。

糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な検査による早期発見が非常に大切です。

検査で境界型と判定された場合は、食事療法と運動療法による生活習慣の改善に取り組み、糖尿病への進行を予防しましょう。

40歳を過ぎたら年に一度は糖代謝検査を受け、自身の血糖状態を把握することをおすすめします。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。