新型コロナ後遺症(Long COVID)の症状と対処法|倦怠感・ブレインフォグ・回復のポイント

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した後、感染が治まった後も長期間にわたって症状が続く「コロナ後遺症(Long COVID)」に悩む方が世界中に多数います。WHO(世界保健機関)の定義では、COVID-19罹患後3か月以降も症状が続き、他の診断で説明できない状態がコロナ後遺症(罹患後症状)とされています。本記事では、後遺症の主な症状・原因・対処法・受診すべき科まで詳しく解説します。

コロナ後遺症の主な症状

コロナ後遺症の症状は非常に多様で、200種類以上の症状が報告されています。症状は人によって異なり、軽症コロナにかかった人にも後遺症が現れることがあります。

倦怠感・疲労感

後遺症の中で最も多く報告される症状が、体の重さや強い疲れ感(倦怠感)です。少し動いただけで数日間体調を崩す「PEM(労作後倦怠感)」が特徴的で、無理をすると症状が悪化するため、休息と活動量の慎重な管理が必要です。

ブレインフォグ(認知機能の低下)

集中力・記憶力の低下、思考がまとまらない、言葉が出てこないといった症状の総称です。「頭に霧がかかったようだ」と表現されることが多く、仕事や日常生活に大きな支障をきたすことがあります。症状は数か月から1年以上続く場合もあります。

息切れ・呼吸困難

安静時や軽い動作でも息切れを感じる症状です。肺の炎症後遺症や自律神経機能の乱れが関与していると考えられています。胸部CT・肺機能検査で異常が認められない場合でも、症状が出るケースがあります。

その他の主な症状

心拍数の増加(起立時に特に悪化するPOTS:体位性頻脈症候群)、胸の痛み・動悸、頭痛、睡眠障害、長引く咳、嗅覚・味覚障害、関節痛・筋肉痛、うつ・不安感なども報告されています。複数の症状が重なって現れるケースも多く、生活の質(QOL)への影響は甚大です。

コロナ後遺症の原因

後遺症のメカニズムはいまだ完全には解明されていませんが、現在有力視されている原因として以下が挙げられています。

まず、免疫系の異常活性化(自己免疫反応)により炎症が持続することが考えられています。次に、体内でウイルスが微量に残留し続ける「ウイルスリザーバー」の存在も研究されています。また、腸内フローラの乱れや自律神経系のダメージ、血液の微小凝固も後遺症に関与している可能性が指摘されています。

ワクチン接種は後遺症リスクを約30〜50%低減させるとする研究が複数あり、感染予防の意義も後遺症対策の観点から重要です。

コロナ後遺症の診断・受診先

コロナ後遺症に対応する「コロナ後遺症外来」「罹患後症状外来」を設置する病院・クリニックが全国に増えています。症状に応じて呼吸器内科・神経内科・循環器内科・精神科・リハビリテーション科を受診することになります。

受診時には感染時期・感染から後遺症が始まった時期・具体的な症状・日常生活への影響を整理してメモしておくと診察がスムーズです。血液検査・心電図・胸部X線・肺機能検査などが行われます。他の病気(甲状腺疾患・貧血・心疾患など)との鑑別が重要です。

コロナ後遺症の治療・対処法

現時点ではコロナ後遺症を根治する確立された治療法はなく、症状ごとの対症療法と生活指導が治療の中心となります。

ペーシング(活動管理)

倦怠感・PEMへの最も重要な対処法が「ペーシング」です。活動量を「エネルギーの限界値」の範囲内に収め、症状が悪化する前に休息を取ります。「少し物足りないくらい」で活動を止める意識が大切で、無理に頑張って症状を悪化させる「プッシュ・クラッシュ」サイクルを断ち切ることが回復への鍵です。

睡眠の質の改善

規則正しい睡眠スケジュールの維持、就寝前のカフェイン・アルコール・スマートフォン使用の回避が有効です。睡眠障害が強い場合は医師に相談し、必要に応じて薬物療法を検討します。

栄養・食事

タンパク質・抗酸化栄養素(ビタミンC・D・亜鉛)を十分に摂ることが体の回復を支えます。腸内環境の乱れが後遺症に関与する可能性があることから、発酵食品・食物繊維の摂取も推奨されます。脱水は症状を悪化させるため、こまめな水分補給を心がけましょう

リハビリテーション

呼吸リハビリ(胸郭拡張訓練・呼吸筋強化)は息切れ症状の改善に有効です。ただし倦怠感が強い時期に積極的な運動療法を行うと悪化することがあるため、専門家の指導のもとで慎重に行う必要があります。

職場・日常生活での注意点

後遺症が長引く場合、職場への適切な説明と配慮が必要になることがあります。後遺症は外見から症状がわかりにくいため周囲の理解を得にくいという問題があります。主治医に診断書・意見書を作成してもらい、在宅勤務・時短勤務・業務内容の調整などを相談することが重要です。自治体によっては「コロナ後遺症患者支援事業」などのサポートも用意されています。

まとめ

コロナ後遺症は症状が多様で、回復には数か月〜数年かかることもありますが、多くの方は時間とともに症状が改善していきます。「気のせいではないか」「怠けているのでは」と自分を責めないことが大切です。信頼できる医師と連携しながら、ペーシングによる活動管理・睡眠の改善・栄養管理を継続することが回復への道です。一人で抱え込まず、支援機関・患者コミュニティも積極的に活用しましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。