不整脈の症状と原因|心房細動・治療・放置リスクを徹底解説

「脈がドクンと飛ぶ感じがする」「突然胸がドキドキして不安になる」──多くの人が一度は感じる動悸や脈の乱れ。不整脈は健康な人にも起こりうる一方で、放置すると脳梗塞や心不全を引き起こすリスクがある深刻なタイプも存在します。日本では不整脈の患者数は100万人以上とされ、特に心房細動は高齢者に多く、脳梗塞の重大なリスク因子として注目されています。本記事では、不整脈の種類・症状・原因・治療法・生活上の注意点を詳しく解説します。

不整脈とは|正常な脈とどう違う?

健康な成人の安静時心拍数は1分間に60〜100回で、一定のリズムを刻んでいます。不整脈とは、脈のリズム・速さ・規則性が正常から外れた状態の総称です。心拍数が多すぎる「頻脈性不整脈」、少なすぎる「徐脈性不整脈」、リズムが乱れる「期外収縮」など、多様なタイプが含まれます。

不整脈のすべてが危険というわけではありません。健康な人でも過労・睡眠不足・カフェインや飲酒の過剰摂取・精神的ストレスによって一時的に起こる「良性の期外収縮」は治療が不要なケースが多いです。一方で、心臓の構造的異常を背景に持つ不整脈や、心房細動のように血栓形成リスクを伴う不整脈は適切な治療が必要です。

代表的な不整脈の種類と症状

期外収縮|「脈が飛ぶ」感覚

期外収縮は不整脈の中で最も頻度が高く、正規のリズムより早いタイミングで脈が打ち、次の脈まで間が開く(脈が飛ぶ)感覚が特徴です。「ドキン」「ズキン」という不快感を覚えることがありますが、心臓に器質的異常がない場合は経過観察でよいことが多く、むしろ不安・過労・カフェイン過剰が誘因となるため生活習慣の見直しが優先されます。

心房細動|最も注意が必要な不整脈

心房細動は心房が毎分350〜600回という無秩序なリズムで細動(震える)ことで、脈が完全に不規則になる状態です。70歳代で約5%、80歳代で約10%と、加齢とともに急増します。

症状は人によって大きく異なり、激しい動悸・息切れ・倦怠感が現れる人がいる一方、約25%の患者は無症状です。最大の問題は、心房内に血栓ができやすくなることです。心房が正常に収縮しないため血液がよどみ、左心耳という部位に血栓が形成されやすくなります。この血栓が脳血管に飛んで詰まると、広範な脳梗塞を引き起こします。心房細動患者の脳梗塞リスクは通常の約5倍です。

心室細動・心室頻拍|命に関わる不整脈

心室細動と心室頻拍は致死性不整脈と呼ばれ、突然死の原因となります。心室細動では心臓がポンプ機能を完全に失い、意識消失・心停止が起きます。このとき速やかにAEDによる電気ショックと心肺蘇生(CPR)を行うことが唯一の救命手段となります。

不整脈の原因とリスク因子

不整脈は「心臓自体の原因」と「心臓以外の原因」に大別されます。心臓由来では、高血圧による心肥大・心筋梗塞後の心筋障害・弁膜症・先天性心疾患などが背景となります。心臓以外では、甲状腺機能亢進症・電解質異常(低カリウム血症・低マグネシウム血症)・睡眠時無呼吸症候群などが不整脈を誘発します。

生活習慣として、過度のアルコール摂取(「ホリデーハート症候群」として知られる飲み過ぎ後の心房細動)・カフェインの過剰摂取・喫煙・慢性的な睡眠不足・肥満も誘因となります。

不整脈の検査と診断

不整脈の診断の基本は心電図検査ですが、症状が断続的な場合は安静時心電図では捉えられないことがあります。その場合、日常生活中24時間の心電図を記録できる「ホルター心電図」が有用です。さらに、症状が数日に一度しか起きない場合は、皮下に植え込む小型記録装置(植込み型心臓モニター)が診断に役立ちます。

心房細動が疑われる場合は、心エコー(心臓超音波検査)で心臓の構造異常・弁膜症・左心耳血栓の有無を確認します。また甲状腺機能・電解質・貧血の評価のために血液検査も行われます。

不整脈の治療法

薬物療法

心房細動治療の二本柱は「脳梗塞予防(抗凝固療法)」と「心拍コントロール(レートコントロール)またはリズムコントロール」です。抗凝固薬(DOAC:直接経口抗凝固薬)は血栓形成を防ぎ、脳梗塞リスクを大幅に下げます。ワルファリンより食事制限が少なく、定期的な採血も不要なため近年急速に普及しています。

抗不整脈薬(フレカイニド・アミオダロンなど)は正常リズムの維持(リズムコントロール)に使用されますが、副作用管理が重要です。徐脈性不整脈には、心拍数を上げる薬や最終的にはペースメーカー植え込みが必要になります。

カテーテルアブレーション

カテーテルアブレーションは、カテーテルを使って不整脈の原因となっている心筋の異常電気信号を焼灼(または冷凍凝固)する根治的治療法です。特に発作性心房細動に対しては根治率が高く(初回成功率約70〜80%)、薬を飲み続けずに済む可能性があります。入院期間は通常3〜5日程度で、手術後は再発の確認のため定期的な外来フォローが行われます。

日常生活での不整脈予防と管理

不整脈の予防・悪化防止には生活習慣の改善が基本です。アルコールは1日1合程度に節制し、カフェインは人によって誘因になるため過剰摂取を避けましょう。睡眠時無呼吸症候群がある場合はCPAP治療を適切に行うことで心房細動の再発が減るエビデンスがあります。

処方された抗凝固薬は、自己判断で中断しないことが最も重要です。「症状がないから大丈夫」と服薬をやめた途端に脳梗塞を発症するケースが後を絶ちません。定期的な心電図検査を受け、脈の乱れを感じたら早めに循環器科を受診してください。

まとめ

不整脈には治療が不要な軽微なものから、脳梗塞や突然死につながる危険なものまで様々あります。「脈が飛ぶ」「脈が速い・遅い」「動悸が続く」といった症状が繰り返し現れる場合は放置せず、循環器科を受診して心電図検査を受けましょう。特に心房細動と診断されたら、脳梗塞予防のための抗凝固薬を確実に継続することが長期的な健康を守る最大の鍵です。

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20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。