人間ドックなどで尿検査をすると、ウロビリノーゲンという聞き慣れない単語を目にする人も多いのではないでしょうか?
ウロビリノーゲンは、日常では全く目にしないので、一体なにを表すのか少し不安になりますよね。
今回は、そんなウロビリノーゲンとはそもそも何か、ウロビリノーゲンの基準値や陽性・陰性の場合はどんな意味があるのか、そしてよく疑問点としてあがるウロビリノーゲンとビリルビンの違い、腎臓や肝臓との関係について詳しく解説していきます!
目次
ウロビリノーゲンとは?
尿検査でわかるウロビリノーゲンは、肝臓で作られるビリルビンが腸内細菌によって変化したものです。
この代謝物質は、血液を通じて尿に排出され、尿中のウロビリノーゲンの濃度を測定することができます。
ウロビリノーゲン濃度は、肝臓の働きや腎臓の働きなどの評価に利用されます。
正常な場合は、尿中のウロビリノーゲン濃度は少ないか、検出されませんが、肝臓または腎臓の問題などの場合は、濃度が上昇する場合があります。
ウロビリノーゲン濃度の測定は、一般的な尿検査の一部として行われます。このような検査は、腎臓や肝臓の機能の評価、腎疾患や肝疾患のスクリーニング、治療の効果の評価などに使用されます。
ウロビリノーゲンの基準値とは?
判定は、プラスやマイナスいった、陽性・陰性などで表されます。
基準値内の場合は、偽陽性となり(±)という記号で表されます。
陽性の場合は、+、陰性の場合、ーのマークで表されます。
- 偽陽性:正常
- 陽性:肝硬変、肝炎、腸閉塞
- 陰性:閉塞性胆道疾患、抗菌薬など
上記が疑われます。
ウロビリノーゲンが陽性の原因は?
ウロビリノーゲンが尿中に多くなると、陽性の判定が出ることになります。
また、ウロビリノーゲンが尿中に出ると黄疸症状が現れることがあります。
これは、ビリルビンが増加することによって皮膚や眼球の白い部分が黄色くなっていくという症状です。
また、以下のような症状もウロビリノーゲンが陽性の原因となります。
肝臓の疾患
肝臓の疾患(例えば、肝炎、肝硬変など)が原因で、肝臓が正常に機能しなくなると、血液中のウロビリノーゲン濃度が増加します。
腎臓の疾患
腎臓の疾患(例えば、腎不全、腎炎など)が原因で、腎臓が正常に機能しなくなると、尿中のウロビリノーゲン濃度が増加します。
先天性の代謝異常
先天的な代謝異常が原因で、肝臓や腎臓が正常に機能しないことがあり、尿中のウロビリノーゲン濃度が増加することがあります。
食生活や生活習慣
アルコールの摂取や栄養不足などの食生活や生活習慣が原因で、肝臓や腎臓の機能が低下することがあり、尿中のウロビリノーゲン濃度が増加することがあります。
上記以外にも、抗生物質や抗炎症薬の摂取、熱中症などが原因となることもあります。陽性になった場合は、医師による詳細な検査と評価が必要となります。
ウロビリノーゲンが陰性の原因は?
ウロビリノーゲンが陰性の場合は、尿中にビリルビンが正常に排出されていないことから、こちらも何らかの異常があると考えられます。
主な理由としては、胆石や胆道の主要による閉塞性黄疸などの可能性が高いですが、正常なビリルビンが出ていないことが原因となりますので、詳しいことを医師に確認するほうがよいでしょう。
閉塞性黄疸とは?
胆管の狭窄や閉塞が原因で、その流れがさまたげられ、血液中にビリルビンが逆流したために生じた黄疸を閉塞性黄疸と呼びます。
胆管の狭窄・閉塞の原因として最も多いのは胆管結石です。
ウロビリノーゲンが陽性の場合、過剰な量のビリルビンが原因ですが、陰性の場合は、尿中までビリルビンが回ってきていない=逆流してしまっている=閉塞性黄疸ではないか、と判断されることが多いです。
ウロビリノーゲンとビリルビンの違いは?
ウロビリノーゲンは、冒頭でビリルビンが腸内細菌によって変化したもの、と説明しました。
ですので、どちらも同じものではありますが、検査でわかるものに若干の違いがあります。
- ウロビリノーゲン=急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変が疑われる。ウロビリノーゲンはビリルビンが腸内細菌によって分解されたもの
- ビリルビン=尿検査で尿中ビリルビンが陽性の場合は、急性肝炎や胆道閉塞などの疾患が疑われます。
ウロビリノーゲンの腎臓との関わりは?
ウロビリノーゲンは、腎臓の働きに大きく関わっています。
そのため、腎臓の病気や働きの低下によって、ウロビリノーゲンの排出に影響があります。
腎臓は、血液中の毒素や代謝物質を尿として排出する重要な役割を持っています。
腎臓の機能低下や疾患がある場合、ウロビリノーゲンが正常なレベルから増加することがあります。これは、腎臓が適切にウロビリノーゲンを排出できなくなったことを示します。
一方で、腎臓の疾患が原因でウロビリノーゲンが減少する場合もあります。
腎臓とウロビリノーゲンとの関係や影響については、個々の人によって異なります。正常なレベルを超える増加や減少が見られた場合は、医師による評価が必要となります。