骨密度検査DXA法とは|Tスコアの見方・費用・骨粗鬆症の診断を徹底解説

「転んだだけで骨折した」「背中が曲がってきた気がする」──こうした悩みの背景に骨粗鬆症が潜んでいることがあります。骨粗鬆症は国内で推計約1,280万人が罹患している疾患ですが、痛みなどの自覚症状がないまま進行し、骨折で初めて気づくケースが多い「サイレントディジーズ(沈黙の病)」です。自分の骨の状態を正確に把握する最善の方法が骨密度検査DXA法です。本記事では、DXA検査の仕組み・検査の流れ・Tスコアの読み方・費用・受けるべき人の目安について詳しく解説します。

骨密度検査DXA法とは

DXA(Dual Energy X-ray Absorptiometry:二重エネルギーX線吸収法)は、エネルギーの異なる2種類のX線を照射し、骨と軟部組織の吸収率の差から骨密度を算出する検査法です。「DEXA法」とも表記されます。

DXA法は現存する骨密度測定法の中で最も精度が高く、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2023年版」でも標準検査として推奨されています。かかと(踵骨)の超音波検査や前腕部のDXAなど簡易的な骨密度測定もありますが、診断精度の観点から、骨粗鬆症の診断と治療効果の評価には腰椎・大腿骨を測定するDXA法が必須とされています。

DXA検査の測定部位と手順

DXA法では主に腰椎(第1〜第4腰椎)と大腿骨近位部(股関節近く)の骨密度を測定します。腰椎は骨折リスクの高い部位で代謝変化を敏感に反映し、大腿骨近位部は骨折した場合に生命予後に最も影響する部位のため、両方を測定して低い方の数値で診断を行います。

検査は専用の台の上に仰向けに寝るだけで、痛みや不快感は一切ありません。検査時間は5〜10分程度と短く、放射線被曝量は非常に少なく(胸部X線の約1/10以下)、安全性が高い検査です。事前に腹部の金属類(ベルトのバックル・ファスナーなど)を外す必要がありますが、それ以外の特別な前処置は不要です。

Tスコア・YAM値の見方と骨粗鬆症の診断基準

DXA検査の結果はTスコア(またはYAM値)として表示されます。YAM(Young Adult Mean)値とは、骨密度が最も高い若年成人(20〜44歳)の平均値に対する比率(%)を示したもので、以下の基準に基づいて判定されます。

YAM値 判定
80%以上 正常
70〜79% 骨量減少(骨減少症)
70%未満 骨粗鬆症

Tスコアは同じ意味をSDの単位で表したもので、Tスコア−1.0以上が正常、−1.0〜−2.5が骨量減少、−2.5以下が骨粗鬆症の診断基準です。

ただし、骨粗鬆症は骨密度だけでなく、骨質(骨の微細構造)も診断に考慮されます。脆弱性骨折(軽微な外力で起こる骨折)の既往がある場合は、骨密度が正常範囲でも骨粗鬆症と診断されることがあります。

DXA検査を受けるべき人の目安

骨粗鬆症のハイリスク群として、特に検査が推奨されるのは以下のような方です。閉経後の女性は骨密度が急激に低下するため、閉経直後から定期的なDXA検査が推奨されています。エストロゲンは骨のカルシウムを維持するために不可欠で、閉経後5〜10年で骨密度が20〜30%低下する可能性があります。

その他の高リスク群として、ステロイド薬の長期使用者(ステロイド骨粗鬆症)・やせ形の方(BMI18.5未満)・喫煙者・家族に骨粗鬆症や大腿骨骨折の人がいる方・過去に脆弱性骨折の経験がある方が挙げられます。40〜50代でも、生活習慣が気になる方は骨ドックや人間ドックのオプションとして受けておくことをおすすめします。

DXA検査の費用と保険適用

DXA法による骨密度検査は健康保険が適用されます。保険適用の条件は「骨粗鬆症の診断または治療管理を目的とする場合」で、医師の指示のもとで受ける場合に限られます。3割負担の場合の費用は1,500〜2,000円程度が目安です(施設によって異なります)。

人間ドックや健康診断のオプションとして自費で受ける場合は、3,000〜6,000円程度が相場です。施設によっては骨密度測定に血液検査(骨代謝マーカー:TRACP-5b・BAP・尿中NTxなど)を加えた「骨ドック」として提供していることもあり、骨の質や骨折リスクをより詳細に評価できます。

骨密度を維持・改善するための対策

カルシウム・ビタミンD・ビタミンKの摂取

骨密度を維持するための食事の基本はカルシウムの十分な摂取(1日700〜800mg)です。牛乳(コップ1杯で約220mg)・ヨーグルト・チーズ・小魚・豆腐・小松菜などに豊富に含まれます。カルシウムの吸収を高めるビタミンDは日光浴(1日15〜30分の日光浴で皮膚で合成)と食事(鮭・サンマ・干ししいたけ)から補充します。ビタミンKは納豆・ブロッコリーに多く含まれ、骨タンパク質(オステオカルシン)の活性化に役立ちます。

運動|荷重運動で骨を刺激する

骨密度を増やすには、骨に適度な荷重(重力)をかける運動が最も効果的です。ウォーキング・ジョギング・ダンス・かかと落とし(つま先で立って踵を下ろす動作)などの荷重運動は骨芽細胞(骨を作る細胞)を刺激して骨密度を高めます。水泳や自転車は有酸素運動として優れていますが、荷重がかかりにくいため骨密度改善効果は限定的です。1日30分のウォーキングを習慣にするだけでも骨密度の維持に効果があります。

薬物療法

骨粗鬆症と診断された場合は薬物療法が必要です。現在の標準薬はビスホスホネート製剤(アレンドロン酸・リセドロン酸)で、破骨細胞(骨を溶かす細胞)の働きを抑えることで骨密度を増加させ、骨折リスクを約50%低下させるエビデンスがあります。重篤な骨粗鬆症にはテリパラチド(副甲状腺ホルモン製剤)やデノスマブ(抗RANKL抗体)など、作用機序の異なる薬が選択されます。

まとめ

骨密度検査DXA法は、痛みなく骨の健康状態を正確に把握できる最も信頼性の高い方法です。閉経後の女性・ステロイド使用者・骨折経験のある方は特に受けることをおすすめします。検査結果に応じてカルシウム補充・荷重運動・必要であれば薬物療法を組み合わせ、骨折ゼロの健康な骨を維持していきましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。