「はしか(麻しん)は子どもの病気」という認識は過去のものです。2026年、国内ではしかの感染が急増しており、感染者の多くを成人が占めています。
なぜ大人がはしかにかかるのか。それは、ワクチン接種が1回のみだった世代や未接種の人を中心に、免疫が不十分な大人が一定数存在するからです。大人がはしかにかかると子どもより重症化しやすく、肺炎や脳炎などの深刻な合併症リスクも高まります。
本記事では、大人がはしかにかかるリスクとその理由、MRワクチンと抗体検査の具体的な方法・費用・効果、妊婦・妊活中の方への対策まで詳しく解説します。
目次
なぜ大人ははしか(麻しん)にかかるのか
日本でMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)の2回接種が定期接種化されたのは2006年です。それ以前に1回のみ接種を受けた世代(現在の30〜40代が中心)では、「二次性ワクチン不全」と呼ばれる現象が起きている可能性があります。
二次性ワクチン不全とは、一度ワクチン接種で免疫を獲得しても、その後長期間にわたって麻しんウイルスに触れる機会がなかった場合に、体内の抗体量が徐々に低下し、免疫が不十分な状態になる現象です。つまり、過去にワクチンを受けていても、現在は十分な免疫がない可能性があります。
また、ワクチンを受けたことがない方、乳幼児期に接種記録が不明な方も、免疫がない可能性があるため注意が必要です。
大人のはしかは重症化しやすい
はしかに大人がかかると、子どもよりも症状が重篤になりやすいことが知られています。高熱・発しん・倦怠感に加え、以下の合併症リスクが高まります。
肺炎
はしかの合併症として最も頻度が高いのが肺炎です。大人の場合、肺炎を合併する頻度が子どもよりも高いとされており、入院が必要になるケースも少なくありません。免疫機能が低下している方では特に重症化のリスクが高まります。
脳炎・脳症
頻度は約0.1〜0.2%と低いながら、発症した場合の致死率は約15%にのぼり、後遺症(精神発達遅滞・痙攣・麻痺など)が残ることもあります。大人でも発症する可能性があるため、軽視できない合併症です。
妊婦への影響
妊婦がはしかに感染すると、肺炎を合併する頻度が通常より高く、流産・早産のリスクが高まることが報告されています。妊娠中はワクチン接種ができないため、妊活中・妊娠前の段階で抗体検査と必要に応じたワクチン接種を行っておくことが強く推奨されます。
はしか(麻しん)の抗体検査とは
抗体検査とは、過去の感染やワクチン接種によって体内に麻しんウイルスへの免疫(抗体)が十分に存在するかどうかを血液検査で調べる検査です。自分が現在どの程度の免疫を持っているかを客観的に確認することができます。
検査方法と費用
内科・かかりつけ医などで受けることができます。血液を採取して麻しんウイルスに対するIgG抗体価(PA法またはEIA法)を測定します。
費用は自費診療(全額自己負担)となるため医療機関によって異なりますが、抗体検査の費用は概ね3,000〜5,000円程度が目安です。お住まいの自治体によっては助成制度がある場合もあるため、事前に確認することをお勧めします。
検査結果の見方
抗体価の基準は検査方法によって異なりますが、一般的にEIA法では2.0以上で「陽性(免疫あり)」、それ以下では免疫が不十分とされます。結果が低かった場合は、ワクチン接種を検討することが望まれます。
MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)の効果と接種方法
MRワクチンは、麻しん(M)と風しん(R)の両方を予防できる混合ワクチンです。ワクチンを接種することで約95%の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得できるとされています。
2回接種が推奨される理由
1回の接種では免疫が成立しない場合があります(一次性ワクチン不全)。また、一度免疫を獲得しても長期間ウイルスに触れない環境が続くと、抗体量が低下することがあります。このため、2回の接種によってより確実な免疫を維持することが推奨されています。
抗体検査で免疫が不十分と判明した場合は、2回接種を受けると免疫を強化できます。ただし、すでに十分な抗体価がある場合でも、2回接種が安全であることが確認されています。
接種できない人・注意が必要な人
MRワクチンは生ワクチンであるため、妊娠中の方は接種できません。妊活中の方が接種を受ける場合は、接種後少なくとも2か月間は避妊が必要です。また、免疫不全の方(がん治療中など)も接種できないケースがあるため、主治医への相談が必要です。
費用と接種場所
大人のMRワクチン接種は定期接種の対象外であり、自費診療となります。費用は医療機関によって異なりますが、概ね5,000〜10,000円程度が目安です。内科・かかりつけ医・旅行外来対応クリニックなどで接種できます。
妊婦・妊活中の方が行うべき対策
妊娠中はワクチン接種ができないため、妊活を始める前に抗体検査を受け、免疫が不十分であればワクチン接種を行っておくことが最善の予防策です。
妊婦健診でははしかの抗体検査が行われることがありますが、結果が陰性でも妊娠中はワクチン接種ができません。その場合は感染者との接触を避け、家族にワクチン接種を促すことが感染予防の助けとなります。
出産後は授乳期間中でも接種可能とされているため、早めに接種を受けることが次の妊娠への備えにもなります。
まとめ
はしか(麻しん)は子どもだけの病気ではありません。2026年の国内感染急増を受け、大人も自分の免疫状態を確認することがこれまで以上に重要になっています。
抗体検査で現在の免疫状態を調べ、不十分であればMRワクチンの接種を検討しましょう。特に妊活中・妊娠前の女性は妊娠前に必ず対策を行うことが、自分と生まれてくる赤ちゃんを守ることにつながります。
「昔ワクチンを受けた」「子どものときにかかった」という過去の記憶だけで安心するのは禁物です。現在の免疫状態を客観的に把握し、必要な対策を講じることがはしか対策の第一歩です。










