パニック障害とは?発作の症状・原因・薬物療法・認知行動療法まで徹底解説

突然、理由もなく激しい動悸・息苦しさ・めまい・「死んでしまうかも」という恐怖感に襲われる——これがパニック発作です。

パニック障害は、決して「気の持ちよう」や「意志の弱さ」が原因ではなく、脳の機能的な問題によって生じる病気です。日本では100人に1〜2人が罹患するとされており、適切な治療によって回復が見込める病気でもあります。

パニック障害とは?発作のしくみ

パニック障害は、突然に予告なく訪れる激しい恐怖感や強い身体症状(パニック発作)が繰り返し起こり、その発作を恐れて行動が制限される不安障害です。

発作は通常10〜20分でピークを迎え、多くの場合30分以内に収まります。身体的な危険がないにもかかわらず脳の「危険センサー」が誤作動し、「逃走か闘争」の反応(アドレナリン放出)が引き起こされることで身体症状が生じます。

パニック発作の主な症状

動悸・息切れ・息苦しさ、胸の痛みや圧迫感、めまい・ふらつき・失神感、手足のしびれやチクチク感、発汗・震え、吐き気、「気が狂ってしまうかも」「死んでしまうかも」という強い恐怖感などが代表的な症状です。

これらの症状は実際に心臓発作や脳の異常が起きているわけではなく、検査を行っても異常が見つからないことが特徴です。しかし本人にとっては非常にリアルな恐怖体験であり、否定したり「気のせい」と言うことは適切ではありません。

予期不安と広場恐怖症:パニック障害の二次的問題

パニック発作を経験した後に生じる特有の問題が2つあります。

予期不安

「また発作が起きたらどうしよう」と常に不安になる状態を「予期不安」といいます。予期不安は慢性的な緊張を生み、それ自体がさらに発作を引き起こしやすくする悪循環をつくります。

広場恐怖症

発作が起きたときに逃げられない場所・助けを求めにくい場所を避けるようになる状態が「広場恐怖症」です。電車・バス・飛行機・人混み・映画館・高速道路など、特定の場所や状況を回避することで、社会生活が著しく制限されます。パニック障害患者の約1/3〜1/2に広場恐怖症が合併するとされています。

パニック障害の治療:薬物療法

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

パニック障害の第一選択薬はSSRI(フルボキサミン・パロキセチン・セルトラリンなど)です。脳内のセロトニン量を増やすことで不安感を軽減し、発作の頻度を減らします。効果が出るまでに2〜4週間かかるため、焦らず継続することが重要です。服薬を急にやめると離脱症状が現れるため、必ず医師の指示のもとで減薬します。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬

アルプラゾラム・クロナゼパムなどの抗不安薬は即効性があり、発作時の頓服薬として使用されることがあります。ただし依存性・眠気などの副作用があるため、長期使用は避け、あくまでSSRIが効くまでの「つなぎ」として使用するのが一般的です。

認知行動療法(CBT):薬に頼らない治療法

認知行動療法(CBT)は、発作に対する誤った認知(思い込み)を修正し、回避行動を少しずつ減らしていく心理療法です。薬物療法との併用でより高い効果が得られるとされています。

具体的には、「息が苦しくなっても死なない」「発作は必ず収まる」という認識を体験を通じて学び直すことで、予期不安と広場恐怖症を克服していきます。段階的に苦手な場所・状況に慣れていく「暴露療法(エクスポージャー)」も認知行動療法の一技法として有効です。

仕事を続けながらパニック障害を治療するには

パニック障害と診断されても、多くの場合は仕事を続けながら治療できます。主治医と相談しながら発作が起きやすい場面(満員電車・長時間会議など)を少しずつ調整することで、休職せずに回復していけるケースも多くあります。

職場に病名や状況を伝えることに抵抗がある場合は、「体調不良による通院中」として配慮を求めることも一つの方法です。

まとめ:パニック障害は必ず良くなる病気

パニック障害は、適切な治療(薬物療法+認知行動療法)を継続することで多くの患者が症状の改善または寛解を達成できる病気です。「また発作が怖くて外出できない」「電車に乗れない」という状態でも、治療によって確実に行動範囲は広がっていきます。

症状を感じたらまず精神科・心療内科を受診して正確な診断を受けることが出発点です。回復の鍵は「発作が起きても大丈夫」という体験を積み重ねることと、焦らず治療を継続することにあります。

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20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。