血液検査でわかるLDHとは、乳酸脱水素酵素といわれ、肝臓疾患や胆道疾患、おもに胆道の狭窄や閉塞で上昇する数値です。
今回はそんなLDHについて、そもそもLDHとは何か、基準値や高い原因、IFCCとの違いやアトピーとの関連について詳しく解説していきます。
血液検査のLDHとは?
乳酸脱水素酵素(Lactate Dehydrogenase、LDH)は、体内の細胞がエネルギーを生成する過程で働く酵素です。
特に、糖の代謝において重要な役割を果たし、ピルビン酸を乳酸に変換する反応を触媒します。
この酵素は、ほぼすべての細胞に存在し、特に心臓、肝臓、筋肉、腎臓、肺などの臓器で高い濃度を示します。
血液検査で測定されるLDHの値は、これらの臓器や組織の損傷や疾患を示唆する重要な指標です。
LDHの血中濃度が上昇するのは、細胞が損傷を受けたり壊れたりする際に酵素が放出されるためです。
そのため、LDHは心筋梗塞、肝炎、筋肉障害、がんなど、さまざまな病態の診断や監視に利用されます。
血液検査のLDHの基準値を知りたい
LDHの基準値は、検査を実施する機関や使用する測定方法によって若干異なる場合がありますが、一般的には以下の範囲が正常とされています。
- 成人:124~222 U/L
基準値は年齢や性別、健康状態によっても異なることがありますので、具体的な結果については医師に相談することが重要です。
血液検査のLDHが高い原因は?
LDHが高い原因は、多岐にわたります。LDHの上昇は、組織や細胞の損傷を反映するため、以下のような多くの病態や状態が原因となる可能性があります。
- 心疾患:
- 心筋梗塞や心不全では、心筋細胞が損傷されるため、LDH値が上昇します。
- 肝疾患:
- 肝炎や肝硬変、肝がんなど、肝細胞が損傷されるとLDH値が高くなります。
- 筋肉疾患:
- 筋肉の炎症や損傷、筋ジストロフィーなどの疾患がある場合、LDH値が上昇します。
- 腫瘍:
- がん細胞の増殖や腫瘍崩壊症候群などによりLDH値が高くなることがあります。
- 肺疾患:
- 肺炎や肺塞栓症などで肺組織が損傷されると、LDH値が上昇します。
- 血液疾患:
- 溶血性貧血や白血病など、血液細胞の破壊が進行する場合にもLDH値が高くなります。
- その他の原因:
- 急性膵炎や腎不全、感染症など、多くの病態がLDH値の上昇に寄与することがあります。
LDHとIFCCの関連は?
LDHの測定には、国際臨床化学連盟(International Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, IFCC)のガイドラインに基づいた方法が広く使用されています。
IFCCの基準に基づく測定方法は、LDHの活性を正確に評価するための標準化された手法を提供します。
ですので、簡単に言うと、IFCCはLDHの測定方法だということです。
IFCC基準では、LDHの測定には特定の温度やpH条件、基質濃度が設定されています。
この基準に従うことで、異なる施設や検査装置で得られる結果の比較が容易になります。また、IFCC基準に基づく測定方法は、高い信頼性と再現性を持つため、臨床診断において非常に重要です。
LDHとアトピーは関連している?
LDHとアトピー性皮膚炎(アトピー)との関連については、直接的な関係は明確には示されていません。
ただし、アトピー性皮膚炎は炎症性疾患であり、皮膚の炎症や損傷が進行することでLDH値が上昇する可能性があります。
アトピー性皮膚炎の患者では、皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激や感染に対する感受性が高くなります。
その結果、皮膚の細胞が損傷を受けることがあり、LDH値が上昇することが考えられます。
しかし、LDH値の上昇が必ずしもアトピー性皮膚炎によるものであるとは限らず、他の原因も考慮する必要があります。
アトピー性皮膚炎の診断や管理には、皮膚の状態や症状、その他の検査結果を総合的に評価することが重要です。
LDH値が高い場合は、他の炎症性疾患や感染症の可能性も考慮し、適切な診断と治療を行うことが必要です。
まとめ
LDH(乳酸脱水素酵素)は、細胞のエネルギー生成に関与する酵素であり、血液検査でその濃度を測定することで、様々な疾患や状態を評価することができます。
LDH値の上昇は、心疾患、肝疾患、筋肉疾患、腫瘍、肺疾患、血液疾患など、多岐にわたる原因による細胞や組織の損傷を示唆します。IFCC基準に基づくLDHの測定方法は、信頼性の高い結果を提供し、臨床診断において重要な役割を果たします。
アトピー性皮膚炎との関連については、直接的な関係は明確には示されていませんが、炎症や皮膚の損傷に伴うLDH値の上昇が考えられます。
LDH値の異常が見られた場合は、他の可能性も含めて総合的に評価し、適切な診断と治療を行うことが重要です。